うたの部屋


びわこ番傘に所属する作家達は本格川柳「番傘本社」の流れをくみながらも
革新過ぎず
詩的過ぎず
人間の心を個性的に詠いあげております


1句鑑賞


この「ふわふわ」はいったい何だろう

どんなかたちでも受け入れる
そんな心のような

「ふわふわ」

川村美栄子

4月句会 第一日曜 草津市立まちづくりセンター

 席題 [渡る」 松宮 清 選
 勘違いは虹を渡ってゆきました 山本知佳子
 ひとりずつ渡ればひとりずつの春 北村 幸子
 わたしもと春の小川を渡ってる 小梶 忠雄

 宿題 「噛む」 藤本花枝 選
 しっかり噛むしっかり生きてゆくために 安井 茂樹
 ゆっくりと噛むゆっくりを楽しんで 笠川 嘉一
 春になる噛んだあとにも春が来る 木野 孝子

 宿題 「動く」 遠山あきら 選
 半径は小さくなったでも動く 倉田匡太郎
 こんなところをもぞもぞ春が動いてる 伊藤こうか
 コットンと動く水車のような春 徳永 政二

 宿題 「根」 今井和子 選
 この辺に根があるはずよフキノトウ 河ア  章
 根を張っているからいつか咲くでしょう 石井 道子
 根っこには迷惑ばかりかけている 岸和田喜世子

 宿題 「はてな」 笠川嘉一 選
 なぜあんな頑張ったのかかすみ草 松延 博子
 大福の中ではてなを抱く苺 平井美智子
 アボガドの種とはてなは相似形 峯 裕見子



         彦根句会 第四土曜日 彦根・東公民館

 席題 「釦」 木野孝子 選
 それぞれがずれた釦でゆるし合う 寺田 節子
 一年生釦しっかりかけるのよ 浅井 俊子
 どんと来いどんと大きなボタン穴 松宮  清

 宿題 「光」 大谷のり子 選
 あの光る辺りに行けば会えるかも 清水 容子
 もう少し笑えば光りそうである 安井 茂樹
 身を光らせてもう咲きたいと言っている 今井 和子

 宿題 「待つ」 辻 久栄 選
 待ってます机と靴とランドセル 三輪 幸子
 気にならぬふりしてるだけ待っている 大谷のり子
 早くいこ母さんの首のびちゃうよ 知野見松子

 宿題 「伊吹山」 安井 茂樹 選
 歩きながらいつも見ている伊吹山 倉田匡太郎
 伊吹山比良とお化粧比べする 木野 孝子
 伊吹山に天狗の鼻が捨ててある 上田 寿美



       川柳教室 第二日曜日 石山・晴嵐公民館

 席題 「鳥」 石井道子 選
 火の鳥になってあなたをさらいます 中村 郁枝
 鳥の目にちょこちょこ動くものがいる 小梶 忠雄
 いますぐに鳥になりたい青い空 笠川 嘉一

 宿題 「四月」 中村 郁枝 選
 わたくしの背中を押してくる四月 谷口可珠子
 薄桃色が好きで四月が大好きで 能仁 澄子
 決断へ四月がすっと立ち上がる 中嶋ひろむ



川柳びわこ5月号より
小林 勝一      
       残月と昭和の顔のラクダたち

       春の陽をトカゲと浴びる生きている

       わたくしがなくなるなんてきらいです
遠山あきら       
       それはもう過去のことです眠ります

       すぐ夜が来る老人のスケジュール

       漂って流れてしまう昨日今日
 
谷口  文

       めくるたび春のページは酸っぱくて

       亡母さんの古い火鉢に咲く椿

       鬼ですが褒めれば伸びるタイプです
倉田匡太郎
       対岸に来て対岸をみて帰る

       そうしょう花の香りがいいらしい

       サラサーテなど数曲を聴いて寝る
安井 茂樹
       恥ずかしがりや淋しがりやの春になる
       
       私もおぼろ君もおぼろになりまして

       雑草に負けないようにいきましょう
森谷百合子

       咲きました咲きましたよと誘いくる

       世の中はひっくり返ること多く

       待つ間葱をこまかくきざんでる
太田のりこ

       濁点を減らし四月の文にする
     
       あしたが見えて桜はそっと地に還る

       ききあきた台詞せっけんのつるり





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