はじめまして。リブセンスの内田と申します。
自社運営メディアのWebマーケティングを担当しています。
今回は AdWords API をリスティング広告のキーワード調査ツールとして使用した例をご紹介します。
AdWords API では Suggest API などとは違い、キーワードの検索ボリューム付きで結果を取得できます。価値あるワードを自動で大量に取得することで、考える時間の短縮ができたり、思わぬキーワードの発見ができたりするので、是非参考にしてみて下さい!
AdWords API とは Google AdWords 用の管理インターフェースです。
AdWords広告の出稿・予算設定・単価調整など、広告管理ツールとしての基本的な機能に加え、キーワードプランナーの機能を使用した最適化ツールや各種ユーティリティが使用できます。
使用に際して Google に申請が必要ですが、無料で使用できます。(昔は有料だったようです) 通常の申請でもらえる権限には 10,000APIアクセス/日 という制限がありますが、私が使用する範囲では特に問題を感じません。
今回使用したのは最適化カテゴリに属する Targeting Idea サービス という機能です。AdWords API を使用すれば、今回紹介する機能の他にも
などなど色々と面白そうなことができます。また、機械学習アルゴリズムや数理最適化ツールと連携させることで広告出稿を最適化するといったこともできるはずなので、将来的に挑戦したいと思っています。
※ご参考:先日、岩崎が紹介した AdWords Script は AdWords API とよく似たツールですが、手軽に使うものという思想で作られているためか、API でできるが Script ではできない機能がいくつかあります。(例:複数アカウントの一括管理ができない、処理のタイムアウト制限(30分)がある、キーワードプランナー系の機能が使用できない、等)
ここからは、実際の手順を紹介していきます。
Step1~6 の話はこのエントリの最後に参考事項として書きました。細かい話が多いので、AdWords API でどんなことができるかだけ知りたいだけの方は読み飛ばしてもらって構いません。
AdWords API の導入が終われば、サンプルコードに手を加える形でプログラミングしていきます。今回は、当社のアルバイトメディア「ジョブセンス」の広告キーワード候補を出すことを目標に、「バイト」という初期ワードから次々にワードを生成するようプログラミングを行いました。(下図が完成イメージ)
3世代目以降では有用なワードの取得効率が落ちると考えられたため、今回は3世代目までツリーを伸ばすようにプログラムを組みました。プログラムの動作イメージは以下の図です。⑧以降は、有効なワードが取れなくなるまで⑤~⑧の動作を繰り返します。
サンプルコードの設定からの主な変更点は以下の通りです。
レスポンスのフィルタリングは以下の基準で行いました。
以上の設定でプログラムを動作させ、約3000ループ(1.5時間ぐらい)で約25,000語ほどのキーワード候補を取得することができました。
最後に、取得したキーワードを確認します。今回取得したキーワード候補のなかには、
といった、比較的検索ボリュームがあるものの当社では見落としていたワードもあり、新しい気付きとなりました。また、検索数はそれほど多くないものの、
といった通常の発想では思いつきにくい検索ワードがたくさんあり、見ていて非常に楽しかったです。
上記の通り、広告キーワード候補を自動的に取得することができました。
当社ではアルバイト求人サイトの他にも、賃貸サイトや転職サイトも運営しているため、同様の施策を展開していきたいと思っています。
言うまでもないことですが、自動的に取得したワードは全て使用できるわけでなく、自社の価値創出に貢献するものを選び出す必要があります。しかし、自動化によりアイデア出しの時間短縮ができたり、上記のようにメディア間の横展開が非常に楽になったり、思ってもいないワードを発見できたりします。良ければみなさんも使ってみて下さい!
Step1~2 の説明は省略しますが、まだ AdWords を使っていないアカウントでクライアントセンターアカウントを作成するという点に留意してください。(既に AdWords を使用しているアカウントだと AdWords API 申請に進むメニュー項目が表示されないことがありました)
※使用は無料ですが、スパム防止のために登録させているものだと思います。
※ Windows 環境であれば以前に三輪が紹介した Chocolatey を使うとすごく楽なので使ってみて下さい。
ここからサンプルコードを取得しておきます。AdWords API で使用できる機能にはひと通りのサンプルコードがあり、大変助かります。
サンプルコードはアクセストークンの取得にも使用します。
AdWords API を使用するためには OAuth2.0 の認証が必要なので設定します。