サムスン(SAMSUNG、삼성)とは、韓国最大級の財閥である。
概要
サムスン電子、サムスンSDI、サムスン物産、サムスン重工業など韓国を代表する企業を多く抱える財閥であり、韓国経済にきわめて大きな影響力を持つ。
事実、中核企業のサムスン電子は2009年度通期売上高138兆9,936億ウォン、純利益10兆2,299億ウォンと電子・電気機器メーカーとしては世界トップクラスの売り上げを誇り、その他企業を含めたサムスン・グループの総売上高は韓国の国内総生産の20%近くに達するなど、名実共に韓国経済を代表する企業グループである。
漢字表記は「三星」だが、1998年にカタカナ名称に統一したため現在この表記は傘下球団の三星ライオンズくらいしか見られない。ちなみに発音は「サムソン」の方が原語に近い。
歴史
1938年、李秉喆(イ・ビョンチョル・早稲田大学中退)が後のサムスンの原型とも言えるサムスン商会を設立。その後1951年にサムスン物産、 1953年に第一製糖、1969年にサムスン電子工業(後のサムスン電子)というように次々と会社を設立していった。これには当時の韓国で最も求められていたものを会社にしたためである。
しかし、日本以上に資源・人材に乏しい韓国で、これまでのように幅広く業種を拡大していくことは、経営的な面でも物理的な面でも限界があった。1988年にサムスン会長に就任した李秉喆の息子である李健煕(イ・ゴンヒ・早稲田大学卒)は、今までの量産主義的な変え方から脱した、徹底的な効率・品質主義を貫く「新経営」という指針を発表した。 [1]
この資源と人材の不安に関しては当時の韓国政府も気にかけており、税制などの面で優遇措置などをしたこともあってか、サムスンの収益は大幅に増大した。
サムスン・グループ
正確には「サムスン」はサムスン・グループ(サムスン財閥)全体を指す名称であるが、サムスン電子がグループ全体の売上の25%程を占めており、「サムスン物産」「サムスン重工業」等あるものの、ほとんどの場合「サムスン」と言う場合サムスン電子をさすことが多い(もちろん各企業を統括する企業は存在する)。そのような意味では電気・電子機器メーカー大手のソニーを中心とする日本の「ソニー・グループ」に近い。
サムスン電子
常に世界上位の売上高・利益率を誇る電気電子企業であり、また「SAMSUNG」のブランド力は総合電気電子メーカーとしてはトップクラスのブランド価値があるとも言われている [2] (液晶パネル、薄型テレビ、DRAM・NANDフラッシュメモリ等の半導体における世界シェアは2008年現在首位 [3] [4])。
常に他社を上回る莫大な投資をしており、開発・技術研究には多額の資金を注入する。そのような大型投資を行うのは非常にリスクが高いため、膨大な市場や技術の発展に関するデータをあつめ綿密な計画・戦略をたてている。それにより、他社と比較して安価で、顧客が好むデザインや商品を常に発表し続けている。 [5]
近年では消費者向け商品のデザインに力を入れており、本社を置くソウルをはじめ、サンフランシスコ、ロンドン、東京、上海等にデザインを研究するための「デザインセンター」を設置し、社内はもちろん、各国の有名デザイナーとともに優れたデザインを開発している。また研究・開発のための技術研究所も世界に多数存在する(日本には横浜に「サムスン横浜研究所」がある [6]) [7]。
2009年9月に、韓国はEUとのFTAの締結交渉が妥結された。これにより韓国(企業)は、EUの非常に高い関税が撤廃されたため、日本との競争にさらに有利になったという声もある。また韓国は、今後中東やアジア・オセアニア地域のFTAも締結したいとしている。 [8]
対日関係
韓国企業の中では、珍しく親日。理由としては、創業者一族が親日家だからである。以下にエピソードを記す。
- 創業者・李乗喆・・・早稲田大学商学部中退。サムスン設立前は共同精米所を開設して、駐留中の日本軍に売って利益を得ていた。
- 二代目・李健熙・・・早稲田大学商学部卒。兄と共に小学5年生から中学1年生まで日本で過ごす。韓国の中学校に編入したとき、韓国語よりも日本語の方が得意で、更に日本の習慣が身に付いていたため、韓国の中学・高校ではいじめに遭っていた。
- 三代目・李在鎔・・・ソウル大学卒業後、慶應義塾大学大学院で経営学を専攻し、自社の経営に生かして利益を上げた。
21世紀に入ってサムスンが業績を伸ばした頃、韓国の新聞はこぞって「サムスン大躍進 日本企業を追い越す」と書き立てたが、当の李社長は喜ぶどころか、「まだ日本企業から学ぶべきことがある」と淡々としていた。
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関連項目
脚注
- *※例として、サムスン電子は半導体に巨額の投資を行うことにより世界トップクラスの品質を得たり、若手デザイナーを積極的に起用しコンシューマー向け製品のデザインを大きく改善したりした。
- *Interbrand | Best Global Brands List | 2010
・・・有名企業の世界のブランド力をランキング形式で発表している米・Interbrand社による調査。サムスン電子は19位に位置している(参考 トヨタ:11位、ホンダ:20位、キヤノン:33位、ソニー:34位、任天堂:38位、パナソニック:73位)
- *シャープ液晶 最後の砦 韓台追撃 新鋭・堺工場が稼働
FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE(2009年10月2日)
- *08年の薄型テレビ世界シェア、サムスンが首位
日経IT-PLUS(2009年2月20日)
- *例として、当時DRAM生産で世界1位であった東芝は新しく開発した4MBのDRAMを生産・販売した。だがサムスンは自社が立てた戦略にのっとり、あえて世代の古い1MBのDRAMを大量生産し、当時としては安価な価格の1MB-DRAMを実現。多くの顧客が購入し、莫大な利益をもたらした。一方、性能は優れているがまだ高価な4MB-DRAMはあまり売れず、東芝は先端設備等の資金回収もままならないまま、大量の在庫を抱えることになった。そしてサムスンはその利益をまた市場調査・生産にと潤沢に使い、シェアを徐々に伸ばしていった。
- *SAMSUNG Yokohama Research Institute
- *R&Dグローバルネットワーク | 日本サムスン
- *NIKKEI NET:国際: 韓国とEU、FTA交渉が妥結 日本企業に打撃も
(2009年9月13日)
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http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%B3
読み:サムスン
初版作成日: 09/03/01 20:28 ◆ 最終更新日: 13/04/07 18:47
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