仕事に必要なことはみんなモンスターハンターが教えてくれる

 先日モンハンプレイヤーの友人と茶をしばいたことをきっかけに、エンディング直前で放置していたMH4モンスターハンター4)を久々にプレイしている。
 モンハンをプレイしていると、仕事に必要なことはみんなモンスターハンターが教えてくれるのだということを思い出す。

1 体力は常に半分は残しておけ

 強い敵になればなるほど一撃で受けるダメージが大きい。まだ大丈夫と思った次の瞬間には力つきてしまうこともある。特に初心者は、体力は6割と言わないまでも常に半分は残しておいた方が安心だ。
 毎日体力0まで働いてどうする。だから少しのトラブルで心も身体もやられてしまうのだ。

2 ヒット・アンド・アウェイを忘れるな

 攻撃をするためにはまず敵に近寄らなければならない。しかし少しよいダメージを加えられたからといって漫然と攻撃を続けていれば、それは敵からも攻撃を受けやすい距離に居続けることになる。敵が弱いうちはそれでも勝てるかもしれないが、敵が強くなればなるほど、自分が少しでもダメージを与えようし続けることが結果的には自分が大きなダメージを受ける可能性を高めている。
 「ダメージを沢山受けてから回復すれば回復回数が少なくて済む」と思うかもしれない。しかし、ギリギリになって回復のために逃げようとして敵に回り込まれて力尽きたのでは遅い。攻撃したら回避する、遠回りして攻撃をする。時間は掛かるが、初心者はとくにこのやり方が有効だ。
 毎日仕事の難局にかじりついてどうする。ちょっと距離を置いてコーヒーでも飲んでみてはいかがか。時間さえ許せば、午後半休をとって海辺でビールを飲むのも、気晴らしにはうってつけだ。

3 小さい一手の積み重ねが大きな成果になる

 強敵はなかなか倒せない。攻撃を固い衣で弾かれることも、どれだけ攻撃してもダメージを受けた様子が見られないことだってある。
 でも敵はそのうち必ず倒せる。小さい一手であっても、自分さえしっかりと体力・スタミナを維持していれば、攻撃を繰り返すうちにだんだんと敵の身体に傷をつけることができる。そしていつかきっと倒すことができるのだ。
 今日やったことの成果が今日でなくて焦ってどうする。腐ってどうするのだ。とにかくコツコツ続けることだ。いずれ成果は見えてくる。

4 成果の見えるやり方を工夫する

 とはいえ、まったく相手にダメージが伝わっていないと感じることは、こちらの徒労感・焦燥感をつのらせるだけだ。
 そこでスキュラ一式を装備し、相手にペイント玉をぶつける。ペイント玉をぶつけると、マップ上にモンスターの位置がピンクの●で表示されるが、スキュラ装備では「捕獲の目安」といってモンスターが弱ってくると、この●が点滅する仕様になっている。点滅しだすと、自分の与えてきたダメージを意識できるので、最後の踏ん張りが効きやすく、やる気もひとしおだ。
 大きな結果を出すために大きな結果だけ見てどうする。まずは課題をいくつかのプロセスに分け、一つ一つをこなして、成果を意識してモチベーションを維持することが肝要だ。

5 強敵を倒したければまずは準備を整えよ

まずは装備を整えよ

 敵を倒すためには、まずは装備を整える必要がある。しかしモンスターハンターでは装備品は、「買うもの」ではなくて「材料を集めて作ってもらうもの・強化してもらうもの」だ。そのため、強敵を倒すために、まず弱い敵を倒して材料をとってくる必要がある。遠回りではあるが、より強い敵を倒すためには仕方ない。
 またモンスターの攻撃には属性がある。炎属性のモンスターであれば、炎に強い防具を装備していればより楽に倒すことができる。
 ペーペーのくせにベテランと同じ仕事をしようとしてどうする。まずは細かい些末な仕事をしながら、少しずついろいろなやり方を身につけるのだ。
 先輩との知識の差・技量の差に落ち込んでどうする。当たり前だ。先輩は小さい知識・スキルを積み重ねた年月があるのだ。同じことをしようとするな。まずは自分も小さい知識・スキルを身につけていくのだ。

敵がいない隙・眠っている隙に準備を整えよ

 敵と戦っていると、ときどき敵がマップ上で別のエリアに移動したり眠ってしまったりすることがある。このときに、もう少しで倒せそうだからといって、ロクに回復もせず、剣の刃も研がずに追いかけたり、攻撃を続けて起こしてしまったりすると、実はまだ全然元気で返り討ちにあってしまうことがある。敵が隙を見せたのであれば、そのときはまずは自分の準備を整えることの方が、大切なのだ。
 大きな難しい仕事の締め切りが明日になったからといって、別の大きな仕事を引き受けてどうする。その空いた時間をこそ体力・気力の回復や知識・スキルの積み重ねに使ってはいかがか。職場でぼーっとするのが難しければ、エクセルファイルを開いたり閉じたりしていれば仕事をしているみたいに見えるからそれで時間をつぶして、定時で帰ってしまえ。そして読書でもして早く寝てしまえ。

6 ときには敵のふところに飛び込むことも大事

 大きな敵と戦うときには、敵を囲むように戦うのではなく、足元に入り込んで戦うことの方が有効だ。とくにリーチの短い片手剣を使っている場合などはそうだ。もちろん、敵の足元に入り込むわけだから危険も増える。しかし、外側にいるより実はダメージを受けにくい場合もある。ダメージを受けたら、また少し距離を置いて回復すればいいだけだ。
 いつまでも仕事を怖がってどうする。新しい職場に尻込みをしてどうする。まずはふところに飛び込んでいくことだ。身体や心が疲れたら、少し仕事から離れる時間を作って、リフレッシュすればよいのだ。臆するな。始めたって、途中で休憩したってやめたって、それはそれでいいのだ。

7 敵の特徴を知ることはとても大事

敵にはそれぞれ攻撃パタンがある。

 敵にはそれぞれ攻撃のパタンがある。左回りにシッポを巻き込んでくるとか、飛び上がったときにこの動作をすれば地面に着地して攻撃してくるがこの動作ならそのままいなくなるとかそういったことだ。その攻撃のパタンを把握していれば、受ける攻撃は少なくてすむし、無駄な回避行動をとって時間をロスすることもなくなる。
 目の前が真っ暗になるほどの大きさの仕事に、闇雲にぶつかってどうする。まずはその仕事における課題を自分で把握してみるのだ。意外とこれまでの積み重ねで対応できたりするのだ。まずは落ち着いてよく観察するせよ。

敵にはそれぞれ弱点がある

 敵に攻撃を加えると、その血しぶきの量で弱点がわかる。また絶対に攻撃を弾かれる部位等もある。敵の腹に飛び込んだら攻撃を受けにくいからと言って後足ばかりを攻撃するよりも、ときには眼前に立ち向かい前足を攻撃した方がよい場合もある。
 なかなか解決できない困難な仕事に、いつまでも同じ方法で対処してどうする。まずはその仕事における課題を自分で把握してみるのだ。意外とこれまでの積み重ねで対応できたりするのだ。まずは落ち着いてよく観察せよ。

8 どんな敵でも有効な攻撃もある

 敵に応じた攻撃ももちろん有効だが、どんな敵でも有効な攻撃もある。どんな敵でも共通の弱点もある。
 たとえば敵が寝ている間に大タル爆弾を2個しかけ、小タル爆弾を使って起爆するといった攻撃はどの敵にもそこそこのダメージを与えることができるし、どんな敵でも顔を攻撃すればかなり盛大な血しぶきをあげてくれることに気付くだろう。
 個別の事例の個別性ばかりに着目してどうする。どんな場合でもある程度有効な対応、作法を身につけるのだ。一つの課題が解決した場合には、その課題を構造化し抽象化し、別の事例にも当てはめられる形で物事を整理して捉えておくことが肝要だ。

9 それぞれにそれぞれの戦い方がある

 装備する武器に応じて戦い方がある。片手剣は盾で防御が出来る分、リーチが短く攻撃力が小さい。大剣は攻撃力が強いが動作は重く、また攻撃が下手であれば周りの味方を巻き込んでしまうこともある。自分の装備している武器の強みを理解し、それに応じた戦い方を身につける必要がある。
 自分と異なる職種の人の仕事をそのまま真似してどうする。他の業種のやり方を羨んで業種の違う自社を批判してどうする。なぜ今このような仕事になっているのか、どうしてこういう仕組みになっているのか、自分の職域・他人の職域、管理職の職域、きちんと「役割」として把握するのだ。そして、自分の強みを伸ばしていくのだ。自分の職種の人の中で、自分の目指す人を見つけ、真似をして知識とスキルを身につけるのがよい。

10 それでも倒せない敵もいるよね

 死んでしまう前にきちんと見極めて「リタイア」することも大事だ。成果は出なくても、元々持っていた自分のアイテムは元に戻る。クエストに失敗してアイテムまで失ったのでは、またアイテムを集めるところから始めなければならない。そうすると、討伐までの道のりが更に困難になり、プレイをするのすらも嫌になってしまう。
 仕事なんかで身体や心を壊してどうする。完全に壊れてしまったら、復職するまでの道のりが遠くなるだけだ。

 死んでしまう前にリタイアしろ。
 死んでしまう前にリタイアしろ。

 それが何より大事だ。



 おわり。