ここ10年くらいなにか気味が悪いくらい停滞していた日本だが、ここ最近急激に動きはじめているのを感じる。つまり、いままで停滞と感じていたものは単純に変化が水面下で進行していたということなのだろう。目に見える変化は、ざっとまとめていると以下の様な感じ。
人口動態の変化が社会に与える影響がいよいよ鮮明になってきた(参考: 日本で人手不足経済化が進む | 読んでナットク経済学「キホンのき」 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト)。地方はインフラを維持することが困難になり、高齢化が進んだことで都市部は飲食業・建設業などで労働力不足がより鮮明になってきた。人口減が今後与える影響の試算がいよいよ2030年から壊滅的なものになるのがわかってきており、人口維持をすることを社会がどのくらいの優先度で取り組むべきか迫られる局面になってきた(参考: 日本においては「2020年に残る仕事、残らない仕事」より、人口減が一番大きな変化要素である - Future Insight )
金融緩和によるインフレの影響がいよいよ出始めてきた。いろいろなものの値段がじわじわと上がってきており、それにつられて流動性の高い労働市場、具体的にはアルバイトの都市部の価格が上昇している。飲食業では時給1300円から1500円程度の求人が街を歩いていると普通に見られるようになった。さらに、消費税8%の変更に併せて、表示される金額が税込みから税抜きに変わったので、便乗値上げなのか、価格キープなのかよくわからない感じになっており、なんかよくわからないままインフラがすすんでいる。
中国が米国と同等の覇権国家となり、日本がそのなかで米国の同盟国としてどのようなポジションをとって相対していくかの舵取りが、日本の将来に大きな影響を与えることがいよいよ鮮明になってきた。2014年にはいくつかの経済指標でいよいよ米国と同等(参考: 中国の経済規模は本当に米国を追い越すのか? - WSJ.com)となってきており、これまでの日本の中国に対する接し方から、より戦略的にポジジョンを取っていく必要性が高い。
そんなわけで、いままで静かに進行してきた変化が今年一気に表面化しているのを感じる。ここで注意しなければならないのは、これまで日本は様々な問題を「先送り」することで解決してきたということである。
これは、ドラッカーの「ネクスト・ソサイエティ」に詳しいが、日本は本来は社会を変革しなければいけない場面で、問題を先送りし、その問題がなくなるまで我慢することで産業構造の変化や都市部への人口集中など、通常の国家では問題が勃発する問題を解決したきた。「ネクスト・ソサイエティ」はKindleで50%OFFなので未読の方はぜひ。ドラッカー最後の著作であり、控えめにいっても良本です。
しかし、今回はこの手法は採用できない。なぜなら国家のトレンドとして、これまでは経済は発展し続け、人口は増えるのでパイを大きくなれば、結果として様々な問題を矮小化できたが、今回は経済のパイが小さくなる局面で変化であるから。また、世代交代によって、さまざま世代的な問題を解決していく時間的余裕がない。幸運なことに、日本企業の競争力はまだ維持されているし、、この局面でインフレになっているのは日本にとってはチャンスであり、このタイミングで産業構造や雇用の関係を次の10年に向けて整備しなおす必要がある。
「そんなこと、みんな知っているよ」と言われそうだけど、大事なことなので改めて書いてみました。