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2014年5月12日(月) NEW

いまや若者の一大勢力? マイルドヤンキーとは

阿部
「今注目されているキーワードについて、髙木アナウンサーです。」

髙木
「おはようございます。
そのキーワードが、こちら『ヤンキー』です。
そもそも『ヤンキー』と言いますと、ヘイ、カモン!」

注目集めるヤンキー いったいなぜ?

髙木
「1970年代、暴走族や不良と言われるような人たちを『ヤンキー』と呼んでいました。」

阿部
「あー。
でもこういうかっこうの人、最近見かけなくなったような気もしますね。」

髙木
「そうですね、その姿は少なくなりました。
でも今、再び『ヤンキー』の存在がちょっと形を変えて、話題になっています。
『ヤンキー消費』、『ヤンキー経済』、『ヤンキー化する日本』。
見た目は『ヤンキー』でなくても、内面のいわゆる『ヤンキー的』な部分が、新たに注目されているんです。」

髙木
「広島県福山市、異色の企画を次々に繰り出す博物館で、先月(4月)末から始まったのが、題して『ヤンキー人類学』展。」

阿部
「こういうのあるんですね。」

髙木
「すこし懐かしい、これ暴走族の服ですね。




こんなものまで。
このバイク、高さがね、3m。」

鈴木
「走れるんですか、これ?」

髙木
「物理的には走れるんですが、公道を走ると違反。」

鈴木
「ですよね。」

鞆の津ミュージアム 櫛野展正さん
「自分を強く見せようということで、どんどん形が巨大になっていく。」




髙木
「博物館ではこの展示が始まって以来、通常1日15人ほどの来場者が、10倍に跳ね上がる日もあるそうです。」

観客
「男性なら一度は格好よくというのはあるけど、これは飛び抜けてる。
自己主張が強すぎる。」

観客
「男気があふれている。」

鞆の津ミュージアム 櫛野展正さん
「ふだんヤンキーという言葉は、否定的なイメージしかないと思うが、それを肯定的に捉え直してみると、表現の豊かさが感じられるのでは。」

いまや若者の一大勢力? マイルドヤンキーとは

髙木
「かつての『ヤンキー』は、こういう格好をした人たちでした。
でも今注目されているのは、まったく別のヤンキーなんです。
今出てきました、こちら。
見た目もほとんど普通と変わらないですよね?」

阿部
「そうですね。」

鈴木
「はい。」

髙木
「おとなしいヤンキー、『マイルドヤンキー』ともいわれます。」

鈴木
「そういう名前があるんですか?」

阿部
「マイルドヤンキー?」

髙木
「このマイルドヤンキーを提唱しているのが、こちらの方です。
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの、原田曜平さんです。



原田さんによりますと、そのマイルドヤンキーの特徴がこちらなんですが。
特徴、『絆』『仲間』『家族』という言葉が大好き、大事にしてます。
そして地元大好き、地元から出たくありません。
車が好きです、特にミニバン。
ショッピングモールが好き。
そしてEXILEが好きという特徴が、原田さんが調査をした結果、こういう傾向が見えてきました。」

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー 原田曜平さん
「半径5キロメートルで生活して、それ以上出ない子たちが多いので、非常にマーケティング調査しにくくて量がはかりにくい。
マイルドヤンキーであろう層を、20代の若者から抽出したところ、だいだい30%くらいいる。」

阿部
「若者の3分の1くらいは『マイルドヤンキー』?」

髙木
「そう、けっこういるんじゃないかと。
原田さんによりますと、特に都市部の郊外ですとか地方に多いということなんです。


先ほどの、この5項目ありましたね。
この5項目のうちですね、3つ以上あれば、かなりマイルドヤンキー。
そしてすべて満たせば、完全なマイルドヤンキーだということなんです。」



髙木
「あなたはマイルドヤンキー?
こちらの項目を使ってチェックしてみましょう。
街行くみなさん、どのくらいマイルドヤンキーなんでしょう?」

髙木
「『絆』『仲間』『家族』という言葉が好きですか?」

女性
「地元から出たことがない。
ずっと実家にいる。」

髙木
「出たいと思いません?」

女性
「すぐ帰って来られるところならよいけど、遠くに行くのは心細い。」

男性
「八王子ラブ。
生まれた時から八王子なので、出たくない。」

女性
「ショッピングモールが好き?
好き。
1か所に全部あるから楽。」

今回、東京近郊で聞いた30人のうち、○が3つ以上が25人、そのうち7人は全部○でした。




○が4つの初鹿健吾(はつしか・けんご)さん、大学4年生です。





「イエーイ。」

毎日のように一緒に過ごすのは大学の友人ではなく、中学時代からの地元の友人。
この日は、深夜2時半までボウリング。


移動で使うのは、軽自動車のワゴンです。

初鹿健吾さん
「ボロボロだが、走ってくれる。」

カーステレオではもちろん。
EXILEと同じ事務所のグループの曲が定番です。

夜中に行くのは、なじみの牛丼屋さん。
来年は就職です。
こうした生活を変えなくてすむように、地元で働きたいと考えています。



初鹿健吾さん
「地元は安心する。
自分が好きなことをやれたら、それでよいと思う。」

マイルドヤンキー取り込む “ヤンチャ”な軽自動車

企業もこうした「マイルドヤンキー」層の大きさに目をつけて、動き始めています。
大手自動車メーカーです。
販売台数の半分以上が、マイルドヤンキーに人気の高いミニバンと軽自動車です。

去年(2013年)軽自動車の決定版として売り出したモデルには、マイルドヤンキーを強く意識したタイプを加えました。
フロント部分には、存在感の強いメッキのパーツを装備しています。



テールランプを見ますと、ミニバン風のLEDのライト。
メーターの照明や内装は、あえて黒めの紫。
「マイルドヤンキー」が、こうした“ヤンチャ”な感じを好むと読んで売り出したところ、販売台数でノーマルタイプを上回っているそうです。


本田技術研究所 人見康平主任研究員
「シャープに見えること、威圧感があることはマスト。
軽自動車なんだけど軽に見えない強さ感。
今もまさに新しいヤンキーというか、ヤンキーさん参ったかという車、実は開発中です。」

マイルドヤンキーをくすぐる 小売店の“地元愛”戦略

こちらは、大手ディスカウントストア。
ここでは、マイルドヤンキーの「地元愛」に着目しています。

ドン・キホーテ八王子駅前店 篠原夏希店長補佐
「夏休みに向けてアウトドア用品。」

東京西部の八王子にある店舗では、近くにキャンプ場が多いため、アウトドア用品を充実させています。
地元で遊ぶマイルドヤンキーがターゲットです。

そして、「地元愛」をストレートにくすぐるグッズも。
1日20枚売れることもあるというTシャツ、タオルに、ライター。
そして、ラーメンまで。
店では3年前からマイルドヤンキーの好みを意識した戦略をとり、売り上げを40%伸ばしました。

ドン・キホーテ八王子駅前店 篠原夏希店長補佐
「地域の方々が地元が好きという印象を受けたので、ご当地アイテムを作ってみようとやってみたら、あたった。」

いまや若者の一大勢力? マイルドヤンキーとは

阿部
「ねらってるんですね。
でも企業側からマイルドヤンキーと言われて、言われてる側のみなさんって抵抗ないんですかね?」

髙木
「VTRに出てきた初鹿さんに、『マイルドヤンキー』と言われてどうですかって聞いてみたんですが、あっ確かに地元愛ですとかそういうところって、その言葉ハマってますと。
ただしかつての人に迷惑をかけていたようなヤンキーとは、やっぱり全く違いますと話していました。
マイルドヤンキーという言葉を生み出した原田さんによりますと、『今そうしたマイルドヤンキーを強く意識している企業もあるんですが、そのマイルドヤンキーの実態を把握できていない企業もある』と。
これからですね、そうしたマイルドヤンキーのニーズをねらった商品が、出てくるのではないかということでした。」