「ありがとうございます。帝国ホテルでございます」――。
東京・内幸町にある帝国ホテルの4階。昭和の雰囲気が漂う電話交換機が並ぶオペレーター室で、4人のスタッフが品のあるさわやかな声で着信を受ける。
「明るく元気に笑顔で接客」。その姿勢を磨くために自ら実践していることがある。彼女らが座る交換機の前に小さな鏡を置いているのだ。口角は上がっているか、目元は笑っているか。電話をとる前に一瞬鏡を見つめ表情を整えてから応対する。笑顔に込めた思いが声だけでも十分に伝わると信じて。
「オペレーターは声の玄関。第一声で帝国ホテルの印象が決まってしまうんです」。そう話すのはオペレーター歴25年の蛭田ひとみさん。顔が見えない接客には難しさがあるという。「不安な声はすぐに相手に伝わってしまう。表情は声に出るので堂々とした顔でいることが肝心」。たとえ数十秒の会話でも心からにじみ出る笑顔で、心地よい時間を提供できるようにと、身だしなみや職場環境にも気を使う。爪や髪は伸びていないか、化粧は濃すぎないか、同僚同士で毎日チェック。メンバーそろっての発声・滑舌のトレーニングも欠かさない。もちろん喉や体調管理にも気を使う。
帝国ホテル
「ありがとうございます。帝国ホテルでございます」――。東京・内幸町にある帝国ホテルの4階。昭和の雰囲気が漂う電話交換機が並ぶオペレーター室で、4人のスタッフが品の…続き (5/10)
各種サービスの説明をご覧ください。