「日本製品ボイコット」などと書かれた横断幕を掲げる反日デモ参加者ら。しかし彼ら中国人やわれわれ日本人が思っている以上に、日本製品は深く中国に浸透している=2012年9月、中国江蘇省蘇州(共同)【拡大】
日本人が信じ込んでいる虚像
前回、日本の経済・企業が世界に冠たる“メダリスト”であることの一端をお話ししましたが、さらに納得していただけるような例をご紹介しましょう。それには、日本を完全敵視し、日本製品を過激に排除していると思われている中国にさえも、いかに“メード・イン・ジャパン”が浸透しているかを知っていただくのが一番かと思います。
その前にまず、日本人が信じ込んでいる虚像がどんなものかを説明します。2年ほど前、中国で大規模な反日デモによる破壊行為があり、多数の日本企業が甚大な被害を受けました。暴動の後も、ジャパンブランドの不買運動は続き、文字通り「“中華リスク”は想定外の“中禍”」などと日本のメディアは報じました。
しかし、果たして予想外と言い切れるものでしょうか。少なくとも、筆者にすれば、元来「共産資本主義」という根本的な自己矛盾を抱えてきた中国経済であったなら、供給過剰・価格破壊・貧富格差拡大は、すでに予測されていたことが露呈したまでであり、永年続けてきた反日教育からして、内政不満のエネルギー噴出を日本企業や製品に向けることなどもすでに経験済みでした。つまり「想定内」であったはずなのです。「中国とは、こんな国なのだ」と割り切って付き合ってゆくか、はなから近寄らないかの、いずれかしか、ないのです。