製薬大手ノバルティスはタシグナなどの白血病治療薬による重い副作用の疑いがある約30例を把握しながら、国に報告していなかったことが9日、わかった。厚生労働省は薬事法違反の疑いもあるとみて調べている。

 同社は、医師や薬剤師を対象に1月中旬までにアンケートを実施。その調査で、薬事法で15~30日以内に国への報告義務がある重い副作用の疑いが約30例あったにもかかわらず、厚労省に報告したのは4月8日だった。同社は「営業職が行ったアンケートが、国へ報告する社内の担当部署に伝わっていなかった」としている。

 タシグナを巡っては、東京大病院を中心とした臨床研究で、同社社員が患者データを入手するなど不適切な関与があった。この臨床研究でも、重い副作用の疑いが2例報告されたが、その後の調査で報告対象外だったと判断された。