アンパンマンを誘致した33歳課長 奔走2年、運営側「決め手は彼女」
qBiz 西日本新聞経済電子版 5月2日(金)11時11分配信
福岡市博多区の「福岡アンパンマンこどもミュージアムinモール」が1日、開館2週間を迎えた。来館者は目標を1割上回る約4万人。家族連れでにぎわう「夢の国」誕生の舞台裏には、2年間の交渉の末、九州初の施設誘致を実現した東神開発(東京)の営業統括担当課長、福森綾子さん(33)の奮闘があった。
東神開発は百貨店・高島屋の子会社で、ミュージアムが入る商業施設イニミニマニモを運営する。福森さんは2007年に高島屋から東神の本社に出向。施設の店舗誘致を担い、中でも集客に低迷するイニミニマニモの再生は急務だった。
3年前、「街中の親子連れの話題や持ち物の大半がアンパンマンだ」と気付き情報収集。既存のミュージアムの存在を知り、アニメを放送する日本テレビの関連会社に約束を取り付けた。11年11月、一緒に行くはずだった同僚に急用が入り、1人で事務所を訪ねて担当者と面会。間もなく、応接室にミュージアム運営会社の渡辺一彦社長が入ってきた。
理由が分からず「誘致の可能性を探るだけのつもりだった」と一瞬ひるんだ。だが渡辺社長を前に「イニミニマニモを地域から人が集まる施設にしたい」と思いが口を突いて出た。イニミニマニモが別会社の運営下、高級路線で破綻した過去も伝えた。
千葉県出身。祖父は仕事で福岡市や周辺に住んでいた。幼少のころ、祖母の博多弁で福岡の話を聞き親近感が強く「福岡の人は地元愛が強いが、明るく外にも開けている。ふるさと以外で、初めて住んでみたいと思ったまち」。
九州に誘致するライバルが30件近くあった。2年間、ほぼ毎週、渡辺社長に会いに行った。12年夏、イニミニマニモに直結する地下鉄で渡辺社長が視察に来た。「わざわざ利用者と同じ目線で来てくれた。その姿を見て『アンパンマン、来るかも』と涙が出た」
福岡進出を正式発表した昨年10月の記者会見で「高島屋の女子。彼女の熱意が決め手」と語った渡辺社長。「開業日は泣くぞ」とからかわれたが、今年4月18日の開館式典での表情はりりしかった。
「やっとスタートを切れた。この場所を長く存続させて、子どもたちのあの笑顔をずっと見ていたい」
西日本新聞社
最終更新:5月2日(金)11時11分
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