「外は気持ちがいいな」袴田さん近況、姉が報告　口数も増える

大阪市で開かれた取り調べ可視化のシンポジウムで、袴田巌さんの近況を報告する姉の秀子さん＝10日午後 Photo By 共同

　再審開始決定を受け釈放された元プロボクサー袴田巌さん（７８）の姉の秀子さん（８１）が１０日、大阪市で開かれた取り調べ可視化のシンポジウムに参加し、袴田さんの近況について「散歩に連れて行くと『外は気持ちがいいな』と話すようになった」と報告した。

　袴田さんは東京の病院に入院しており、秀子さんと３０分ほど散歩に出ると喜んだ様子を見せ、少しずつ口数も増えてきているという。

　糖尿病のため、収監されていた東京拘置所（東京都葛飾区）ではお菓子の差し入れができなかったが、秀子さんは「今は、ものすごくお菓子を食べたがっている」と話した。

　終了後、秀子さんは故郷の静岡に戻る時期について「めどは立っていないが、最終的には連れて帰りたい」と説明した。

　シンポジウムは大阪弁護士会が主催。元東京高裁判事の木谷明弁護士は「密室での取り調べが冤罪を生んでいる」と指摘し、取り調べ可視化の必要性を強調した。

　一方、袴田さんの弁護団は１０日、静岡市内で開いた会議で、静岡地検の即時抗告の速やかな棄却を求めるため、裁判所と検察側、弁護団の三者協議を開くよう東京高裁に申し入れることを決めた。

　袴田さんの静岡県内の病院への転院時期については、今月１９日に東京・後楽園ホールで開催される日本プロボクシング協会のイベントに参加した時の様子などを踏まえ検討したいとしている。