消滅可能性:原発誘致した17自治体 12が人口維持困難
毎日新聞 2014年05月08日 22時06分(最終更新 05月09日 05時34分)
一方、東北電力東通原発が立地する青森県東通村。営業運転の開始は05年だが、村は家族連れの定住を期待してこの10年前に村土地開発公社を設立し、団地造成に当たってきた。当時は数千人の人口増を見込んでいた。しかし、02年から村役場前の120区画の分譲を始めても景気低迷で売れず、今年3月には78区画が売れ残ったまま解散に追い込まれた。負債は約5億円。同村では東京電力も原発建設を進めていたが、震災後は中断したままだ。
しかし、東通商工事業協同組合の澤田隆事務局長(63)は「長い目で見て、再稼働などが今後進めば、地元の子供たちが帰ってきて定着につながる」。人口増とはほど遠い現状だが、原発との共存に期待を込めた。【高木昭午、近藤綾加、伊藤奈々恵】
◇玄海原発立地の佐賀県玄海町 10年間で転入15世帯
九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町も消滅可能性を指摘された。1975年に1号機が稼働、その後も4号機まで増設された。国や県から受けた原発関連交付金は昨年度までの38年間で総額331億円以上。固定資産税収入は98年度の40億円超から年々減少しているが、昨年度も二十数億円を維持し「原発マネー」は町内経済を潤してきた。
しかし、人口減少は止まらない。歯止め策として2004年度に住宅新築などを助成する定住促進奨励金制度を制定。昨年度までの10年間に69世帯291人に対し、計7410万円を交付したが、町外からの転入者は15世帯(21%)にとどまる。12年度からは婚活応援事業も始め、出会いの会を6回開いたが、まだ1組もカップルは誕生していない。
岸本英雄町長は「町としてさまざまなイベントを開催し、住みやすさをアピールしている。町営住宅の建設も考えており、推計のような人口減少にはならない」と話した。【原田哲郎】