在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地建物の競売を巡り、東京地裁(酒井良介裁判官)は24日、22億1千万円で落札した不動産投資業、マルナカホールディングス(高松市)への売却を許可する決定をした。総連側は同日、東京高裁に執行抗告の手続きを取った。決定が確定すれば、マルナカ側は総連に立ち退きを求める意向を示している。
売却許可決定が出たのは、東京都千代田区富士見にある朝鮮総連中央本部の土地(約2390平方メートル)と建物(地上10階・地下2階建て)。
■大使館の役割
マルナカの代理人、白井一郎弁護士は24日、高松市内で記者会見し、総連側への貸与は「考えていない」とし、「所有権取得後は明け渡しを求めていく」と強調した。購入理由は「あくまでも投資目的」と説明。取得後の扱いはまだ決めていないが、購入代金は準備済みという。
マルナカ側はこれまでの取材に対し▽更地にして売却する▽新たにマンションやビルを建設したうえで売却する▽現状の建物のまま貸し出す――などの選択肢を挙げている。
朝鮮総連が中央本部を現在の場所に構えたのは1960年代初め。今の建物は86年に建設された。総連幹部は「事実上、北朝鮮の大使館の役割を果たしてきただけに、ここに残るのが理想」とこだわりを示す。
東京地裁が3回目の入札を行わずに、2回目の入札の開札をやり直したことに対し、朝鮮総連の陳吉相・権利福祉局長は24日、記者会見で「裁判所が主導的にマルナカに売却しようとした」と批判。マルナカの落札額は当初落札したモンゴル企業の提示額を28億円下回り、総連側弁護士は「入札をやり直せばより高く売れる可能性があるのに不公平だ」としている。
今後、高裁が朝鮮総連の執行抗告を棄却した場合、総連は特別抗告することもできるが、納付期限までに代金が支払われれば、所有権はマルナカに移転する。
■移転先確保か
公安関係者によると、総連が立ち退きを余儀なくされた場合、移転先として有力視されているのは東京都文京区白山にある「朝鮮出版会館」(地上13階・地下1階建て)。現在は総連の関係団体が入っているが、既に「2フロアが空けられているとの情報もある」(公安関係者)という。
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