STAP細胞:「信頼性根本から壊す」小保方氏の不正確定

毎日新聞 2014年05月08日 21時20分(最終更新 05月09日 05時21分)

小保方氏をめぐる手続きの流れ
小保方氏をめぐる手続きの流れ

 新たな万能細胞とされる「STAP細胞」の論文不正問題で、理化学研究所は8日、不正認定に対する筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)からの不服申し立てを退けることを決め、再調査しないことを小保方氏側に通知した。論文中の2件の画像に改ざん、捏造(ねつぞう)があったとの認定が確定し、理研は同日、小保方氏の処分に向けた懲戒委員会を設置した。また英科学誌ネイチャーに掲載されたSTAP論文2本のうち1本の撤回を勧告した。

 処分は1カ月程度で出る見通し。理研の規定によると、研究不正が認定されると諭旨退職または懲戒免職とされ、情状によって出勤停止などに軽減できると定められている。理研は管理監督者として、小保方氏が所属する発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長、共著者でもある笹井芳樹副センター長も処分する可能性があるとの見方を示した。客員主管研究員の若山照彦・山梨大教授は、理研と雇用関係がないため、対象としない。

 理研の調査委員会(委員長・渡部惇弁護士)は、不正と認定した画像の切り張りと流用について改めて検討。その結果、論文が掲載される2年前、小保方氏らが米科学誌サイエンスに投稿した同趣旨の論文が却下され、その中で画像を切り張りした場合は線を引いて区別するよう求められていたことが新たに判明した。調査委は「この時点で正しいデータの提示法を認識していたはず」として、「投稿規定を知らなかった」との小保方氏の主張を退けた。また、小保方氏が「見やすくしただけ」と訴える画像の加工によって、データが正確に読み取れなくなったとの判断も示した。

 画像の流用についても、データのずさんな管理を小保方氏が認識していたことや、正しいとする画像の実験の日付が実験ノートで確認できない点などを指摘。「たまたまの失念とは評価できず、研究者社会におけるデータの信頼性を根本から壊す」と批判し、不正認定の結論を維持した。

 また、小保方氏の実験ノートについて、調査委員の真貝洋一・理研主任研究員は「メモ書き程度で、他人が検証しようとしたら不可能なレベル」と印象を語った。小保方氏は調査委に提出した以外にも実験ノートがあると主張していたが、追加提出はなかった。

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