こんにちは!電設部員の塚田です。
2009年7月3日 金曜日 16:00~、日本SGI株式会社 SGIホール。
「TOMOYO Linuxメインライン化記念勉強会」という、歴史的な
勉強会が開催されました。
この勉強会は、YLUGカーネル読書会、セキュアOSユーザ会、まっちゃ445勉強会という
電設部員にとって垂涎ものの勉強会3つが合同開催した、スーパー勉強会でもあります。
Linux大好き、勉強会大好きな私たち電設部員も参加しないわけにはいかない!!と、
頑張って課題を早く終らせて、先生たちの許可を得て参加してきました。
一言で言うと、
「参加者の一人一人が心から感動し、居ても立っても居られないような衝動が沸き起こる。」
そんな力を持った勉強会でした。
TOMOYO Linuxというプロジェクトの顛末や中の人たちの心境を、
ご本人たちの言葉によって伝えられることの力強さ。
その情報と感動の量と質。そして、それに続いて"銀座ライオン"で
行われた懇親会で、その場にいる全員でTOMOYO Linuxの
メインライン化という快挙を祝い、喜びあったこと。
間違いなく、Linux、オープンソースという分野における
歴史的な瞬間の連続が、そこにはありました。
学び、気づき、イノベーションの津波でした。
その様子をレポートしつつ、「TOMOYO Linux」の周りでは
一体何が起きていたのか、メインライン化とはどういうことなのか、
どんな苦難と努力があったのか、といったところをお話したいと思います。
なお、当日はまっちゃだいふくさんや小西隆介さん、宗籐誠治さん、海外浩平さん、
そしてよしおかひろたかさんといったそうそうたるメンバーの発表もあり、
それぞれ凄まじい充実度でした。
今回、このレポートは TOMOYO Linux に焦点をあてて書いてありますが、
ぜひ後述の動画と資料で、勉強会の全体を見ていただきたいと思います。
さて、ここで簡単に、TOMOYO Linuxとは何なのかをご説明します。
TOMOYO Linuxは、日本のプロジェクトチームが作った、
Linux用のセキュアモジュール(=よりセキュリティを高める機能)です。
TOMOYO Linux プロジェクトメンバーは以下の4名の方です。
・原田季栄さん
・半田哲夫(熊猫さくら)さん
・武田健太郎さん
・沼口大輔さん
また、この記念勉強会に関する情報はこちらのwikiにまとめられています。
ThankYou - TOMOYO wiki
2009年6月9日、このTOMOYO Linuxは世界中の技術者に認められ、
そしてLinuxの生みの親であるLinus Tovaldsさんに認められ、
Linuxのカーネル2.6.30に正式に組み込まれることになりました!
つまり、「Linuxの公式な標準機能」になったということです。
これが「メインライン化」です。「メインラインにマージされる」とも言います。
(メインラインに入っていないプログラムは、使いたければユーザが
自分の意志でダウンロードし、インストールする必要があるわけです。)
そこに至るまで、TOMOYO Linuxにどのような苦難と発展があったのか、
当日の勉強会/懇親会の様子や過去の資料を交えながら見てみましょう。
ぜひ、上に挙げたTOMOYO Linux プロジェクト wikiにある、
当日使われた発表資料と、発表の様子を収めた動画も併せてご覧ください。
発表資料:ThankYou - TOMOYO wikiの中段あたり
動画のURL:http://zoome.jp/koedoyoshida/diary/5/
(7/14 以下2行追記)
※この動画は、小江戸らぐの吉田俊輔さんが撮影、アップロードされたものです。
吉田さん、ありがとうございます!
発表者 :小崎資広さん
テーマ :「TOMOYOで学ぶkernel watchの秘密 - どうやってマージ間近のパッチを見つけているのか -」
発表資料:20090703-tomoyo-thankyou-kosaki.pdf
動画 :00分00秒~
LKML(Linux Kernel Mailing List)でレビューをしている小崎さんの発表です。
また、セキュリティ&プログラミングキャンプ2009の講師でもあり、
@ITでLinux Kernel Watchという人気連載を持っているというハックな方です。
さて、TOMOYO Linuxは、そのプロジェクトマネージャの原田さんが
2ちゃんねるのLinux板で活躍していたのですが、その2ちゃんねるでの
小崎さんと原田さん&TOMOYOメンバーとの議論がめちゃくちゃ白熱していたんですね。
その2ちゃんねるのログがこれです。
1スレ目 → "TOMOYO Linux"
2スレ目 → "【めざせ】TOMOYO Linux 0.0.2 【本家入り】"
小崎さんが登場するのは2スレ目の最後の方になってからなんですが、
1スレ目から読むと原田さんが苦労した過程が分かります。
(ついでに、まじめなプロジェクトマネージャの男性(=原田さん)が、
どんどん2ちゃんねら化していくのが分かります(笑)。
途中からAAや2ちゃんねる用語の使い方もぐんぐん
上手くなっていって…原田さん。)
それにしても、2ちゃんねるで富士通(小崎さん)とNTTデータ(TOMOYOメンバ)の人が、
NTTデータの一プロジェクトに関して超高度な話をするってのは色々な意味ですごいですね。
2ちゃんねるにおける小崎さんの活躍、見所と流れは
よしおかひろたかさんがブログに非常にわかりやすくまとめていらっしゃいます。
TOMOYO Linuxに学ぶ説得術 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
これを読むと、2ちゃんねる議論のすごさがわかっていただけると思います。
カーネルにTOMOYOを入れてもらうために、レビュアたちをどう説得するか、
Linusをどう納得させるか、アプローチの方法や具体的なTOMOYOの実装方法まで
踏み込んで議論してます。…小崎さん、アツいです…!!
当時、原田さんたちはTOMOYO LinuxのプログラムをLKMLに投稿し、
世界中のレビュアや、既にマージされていたセキュアモジュールである
SELinuxのメンバーたち(=NSA、アメリカ国家安全保障局!!)、
その他の開発者たちと激しい戦いを繰り広げていました。
つまり、メインラインへのマージを目指して原田さんたちが
「TOMOYO Linuxといういいセキュアモジュールを作ったよー」と
アピールすると、それに対してレビュアや他のセキュアモジュール開発者たちが
「でもそれSELinuxでできるじゃん!」と激しいツッコミを入れてくるという、
そういった状況だったのです。そこに、
「いきなり英語で全てツッコミを入れるんじゃなくて、
日本語で(=2ちゃんねるで)まずはがっしりと話をしよう」
と颯爽と(2ちゃんねるに)現れた小崎さん。そして、その的確で真摯な指摘の数々…。
すでにその内容はLinuxに特化した話だけではなく、
「人を引き込むためにはどうすればよいか」という
方法論としてベストプラクティスと言えると思いますので、
上に挙げたよしおかさんのブログ記事はぜひ読んでみてください。
プレゼン力、説得力、企画を通す力など、どんな仕事の方でも
参考にできる点は非常に多いはずです。
それにしても、そんなに高度な内容なのに、小崎さんはすごくコミカルに、
面白おかしく分かりやすく発表されており、会場は何度も爆笑しております。
そのこともすごいですよね。
なお、小崎さんは最後に「会場の学生に向けて一言」ということで、次の言葉をくださいました。
・Linuxカーネルはオープンソースの中でもかなり窓口を広く持っているので、
カーネル業界にデビュー(=レビューをしたりパッチプログラムを投稿したり)したかったら、
BSD系よりもLinuxがいいよ!
・セキュリティ&プログラミングキャンプ2009、すぐに申し込んで!※1
学生向けメッセージありがとうございます!頑張ります!
そして、小崎さんのメッセージに応えるべく、今年は電設部からも
セキュリティ&プログラミングキャンプ2009に
参加するメンバーが出ました!よろしくお願いします!
※1)セキュリティ&プログラミングキャンプ2009の応募受付は7/6に終了しました。
発表者 :TOMOYO Linuxプロジェクト(原田さん、半田さん、武田さん、沼口さん)
テーマ :「メインライン化のご報告」
発表資料:20090703-tomoyo-thankyou-harada.pdf
動画 :17分15秒~
さて、そんな色々な経緯を経て2.6.30カーネルにマージされることになった
原田さんたちのTOMOYO Linuxプロジェクト。その間の苦労と思いを語っていただきました。
「限られた時間、文字数で、自分の気持ちを凝縮して伝える・・・そうだ!俳句だ?」
とのことで(笑 面白いなぁ)、いくつかの俳句(川柳?)とともに発表は進んでいきました。
◆ 第一句「さがしてた 自分で使える 拡張を」- 動画:20分32秒~
原田さん:
2003年当時、既にSELinuxは存在していたが、使い方が難しく、
色々調べながら、試行錯誤しながら使っていた。
しかし既にAppArmorというセキュアOSモジュールのチームがLKMLで
奮闘しており、場は大荒れという最悪の状態からのスタートだった―
TOMOYO Linuxの始まりは、大変な状況だったようですね。
LKMLにセキュアモジュールとしてTOMOYO関連の投稿をすると、
「またか!」「過去ログ読め!」と拒否反応を示されてしまうほどとは・・・。
◆ 第二句「Disられて 素直に意見 聞きました」- 動画:31分11秒~
原田さん:
もともと、NTTデータという会社の一プロジェクトとしてスタートした
TOMOYO Linuxは、メインライン化を目標には掲げていなかった。
YLUGやCELFなど、色々なコミュニティの声が会社の取り組みを変えた。
つまり、そういった声によってオタワのLinuxシンポジウムにも出ることになったし、
メインライン化を目指すようになった。
よしおかさん、伊藤さん、吉藤さん、上田さんという4名の方が
アドバイスをくれたからこそ、今このようにメインライン化するまでになった。
そうでなければ、今日この会はなかった。プロジェクトとして感謝している
気持ちを長く残すため、一人一人に感謝状を贈りたい。
その場にいらっしゃったのはよしおかさんと伊藤さんだったので、
まずお二人に原田さんより感謝状授与が行われました。
この感謝状も、送る相手によって一枚一枚文章が違い、原田さんが
手作りしたものとのことでした。
左:原田さん 右:よしおかさん
左:伊藤さん 右:原田さん
また、吉藤さん、上田さんに対しては、勉強会後の懇親会の時間に
感謝状が授与されたのですが、ここでもまた素晴らしい話がありました。
吉藤さんへの感謝状授与のとき、原田さんの読み上げた感謝状の文面に
「"大変 強い言葉で"プロジェクトに対し献身的に貢献してくださり・・・」
という文言があり、会場から笑いが起こっていましたが、すぐに原田さんが
「しかし、強い言葉で言ってくださるというのは、
本当に真剣に考えてくれているからこそなんです。
『普通ここまで言わないよな』ということは、
言うほうも言いにくいと思うんです。
そこを、TOMOYOのために妥協せず意見をくださったんです。
だから、吉藤さんには心から感謝します」
と真剣にその心情を語っておられました。
吉藤さんと原田さん、どちらも200%真摯ですよね。
かっこいいです。
そんな"大変強い言葉"が飛び交った「伝説の第72回YLUGカーネル読書会」の映像は
コチラで確認できます。→ http://blog.miraclelinux.com/yume/2008/08/tomoyo-linux-80.html
・・・これもものすごいシビアなレベルの議論ですよね。
こういう背景があったんだ、ということを知ってTOMOYO Linuxのことを考えると、
本当に色々な問題を解決しながら、「全員で」進んでこられたんだという原田さんの
言葉が納得できるのではないでしょうか。ぜひ、この動画もご覧になってください。
◆ (俳句じゃないけど)「メインラインは誰のもの?」- 動画:38分38秒~
原田さん:
先日、アポロ13号の映画を見た。その映画では、アポロ13号が月に向った際に
故障してしまったが、結果としては奇跡的に地球に帰ってくることができた。
帰ってこられたのは、操作していたパイロットやクルーだけの力ではなく、
NASAのスタッフや、パイロットの生還を願う人々の想いが奇跡を起こしたのだと思う。
これは今回のTOMOYOプロジェクトと同じだ。プロジェクトメンバーが常に最善を尽くすことが
できたのは、プロジェクトを支えてくれる人の存在を感じられたから。
だから、メインラインはみんなのものだと考えている。「おめでとう」と
言われるのも嬉しいのだけれど、是非「一緒に」喜んでほしい。
あまり皆さんは意識していないかも知れないが、例えば説明会に来てくれたり、
OSCのブースを訪ねてくれたり、MLに加入してくれただけでもメンバーは嬉しいもの。
それがあったからこそ頑張れた。
だから、興味を持ってくれた人全員の成果だと思って欲しい。
ここでまた、様々な形でかかわった色々な人への感謝状が用意されており、
それぞれ原田さんから授与されていました。
原田さんが読み上げる感謝状の内容を聴いていると、その言葉には
「本当に心の底から出てきたまっすぐな想い」がたくさん詰まっている
ということがよく伝わってきます。私たちは(おそらく会場中のみんなが)
その想いに感動していました。
◆ 第三句「おめでとう メインラインて 何のこと」- 動画:40分57秒~
原田さん:
メインライン化が手に届く範囲まできたとき、社内の関係者に
それを説明するのが大変だった。「オープンソースの世界」と
「企業の世界」の違いを実感した。この違いを、2009年9月にある
Japan Linux Conference 2009で発表する予定だ。
「クローズドな会社内」での一プロジェクトであるTOMOYO Linuxと、
本来「グローバル」なオープンソースソフトウェアであるTOMOYO Linux。
相反する要素は数多く持ちつつも、原田さんたちは苦労して
それを両立させ、メインライン化を実現させたわけですね。
今回TOMOYO Linuxプロジェクトの経験したメインライン化までの過程は、
「企業でのLinuxカーネル開発」として、これまでに無かった形を
一つ作り上げたと言えます。イノベーションが起きたのですね。
また、動画では、一瞬場面が飛び、よしおかさんの
「ここをカットしちゃだめですよ! ここが一番大事なんです!」
という声が入るところがあります。
この一言も、実に深い意味を持っていると私は思います。
上述の、第72回カーネル読書会の動画の中で、よしおかさんは
TOMOYO Linux プロジェクトメンバーに対して、TOMOYO Linuxの発展について
「企業内の開発という制約は厳しいけれど、バザールモデルで行くしかないと思うんですよ。
企業をHACKしていく"何か"があるはずなんですよね。」
と意見を述べられています(カーネル読書会の動画、1時間23分20秒ほど~)。
「バザールモデル」とは、開放的な環境で、世界中の開発者が開発に関わるという
ソフトウェアの開発形態の一つです。オープンソースソフトウェアそのものですね。
よしおかさんは、TOMOYO Linuxの開発は「グローバルであるべきだ」と当時から
言い続けてきたわけです。
そして、TOMOYO Linux プロジェクトメンバーは少しずつ、それを実現してきた
ということであって、よしおかさんは、「その前人未踏の部分こそ共有すべきだ」と
主張されているのだと思います。
◆ 俳句じゃないけど、「make the change」- 動画:42分40秒~
続いて、マイケル・ジャクソンの「MAN IN THE MIRROR」という曲が流れ、
"make the change"というテーマでのお話が始まりました。
(原田さんが自らノートPCで鳴らしてました、BGM。)
このセクションでは、原田さんの一言一言が深く、素晴らしい名言だったと思います。
『今日から』
信じるものがあったら、それに向かって、変えよう。今日からそれが出来ればいい。
『この勉強会がきっかけになれば』
TOMOYOをやっていたから、よしおかさんや伊藤さん、そしてこの会場のみなさんと会えた。
同じように、TOMOYOじゃなくてもいいから、みなさんが信じることに打ち込んでみてはどうか。
もしこの勉強会やTOMOYOがそのきっかけになることができれば、それは本当に嬉しい。
もし5年、10年経って、『あのときの講演(=2009/07/06)を聴いて自分も○○を始めたんです』など
声をかけてくれることがあったら、どんなところでも行きます。
『メインライン化の秘密』
メインライン化は一つの達成だが、そこまでのプロセスに意味がある。
ソースコードはもちろん重要だが、大切なのはそれだけではない。
Linuxが本当に素晴らしいのは、「それを作る人たち」が素晴らしいということだ。
メインライン化に関わって、それがわかった。
「人間が素晴らしい」を是非体験してほしい。
当日会場でこのくだりを聴いたとき、涙が出ました。
すごく高度な技術を発揮して、直接TOMOYO Linuxを開発したのは
もちろんプロジェクトメンバーの方々です。しかし、原田さんたちは
「TOMOYO Linuxを作り上げたのは、少しでも関わってくれた人たち全員なんだ」と
実感していると言うのです。当日勉強会に参加している私たち学生も含めてです。
謙虚とか、遠慮とかとは違う、その言葉の深さと、「世界中の人が作り上げていく」
というオープンソースソフトウェアのスケールの大きさに、改めて感動しました。
何というか・・・、世界遺産の綺麗な風景を見ていて感動し、その壮大さに涙するのに
似た感じです。いや、似てないか?(上手く言えませんが・・・)
そして、そんなLinuxやオープンソースの世界に、自分も関わることができる
現代に感謝しました。私たちも、今まで以上にオープンソースの世界に
入り込んでいこう、自分たちで動いていこうと思ったのでした。
◆ 第四句「気がつけば 多くの人に 支えられ」 - 動画:44分45秒~
原田さん:
本当に多くの人に支えられた。
ありがとうございました。
こちらこそ、素晴らしいお話を本当にありがとうございました。
続いてTOMOYO Linuxプロジェクトメンバーからのスピーチ。
◆武田健太郎さん - 動画:45分20秒~
最初は大学の研究室でスラッシュドットを見てTOMOYO Linuxを知った。
そのときは、自分がそのプロジェクトにここまで深く関わるとは思っていなかった。
2ちゃんねるで小崎さんからのフォローがあったときに、オフィスでは半田さんと
「これはこうすべきだ」「いや、ああすべきだ」とフルパワーで喧嘩していた。
それだけ真剣に取り組んでいたということだが、それができたのは、
ここに居る人や世界中で少しでも関わってくれた人たちが
支えてくれたからこそだと思う。だから、メインラインはみんなのものだ。
◆半田哲夫(熊猫さくら)さん - 動画:47分17秒~
「カードキャプターさくら」の世界が好きで、メールアドレスも"...@i-love.sakura.ne.jp"にした。
それだけ好きなものを現実世界に持ち込みたいと考え、プロジェクトの名前をつけた。
商標の関係でSAKURA Linuxには出来ず、TOMOYO Linuxになった。
「一生懸命頑張って、決して諦めない」というCCさくらの世界を伝えるために頑張った。
なんとかなるよ。絶対大丈夫だよ!
◆沼口大輔さん - 動画:49分10秒~
部署異動があり、去年の7月くらいからTOMOYOに関わっている。
それより以前は「原田さんが半田さんと二人で何かやってるな」というくらいの
認識だった。それくらい、社内では知られていなかった。
その中に自分が入って、2ちゃんねるのログを読み、
「あー、原田さんがどんどん2ちゃんねらになっていくな」
ということが分かった(笑)。
でも、この場に来ても分かるが、本当に多くの人に支えられているんだと実感した。
今後、会社のプロジェクトとしても、OSSのプロジェクトとしても
上手く続けていければと思う。
◆「TOMOYO Linuxプロジェクトから」まとめ
繰り返しになりますが、TOMOYO Linuxプロジェクトからの発表は心に残る感動的なものでした。
私たち学生は、ここで頂いた感動と想いを原動力として、オープンソースという
広く深い世界により強く入りこみ、自分たちも貢献していきたいという想いを
強くしました。世界中の先輩方、よろしくお願いいたします。
さあ、勉強会が終ったら次は懇親会です!
150名を越える参加申込みがあった懇親会は、銀座ライオン恵比寿ガーデンプレイス店で、
立食形式で行われました。
様々な人と触れ合い、その言葉に触れるチャンスです。そして、なんと今回の懇親会は
「TOMOYO Linuxプロジェクトより感謝の気持ちを込めて、懇親会は参加費無料」
という、学生にとってもすごく参加しやすい懇親会でした!
TOMOYO Linuxプロジェクトの皆さん、NTTデータの皆さん、
本当にありがとうございます。
おかげさまで、色々な人とお話しすることができました!
普段そうそうお会いできない方ばかりですから、
懇親会もものすごく勉強になるのです。
その中から、一部抜粋しご報告します。
◆ 原田季栄さんに学ぶ
(以下、は=原田さん、つ=塚田)
つ:今日のお話は感動しました。
中でも、「Linuxはそれを作る人が素晴らしい」という言葉は心に染みました。
は:それはよかったです。本当に、そうなんですよね。
つ:僕ら学生も、例えばTOMOYO Linuxのドキュメンテーションとか、
TOMOYOでなくても他のオープンソースソフトウェアのプロジェクトとか、
「今日から」やれるだけやっていこうという想いです。
は:ぜひ、そうしましょう。それは素晴らしいと思います。
そして、どこかで発表するときはぜひ呼んでください。
主役中の主役である原田さんは流石に懇親会中もお忙しく、
あまりお話することはできませんでした。
しかし、数分間の中でも、原田さんの誠実さはひしひしと伝わってきました。
素晴らしい人に出会えた、今日この場に来ることができて本当によかったと思います。
原田さん、いずれどこかのカンファレンス等で、またお会いしたいです。
そのためにも、今日からやれることを頑張ろう。そして、原田さんに
「あの講演を聴いてから、○○を始めたんです!」と言いたい(笑)。
そう強く決心した塚田でした。。
快く写真を撮らせてくれた原田さんと電設部員。本当にありがとうございました!
◆ よしおかひろたかさんに学ぶ
原田さんに続き、この勉強会の主催者の一人である、
よしおかひろたかさんとお話しさせていただきました。
アツく語ってくれるよしおかさんと、真剣な面持ちで話を聞く電設部員。
よしおかさんは、以前何度かオープンソースシステム科の
学科ブログに登場していただいたり、※2
最近も塚田が学科ブログで書いた記事を読んでくださったりしています。※3
※2)よしおかさんの登場する記事はコチラやコチラ
※3)塚田が書いた記事はコチラ
(以下、よ=よしおかさん、つ=塚田)
つ:学科ブログ読んでいただいてありがとうございます。
半径5メートル、だんだん広げていこうと思っています。※4
よ:5メートルが、次の5メートルを呼ぶ。
この熱意が世界中に広がったら素晴らしいよね。
※4)「半径5メートル」とは、「まずは自分の周りの人たちに勉強会の価値を伝えよう」
というよしおかさんの方法論です。
つ:今日の勉強会は、本当にすごかったです。感動しました。
よ:やっぱり、「それをやった人の言葉」はすごいと思う。原田さんが、
色々な苦労や努力をした後に出てきた、「その人だから言える言葉」の力がある。
今回の原田さんの経験は、間違いなく後に続く人たちの助けになるね。
つ:日本電子専門学校でも、先日、1年生が自主的にLTで発表し、
さらに今日のためにTOMOYO Linuxの予習勉強会を開いてきました。
少しずつですが、後に続く「学生勉強会」のノウハウが出来てきています。
よ:おおー。いいですね、そういう話を聞くとワクワクするなぁ。
つ:目標は、今年中に、外部にも公開するような勉強会をやろうと思っていて。
そして、来年の勉強会カンファレンスで、こういった学生勉強会の
成果を発表できればと思ってます。
ただ、僕は卒業しちゃうんで、彼らが(と言って一年生を指す)。
よ:それはいい!是非とも発表してほしいな。来年は、5月前後にやる予定。
勉強会カンファレンスのMLにもどんどん入ってきてよ。
一緒に作っていきましょう。
つ:今、「社内勉強会」「社外勉強会」というのはあるんだけど、
「学生勉強会」というのがないんですよね。
よ:無いねぇ。(一年生の方を向いて)だから、君たちがやったことを
「こういうところに苦労した」とか、「こうやって工夫した」とか、
まずはブログやメディアで書いて貯めていってくれると、すごくいい。
あとから同じことをやろうと思った人に対して、すごく重要な情報になるから。
そして、来年はぜひそれを発表してほしい。色々頑張った成果を聞きたいし、
色々な場でオープンに共有すれば、さらにそれが広がるからね!
というわけで、電設部による勉強会カンファレンス2010での発表を宣言してきました。
来年よろしくお願いします。頑張ってねー(勝手)>1年生の皆さん
つ:そうそう、噂によると、10月にLinusさんを呼ぶのみでなく、
学生との交流も図ってくれると聞いたんですが。※5
よ:そう!やりますよー。
ただし、そのために、みんな(電設部員)に宿題!
「Linusさんに、何か一つでもいいから『英語で』質問すること」!
皆:ええー。。。
よ:日本の学生、頑張って(笑)!
※5)Linus Tovalds氏は10月21~23日に開催されるLinuxシンポジウムで来日する予定で、
そのときによしおかさんはYLUGカーネル読書会の第100回記念として、Linus氏を
呼ぶ予定とのことです。すごい。。
でも本当に、Linuxやオープンソースの世界に深く関わっていこうと思ったら、
英語は必須スキルとなりますよね。これを機に、みんな、頑張ろう!
少しよしおかさんの顔が隠れちゃってるけど、
「楽しそうな写真じゃないっすか!それブログにUpしてよ!(笑」と
素敵な笑顔で言ってくださったよしおかさん。
よしおかさんも、今日は本当に素敵な勉強会をありがとうございました!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回はTOMOYO Linuxメインライン化記念勉強会のレポートをしつつ、
メインライン化までに何があったのか、TOMOYO Linuxというプロジェクトが
どういう道を歩んできたのかを書いてみましたが、いかがでしたか?
実は、勉強会本編も懇親会でも、まだまだここに書き切れないほど
内容が濃くて素晴らしいことがたくさんあったのですが、今回は
特に「TOMOYO Linux プロジェクトの歩み」について書かせていただきました。
この日、TOMOYO Linux プロジェクトの方々を始め、講演者の方々や
会場にいらっしゃった参加者の方々に頂いた感動を大事にしていこうと、
学生一同深く深く決意したのでした。
改めて、この素敵な勉強会を開いてくださったTOMOYO Linuxプロジェクト、
YLUGカーネル読書会のよしおかさん、まっちゃ445勉強会のまっちゃだいふくさん、
日本セキュアOSユーザ会の海外さん、そして会場にいらっしゃったみなさん、
本当にありがとうございました。
新しくTOMOYO Linuxを知ろうとされている方々にとって、
この記事が少しでも有意義な情報になれば幸いです。
2009年7月11日 自宅にて
電設部 塚田 朗弘
なんと、このレポートをお読みいただいたTOMOYO Linux プロジェクトマネージャ の
原田さんより、コメントをいただきました!
「オープンソース」というと無料という側面が強調されることが
多いですが、それは皮相的な見方であって、本当はもっと深く、
いろいろな意味を持っています。私はTOMOYO Linuxというプロジェクトの
活動を通じて、そのことを知りました。そして、その「秘密」は言葉で説明したり、
解説できるものではなく、一人一人が見つけるべきもの、
そうすることによって本当の価値が理解できるものではないかと思っています。
世代を超えて長く読み継がれているサン=テグジュペリの小説、
「星の王子様」の中に、「大切なもの(原文では「本質」)は目には映らないんだ」
という言葉がでてきます。心を動かす経験や感動は形にすることが難しいものですが、
塚田さんが書かれたレポートには、確かにあのときの
勉強会と懇親会で参加者が感じたものが記録されていると感じました。
このレポートに込められた「大切なもの」が、イベントに参加できなかった
人たちにも広がっていくと良いですね。
素晴らしいレポートをどうもありがとうございました。
2009年07月12日
TOMOYO Linuxプロジェクト
原田季栄