集団的自衛権:「必要最小限度」を拡大 政府方針
毎日新聞 2014年05月11日 09時00分
政府は、集団的自衛権の行使を容認するため、1972年の政府見解「集団的自衛権と憲法との関係」を根拠に、憲法解釈を変更する方針を固めた。72年見解は、外国による武力攻撃で国民の権利が根底からくつがえされる事態に対処するため、「必要最小限度の範囲」で自衛権を行使できるとしている。近年の安全保障環境の変化で、「必要最小限度の範囲」に集団的自衛権も含まれるようになったとの考えを打ち出す。
政府内では当初、最高裁が59年の砂川事件判決で示した「自国の存立を全うするために必要な自衛のための措置」に集団的自衛権が含まれると解釈し、行使を容認する案が有力だった。
しかし、公明党などから「砂川判決当時、想定していたのは個別的自衛権だけだ」などと批判が噴出。現在でも集団的自衛権の政府の立場を説明する際に引用される72年見解を新たな根拠とする方針に転じた。
72年見解は、参院決算委員会の求めに応じ政府が提出した。平和主義を掲げる憲法の下で日本がとり得る自衛の措置は、「外国の武力攻撃によって(憲法13条に定められた)国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる急迫、不正の事態」が起きた場合で、「国民の権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認される」と規定している。
そのうえで、自衛権を行使する際には「必要最小限度の範囲」でなければならないとした。他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は、こうした規定を満たしていないとして、「憲法上許されない」と整理した。
政府は見解策定から40年以上が経過し、核兵器や弾道ミサイルを周辺国が保有するに至ったことに加え、国際テロが増加するなど安保環境が大きく変化したことに着目。他国が武力攻撃を受けた場合でも、「国民の権利が根底からくつがえされる」と認定できるケースがあるとの見解を示し、集団的自衛権の行使を容認する。
ただ、その場合でも武力の行使は従来通り「必要最小限度の範囲」とし、これまでの憲法解釈との整合性を図る意向だ。このため、武力行使目的で自衛隊を他国に派遣することは原則認めない方針。