蹴球探訪
英に逸材16歳「夢は日本のフル代表」
サイ・ゴダード(3月18日)
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【大リーグ】ダルビッシュ またあと1人で快挙逃す シフト裏目も…圧巻は126球で3勝目2014年5月11日 紙面から ◇レンジャーズ8−0レッドソックス【アーリントン(米テキサス州)大城和美】またも「あと1人」で夢はついえた。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)は9日(日本時間10日)、地元でのレッドソックス戦に先発。9回2死までノーヒットノーランだったが、指名打者デービッド・オルティス(38)に対する極端な守備位置が裏目となって右前安打を許した。完全試合まであと1人まで迫った昨年4月2日のアストロズ戦に続いて快挙を逃したが、8イニング2/3を1安打無失点、12奪三振と内容は圧倒的。昨季の世界一チームを寄せ付けず、3勝目(1敗)を手にした。 野球に“たられば”は禁物だが、もし普通の守備位置だったら、結果はどうだっただろうか。9回2死、あと1人でノーヒットノーラン。地元の満員観衆からは怒号のような声援が飛ぶ。ここで迎えた打者は、引っ張り専門の左打者オルティス。ベンチは遊撃手を二塁ベースの右に、二塁手を深い一、二塁間に配置する“オルティスシフト”を敷いた。 だが、126球目、真ん中の93マイル(約150キロ)直球をジャストミートされた打球は、二塁と遊撃の間を抜けて右前へ。満場からため息が漏れる中、交代を告げられたダルビッシュはうつむいてベンチに歩く。歓声に応えて軽く帽子を掲げたが、その表情は硬いままだった。 「もちろん悔しい」。ダルビッシュが努めて冷静に語った一方で、オルティスは「最後の球が唯一の打てる球だった。シフトを敷いてなかったら(二ゴロで)試合終了だった」と苦笑した。 オルティスシフトが凶と出た場面は、7回もあった。フラフラと上がった打球は、二塁と右翼の間にポトリ。通常の守備位置ならば、右翼が難なくさばけたはずだった。記録は安打ではなく失策。完全試合こそ途切れたが、ノーヒットノーランは継続することになり、ダルビッシュは「もちろんヒットだと思ったので、残念だなと一瞬思った。けれど、球数が多くなって疲れてきてたので、ヒットにしてくれても良かったかな」とおどけた。 昨年4月2日のアストロズ戦も、完全試合にあと1人まで迫りながら中前安打を許した。2年続けて快挙を逃したが、それでも快投は色あせない。最速98マイル(約158キロ)の直球に62マイル(約100キロ)のスローカーブと最大58キロの緩急差を駆使し、今季最多の12奪三振。2001年Rソックスの野茂英雄さん以来となるメジャー日本人投手のノーヒッターは逃したが、昨季のワールドシリーズ覇者をねじ伏せ、ワシントン監督に「米国に来てから一番いい投球だった」と言わしめた。 「まあ、2回目なんで、逆にこういうピッチングを多くして、『あと1人でできなかった』という世界記録をつくって伝説になりたい」 試合後は自虐ギャグで無念さを押し隠したエース。「世界一の投手になりたい」と海を渡って3年で、2度もあと一歩に迫った。偉業はならず。だが、いつかきっと−。右腕の底知れぬ可能性を、あらためて示した126球だった。 PR情報
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