本当にフランスの専門家が参加して点検したのだろうか。「29種1万7000個」がいつのまにか「4社数十万個」に拡大してしまった。
規格に未達の部品だからといって、ブレーキが利かないわけではない。そこで賄賂をもらって、明るく「ケンチャナヨ」(=不正を容認する言葉、まあいい)となったのだろう。
旅客船沈没事故は韓国社会全般の「安全意識の低さ」を浮き彫りにした。が、その背後には、お決まりのように汚職がある。他人の安全より、わが利得−「滅公奉私」と呼ぶべき伝統的宿痾(しゅくあ)だ。
KTXや原発で事故が起きないよう祈るしかない。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。