岡田将平
2014年5月10日19時44分
長崎原爆の日の8月9日にある平和祈念式典で、長崎市長が読み上げる平和宣言文の内容を練る起草委員会の今年度の初会合が10日開かれた。委員からは、集団的自衛権の行使容認などを進める安倍政権の姿勢を懸念する文言を平和宣言に盛り込むよう求める声があがった。
起草委は田上富久・長崎市長が委員長を、被爆者や大学教授ら14人が委員を務めている。長崎総合科学大の芝野由和・長崎平和文化研究所長は「今年は特に平和国家のイメージが大きく変わろうとしている」と指摘。集団的自衛権の行使容認などについて「武力行使をもためらわない行動への参加意思だ」と懸念を示した。長崎原爆被災者協議会長の谷口稜曄(すみてる)さんは「集団的自衛権がまかり通ると戦争につながる」。被爆者の土山秀夫長崎大元学長も「今年ほど憲法の危機に遭遇している年はない」と語った。
田上市長は会合後、「色々な要素が出てきたので、どれを抽出するか、今回の意見を分析し、考えていきたい」と述べた。6月14日の次回会合で、市が素案を示す予定だ。
長崎市の平和宣言は時代ごとにメッセージを発してきた。昨夏は日本政府が核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委で、核の非人道性を訴える共同声明に賛同しなかったことを批判。東日本大震災があった2011年には、起草委の議論を踏まえ、「原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要」と「脱原発」を求める内容となった。(岡田将平)
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朝日新聞社会部
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