南シナ海緊張 豊富な資源など背景
産経新聞 5月10日(土)7時55分配信
豊富な海洋資源を埋蔵し海上交通の要衝でもある南シナ海の権益をめぐり、中国と東南アジア諸国は1960年代末期から摩擦を繰り返してきた。ここにきて緊張が急激に高まっている背景には何があるのか。
南シナ海にはパラセル(西沙)諸島とスプラトリー(南沙)諸島を中心に200以上の島や岩礁などが存在する。中国はすべての島嶼(とうしょ)の領有権を主張し、ベトナムなどと争ってきた。74年にはパラセル諸島で南ベトナム軍(当時)と衝突し、同諸島全域を掌握。88年にもスプラトリー諸島でベトナム軍を攻撃し、一部の島を実効支配下に置いた。さらに92年に米軍がフィリピンから撤退すると、フィリピンが領有権を主張していた同諸島のミスチーフ環礁を95年に占拠した。
中国の狙いの一つは、海洋権益の確保だ。中国側は南シナ海の資源埋蔵量を石油が367億8千万トン、天然ガスは7兆5500億立方メートルと推計、「第2のペルシャ湾」と期待している。
もう一つは米国の軍事力への対抗だ。潜水艦基地のある中国海南島は南シナ海の深海部につながる。南シナ海から西太平洋に進出すれば、米海軍のプレゼンスをそぐことも可能になる。しかし4月下旬のオバマ米大統領のアジア歴訪で決定したフィリピンへの米軍回帰は、域内の軍事バランスを再び揺さぶり始めた。
今回、中国が本格化させた石油掘削作業の背景について、米軍回帰の動きに対抗するため、実効支配への強固な意志を示す必要が中国側に生じたとの見方も強い。(西見由章)
最終更新:5月10日(土)13時37分
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