海洋調査:福島原発沖で市民が測定 漁業の未来考える
毎日新聞 2014年05月07日 16時09分(最終更新 05月07日 19時31分)
出航から約20分。左手に東電広野火力発電所、約45分後には福島第2原発が見えてきた。参加者の一人がつぶやく。「本当にこの地域は日本の電力を支えてきたんだな。火力もあって、原子力もあって……」「第2(原発)も危なかったんだよな」
切り立った崖を横目に見ながら、北上する。出航から約1時間、ようやく福島第1原発の姿が見えてきた。「思ったより小さいでしょ。ここに連れてきたらみんな言うんですよ。こんな小さいものが世界を騒がせているのかって」と石井さんが言う。海から見える原発は、確かに想像していたよりも小さく見えた。
原発沖1.5キロ、船は海底土を採るために減速した。再び原発を見ると、船からでも目でわかる大きさで数字が書かれていることに気づく。右から1号機〜4号機と並んでいることを知った。それぞれの被災状況に応じて外観も異なっている。現場には赤と白のクレーンが方々に設置されている。比較的、新しいと一目で分かる黒い鉄骨が4号機には取り付けられている。事故現場はやはり生々しい。
肝心の線量はどの程度なのだろうか? 測った結果は毎時0.05マイクロシーベルト。地上と比較しても低い数値となったことに、驚きの声があがる。海水による遮蔽(しゃへい)効果なのだという。当然、原発に近づけば数値は上がるが、1.5キロ沖では昨年11月の調査と比べても、数値は変動していない。同じ場所で、海底の汚染の程度やたまっている放射性物質を調べるために必要な海底土を採ることになった。富原さんが採取し、計測する。
再び久之浜漁港に戻り、アクアマリンに。富原さんの部屋にはこれまで計測した魚や動物が冷凍保存されている。計測の結果は1キロあたり417ベクレル。数値自体をどう見るか。
五十嵐さんは「震災直後から柏市の農地土壌を測定して回った感覚からすると、正直に言ってかなり低い数値だなという印象」と話す。冨原さんは「海底で採取した中で比較すると高めの数値だが、原発近くでこのくらい低ければ海や魚に与える影響は限定的だろう」。富原さんの調査によると、アクアマリン前の海底土で1キロ当たり287ベクレルだ。2人の見解は「原発の目の前でこの値なら『福島の漁業が終わった』と悲観するような数値ではないと思う」という点で一致する。