福島県で鼻血を出す人がいた場合、被曝が原因か否かについて、自分の立場として「ある/なし」と、美味しんぼの表現内容について「ある/なし」で2分すると以下の図のようになります。
それぞれの立場を簡単に述べると、以下の4つにまとめられますね。
(1)被曝が原因ではないのに、美味しんぼは原因だと言っている
(2)被曝が原因で、美味しんぼでも原因だと言っている
(3)被曝が原因ではないし、美味しんぼでも原因だと言っていない
(4)被曝が原因なのに、美味しんぼでは原因だと言っていない
さて、ここで美味しんぼに対して「風評被害を招くものだ」と言ってるのは、(1)の人だけです。
(2)の人は「そもそも風評じゃなく事実だから問題なし」ですし、(3)の人も「風評を招く表現ではないから問題なし」です。
私が不可解に感じて前回エントリで取り上げた人たちというのは(4)の人です。この人たちは、「微量被曝で鼻血が出る可能性は否定できない」としながらも、「美味しんぼは被曝で鼻血が出たと言ってないんだから風評被害を訴えるべきではない」と言いました。
そこで私は、「なぜあなた達は(2)の立場を取らないのか。作者自身の立ち位置は(2)なのだから、(1)の立場から批判するならまだしも(4)の立場から擁護されるのは作者としても不本意なのでは」と言ったわけです。
もし(4)の立場の人が真剣に福島の人の健康を心配するのなら、雁屋氏に向けてこう批判するはずです。
「医学的見地はないとか、なんでそんな公式見解でお茶を濁すのか。被曝が原因かもしれないことを強くアピールして世論を動かすべきではないか」と。
605話の早売り情報によると、私の指摘通り(というか、普通の読解力でわかることですが)雁屋氏は(2)の立場を鮮明にしたようです。
とすると、被曝の影響についての意見はどうあれ、雁屋氏の訴えたかったことをきちんと受け止めた人は(1)と(2)の人に限られ、(3)と(4)の人に雁屋氏の表現は伝わらなかった、ということになります。
まあこうなるのはわかりきっていた話で、だからこそ私は「擁護する人は読んだの?」と聞いたわけです。読んでなければ(1)と(3)、または(2)と(4)のどちらの立場を取るかは留保すればいいからです。読んだ上で言ってたとするなら度し難いのです。
もちろん(1)(3)の人は買って読みたくもないはずなので、私のブログを読めば判断つくだろうという趣旨もあって前回エントリに記したわけですが、(4)の立場の人で(2)に立場を変えた人はいたのでしょうか?ちょっとだけ興味があります。
なお、本エントリは「美味しんぼ作者はこの作品をフィクションではなく現実社会の描写として扱っている」という前提で書いております。漫画なんだし架空の登場人物もいるのだから云々という議論は他所でやってください。
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