小学館発行の週刊ビッグコミックスピリッツに連載中の漫画「美味しんぼ」が、12日に発売された最新号で、東京電力福島第一原発からの放射線被曝(ひばく)で鼻血が出るとしたり、「福島に住んではいけない」とする同県双葉町の井戸川克隆・前町長のセリフを掲載したりした。これに対し、福島県は同日、「容認できない」とする小学館への抗議文と県の見解を県のホームページに掲載した。県への不安感を増長させ、風評を助長させるとしている。

 最新号では井戸川前町長の「鼻血や疲労感で苦しむ人が大勢いるのは被ばくしたから」「福島に住んではいけない」との発言を紹介。除染作業に携わった福島大学の准教授が「除染をして人が住めるようにするなんてできない」と語るシーンも載せている。

 4月28日発売号でも、福島第一原発の取材後に原因不明の鼻血を出す主人公らに、井戸川前町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と話す様子などが描かれていた。

 これらの表現について県は、避難者も含めた一般住民に鼻血が出るような急性放射線症を引き起こす高放射線量の被曝をした人はいない、などと反論。「本県への風評を助長するものとして断固容認できるものではなく、極めて遺憾」とする見解を示した。

 小学館広報室は「19日発売の次号で、この問題の特集記事を掲載する予定で、抗議文の内容も載せる。複数の識者の意見を提示した上で、小学館としての見解も示す」としている。