長崎平和宣言起草委:集団的自衛権の行使容認に批判相次ぐ

毎日新聞 2014年05月10日 18時16分

 長崎原爆の日(8月9日)に平和祈念式典で読み上げられる平和宣言文の起草委員会の初会合が10日、長崎市で開かれた。安倍晋三首相が目指す、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認について「平和主義を捨ててしまうものだ」などの批判が相次ぎ、こうした動きに反対するメッセージを平和宣言文に盛り込むよう求める意見が出た。

 起草委は田上富久・長崎市長、被爆者や市民団体の代表ら15人で構成。7月まで計3回の会合で、平和宣言文の内容を検討する。

 土山秀夫・元長崎大学長は憲法解釈変更について「姑息(こそく)な手段を選ぶのは憲法の理念に反する」と批判。「被爆地から抑える言葉を発するべきだ」と主張した。長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄(すみてる)会長は「集団的自衛権がまかり通ると、戦争につながっていく。許すべきではない」と訴えた。

 この日は、核兵器禁止条約の実現に向けた政府の積極的な取り組みを求める意見も出た。会合終了後、田上市長は報道陣に対し「いろいろな要素が出ているので、何を盛り込んでいくか意見を分析して考えたい」と話した。【小畑英介】

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