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【38カ月目の福島はいま】深刻な汚染解消されぬ「小鳥の森」、福島市の除染は?(鈴木博喜)

2014年05月12日

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 福島市のオアシスのような「小鳥の森」。野鳥や草花を通して春の息吹を感じることができるが、福島第一原発の爆発事故から3年が経過しても、深刻な高濃度汚染は解消されていない。管理する市は年度内の部分除染を計画しているが、森林の除染など現実的には不可能であることは職員も認めるところだ。汚染が続く森を今年も歩いた。放射性物質に汚された森の今と、森を愛する市民の哀しみに接した。

【もう味わえない山の幸】
 福島駅東口から福島交通の路線バスで約15分。バス停「岡部」で下車し、ほどなく歩くと「小鳥の森」の入り口だ。緩やかな坂道を上がっていくと、手元の線量計は0.3、0.4、0.5μSv/hと数値が上昇していく。しかし、上がり切った駐車場に設置されているモニタリングポストの数値は0.324μSv/h。それもそのはずだ。ポストの周囲だけ、きれいな白っぽい砂に入れ替えられている。見かけの数値だけを下げる姑息な手法が、住民の不信感を招くいい例だ。
 遊歩道を進むと、炭焼き小屋がある。「ここでの炭焼きは山形県から調達した木材と、震災以前に倉庫で保管されていた木材を使用しています」との貼り紙。周辺では、手元の線量計が0.7-0.9μSv/hと高い数値をを示す。双眼鏡を手にバードウォッチングを楽しんでいた男性は「放射線量はどのくらいですか?0.7(μSv/h)くらい?1.5くらいあるかと思ったけど。この辺りの住宅街は除染をしても0.7くらいは普通にありますからね…」と再び双眼鏡を覗いた。
 新緑の隙間から、春の陽光が降り注ぐ。半袖シャツでいいくらいの気温。60代と思しき夫婦が森林浴を楽しみに訪れていた。
 「ここの新緑が大好きなんだよね。この森はね、シメジや山菜などが何でも採れたんだよ。原発事故前まではね。真冬以外は年中、山の幸を楽しめたんだ。もはや汚染されてしまって食べることはできないけれども…」と夫。妻も「楽しみが全部なくなってしまったよ。こんなに素晴らしい森なのに、今でも放射線量は高いんでしょ?私たちも知らぬ間に被曝してしまっているかも知れないね」と表情を曇らせた。

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