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ボコ・ハラムとは何者か?

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月8日(木)17時20分配信

 ナイジェリアで300人近くの女子生徒が連れ去られた事件に対する怒りが拡大している。首都アブジャでは7日、少女たちの親類や支援者が抗議行動を計画した。この事件をきっかけに、反政府組織ボコ・ハラムが世界的に注目を集めている。アメリカのバラク・オバマ大統領は、“地域的なテロ組織としては最悪の部類に入る”と発言している。

 3週間余り前、地方の学校から276人の少女が連れ去られ、現在も行方はわかっていない。そして、5月に入り、ボコ・ハラムの指導者がビデオで犯行声明を出し、わずか9歳の少女たちを組織のメンバーと結婚させるか、奴隷として売ると宣言した。

 ボコ・ハラムとはいったい何者で、何を求めているのだろう?

◆ボコ・ハラムとは何者か?

 ボコ・ハラムはナイジェリアのイスラム過激派組織。ボコ・ハラムという名前には、西欧の学問は禁止、という意味がある。国の北東部に下部組織や分派が散らばっている。10年以上前、ボルノ州の州都マイドゥグリで若いイスラム過激派たちが組織を結成。暴力的な反政府組織として台頭したのは2010年だ。

◆ボコ・ハラムの目的は?

 ボコ・ハラムの目的はナイジェリア北部にイスラム国家を設立すること。アフリカのテロ組織とつながりはあるものの、国外でジハード(聖戦)を実行するという野心はほとんど見られない。西側の利害関係者が標的にされることはめったにない。

◆なぜナイジェリア北部で結成されたのか?

 統治や汚職の問題、長引く経済的な困窮、格差の拡大が過激派組織の増殖を促している。ナイジェリアのある聖職者はボコ・ハラムについて、“純粋なイスラム組織というより悪政に対する抵抗運動”ととらえている。

 アメリカ平和研究所(USIP)とCLEEN財団が最近行った調査によれば、若い男性がボコ・ハラムに入る3つの主な理由は失業や貧困、過激な宗教指導者による操り、本物のイスラム教に対する意識の欠如だという。

◆ボコ・ハラムの標的は?

 当初の標的は警察署、警備員、軍の兵舎といった政府の関係者や施設だった。最初の大規模な攻撃は2010年。2009年7月に指導者モハメド・ユスフと数百人のメンバーを殺害した国に対する純粋な報復だった。その後は民間人も標的になり、教会や学校、バス停、モスクなどが襲撃されている。相手がキリスト教徒かイスラム教徒かは区別していない。

◆ボコ・ハラムがナイジェリア北東部の人々に与えている影響は?

 ボコ・ハラムが関係する武力衝突で、反乱分子あるいは政府の治安部隊によって5000人以上が命を奪われている。また、暴力や地域に充満する恐怖が原因で、何十万もの人々が住む家を追われている。2013年11月、ジェイムズ・ベリーニ(James Verini)氏はナショナル ジオグラフィックに寄稿し、次のように述べている。「ボコ・ハラムは単なるテロ組織にとどまらず、1つの運動さえも超越する存在になってしまった。その名前は魔法の力を手に入れた。ナイジェリアの人々はボコ・ハラムの耳に届くこと、ボコ・ハラムに命を奪われることを恐れ、ボコ・ハラムという名前を声に出す代わりに“危機”、“不安定”といった言葉を使っている」。

Heidi Schultz, National Geographic News

最終更新:5月8日(木)17時20分

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

 

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