京大天文台:目標5億円はるかかなた…維持厳しく寄付募る

毎日新聞 2014年05月10日 16時43分(最終更新 05月10日 22時14分)

京都大の花山天文台=京都大理学研究科付属天文台提供
京都大の花山天文台=京都大理学研究科付属天文台提供

 予算削減にあえぐ京都大理学研究科付属天文台(柴田一成天文台長)は、市民に助けを求める募金の受け皿となる基金を今年3月、創設した。目標額は5億円。9日現在、集まったのは約80万円で目標達成は宇宙のようにはるかかなたにある。今月30日には、初めての試みとして5000円以上の寄付者だけを対象にした「観望会」を午後7〜10時に京都市山科区の花山天文台で開き、支援の輪がもっと広がるよう呼び掛けていく。【野口由紀】

 付属天文台には1929年に開設した花山天文台と1972年に開設した飛騨天文台(岐阜県高山市)の2拠点があり、世界の天文学研究をリードしてきたとの自負をもつ。岡山県浅口市で東アジア最大となる口径3・8メートルの望遠鏡の建設が進み、スーパーフレアなど天体爆発の観測拠点として期待されている。

 しかし、近年の基礎科学への予算削減のあおりを受け、総予算12億円の3・8メートル望遠鏡の完成の見通しはついたものの、それを覆うドーム建設や維持運営費の確保のめどはたたず。花山、飛騨天文台の維持運用も厳しい状況に直面しているという。

 柴田天文台長は「宇宙と、地元にある京都の天文台の魅力を知っていただき、市民の皆さんに支援もお願いしたい」と話している。

 問い合わせは花山天文台(075・581・1235)。基金へはホームページ(http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/kikin/)からも寄付できる。

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