コラム:日本が優先すべき5つの外交課題=ブレマー氏
国際政治学者イアン・ブレマー
[9日 ロイター] - 先月のオバマ米大統領の訪日は、表面的には、あらゆる面で日本の共感を得る結果となった。日中間の地政学的対立で最大の火種である尖閣諸島(中国名・釣魚島)について、オバマ氏は米大統領として初めて、日米安全保障条約の適用対象だと明言。また、両国首脳は環太平洋連携協定(TPP)交渉についても、キーマイルストーン(重要な節目)を画したと発表した。
しかし、大統領訪日の成果は見掛けほど素晴らしいものではなかった。尖閣諸島に関する発言は従来の政策を改めて表明したに過ぎない。TPP交渉でも「キーマイルストーン」が具体的に何を示すかは明らかにされず、実際のところ、40時間に及んだ2国間協議は何の進展ももたらさなかったようにみえる。中国の怒りを招くことなく日本をなだめたオバマ氏は今回の訪日で大きな勝利を収めたが、日本が中国の台頭にどう対応すべきかという解決策は示されなかった。
米国が外交政策から距離を置き、中国が影響力を急速に拡大する中、日本は地政学的に差し迫ったポジションに陥っている。しかし、日本にはまだ選択肢が残されている。日本が優先すべき外交政策は以下の5つだ。
1.アベノミクスの推進
日本の最優先事項は、安倍晋三首相が掲げる経済政策を徹底的に進めていくことだ。安倍政権は最近、安全保障問題への取り組みを強めているが、日本経済の勢いは維持されており、それは今後も継続する必要がある。
経済の軌道を長期的に上向かせることは、日本にとって最も重要な課題だ。そうすることで日本はより魅力的なパートナーとなるほか、経済力によって域内問題への影響力を高めることもできる。アベノミクスを推し進めることは、安倍首相が得た政治的資本の最も有益な使い方だと言える。
2.中国が狙う日米間の「亀裂」拒否 続く...
日本が優先すべき「外交5課題」
中国が影響力を拡大する中、地政学的リスクを抱える日本。国際政治学者I・ブレマー氏は、選択肢はまだあると指摘する。
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