英検幼児のお受験過熱 10年で5倍の2500人
■試験中、立ち歩きや泣く子…協会困惑も
試験中は立ち歩かないで−。
英語のレベルを測る実用英語技能検定(英検)で、バイリンガル教育を受けたとみられる幼児の受験が盛んになっている。実施主体の公益財団法人「日本英語検定協会」によると、昨年度の5歳以下(未就学児)の受験申込(志願)者は10年前の5倍に当たる約2500人。しかし一部には試験中に立ち歩く幼児もおり、試験の妨げにもなっている。同協会は、年少者受験の注意点を受験申込書やホームページに掲載するなど対応に苦慮している。
「今や試験会場に保護者の控室は必須。当然、小さい子も1人で試験を受けるのですが、時間の長い試験なので途中で飽きてしまって立ち歩いたり、騒ぎ出したり…。問題ができなくて泣き出す子もいます。ここ数年、中高生や大学生に交じって小さい子の受験が増えている印象」と話すのは、同協会広報調査課長の皆川英明さん。
英検の年間受験者は約236万人。少子化や他の検定試験などの影響で減少傾向にある。しかし小学生の志願者は平成15年度の12万5000人から昨年度は22万人で1.8倍、未就学にあたる5歳以下は477人から5.2倍の2505人に増加した。英検は公教育で英語の読み書き文法を学ぶ中学生からの受験を想定し、5〜3級が中学、準2級と2級が高校、準1級と1級が大学レベル相当とされる。準2級以上は日本語の問題文の漢字にふりがななどは書かれていないが、昨年度は361人の未就学児が志願し10年前(32人)の11倍に増えた。グローバル人材の育成のため、一部の家庭での幼児期からの英語と日本語のバイリンガル教育が過熱しているためとみられる。
試験の結果、「5歳で2級合格」など最年少合格者も更新しているとみられる。しかし同協会は最年少合格者を公表しない。理由について「年齢や生年月日を正しく記入せず、0歳と書く子供もいる。健康保険証などで年齢を確認しているわけではないため、本当のところ、何歳の子が合格しているのか分からない」と皆川さんは明かす。
未就学児の受験について、同協会は「試験中に騒いだりすると他の受験者の迷惑になる。年齢や住所などの記入方法はもちろん、事前に解答用紙の見本を使って十分練習し、実際に受験できるかを見極めたうえで受けてほしい」と呼び掛けている。(村島有紀)