一方、関係者によると、この男性教諭は授業中に「君が代を歌う社会科教師はいない」とも語っていたとされるが、平野校長はこう釈明した。「彼が『かなり前の時期なので記憶は曖昧だが』と断った上で言ったのが、『社会科の教員の中では、君が代を歌う先生は少ないのではないか。もしくは、あまりいないのではないかという自分の推測で言ったことはある』ということだった。『あなたは歌いますよね』と尋ねたところ、『当然、歌います』と言っていました」
平野校長は取材の最後に「念のため、申し上げておきたい」と断った上で、こう述べた。「私は校長として、先生方に『公教育ですので教育内容の公平中立は必ず保ってください』という話を常々しています」
だが、そうであるなら、なぜ平野校長は、下村文科相や都教委がそろって「不適切」との見解を示したこの出題を「悪くない」と言い切ったのだろうか。平野校長の言う「公平中立」とは、一体何なのだろうか。
5月1日、改めて平野校長に見解を尋ねた。
記者「今も不適切な出題ではなかったという見解ですか」
校長「あの(報道の)後、多数のいろいろな意見をいただき、冷静に考えてみると、出題した教諭本人に誘導する意図はなかったとはいえ、誘導しているという誤解を与えかねない出題だったと今は校長として思っています」