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乗り 跳び 舞って 自己表現 北陸で熱い ストリートスポーツ
単なる乗り物じゃない。自転車と一体になって宙を舞い、路面を勢いよく回り続ける−。自転車競技のBMXなどストリートスポーツが北陸で盛り上がってきた。今年1月に金沢BMX協会が設立され、富山市には国内最大規模のスケートパークが今春オープン。若者が街中で発展させてきたスポーツの魅力とは。 BMX 大技次々季節外れの粉雪が舞った4月上旬、金沢市の石川県中央公園でBMXのライダーたちが台の斜面を駆け上がって高くジャンプし、平らな路面では器用に何度も回転。若者らが熱心に見つめていた。 石川県内でBMXを楽しむ人を増やそうと今年1月に設立された金沢BMX協会が初めて企画した体験型のイベント「Cycle Court(サイクル・コート)」。ライダーたちの実演ほか、子どもたちや初心者向けの体験教室、自転車整備の講習会などが開かれた。
BMXは1970年ごろ、米国で生まれた。ジャンプや回転など技の難易度を競う「フリースタイル」は、荒れた道を走り抜けるレースで優勝をあきらめた出場者が目立とうとゴールで大胆なジャンプを決めたり、競技の合間に奇抜な乗り方を見せて観客を驚かせたのが始まり。現在は、障害物を使ってジャンプなどをする「ストリート」、平地で自転車を自在に操る「フラットランド」に分かれている。 車体を垂直に立てて乗ったり、壁面を横に滑ったり、前輪だけで回ったり。「できなかった技ができる瞬間がたまらない」と、ライダーたちは口をそろえる。 キャップやスニーカーなど独特のファッションや音楽といった若者の文化と深く結びついているのもストリートスポーツの特徴。大会ではDJがヒップホップなどの音楽を流して盛り上げる。金沢BMX協会のメンバー、島田湧太さん(23)=小松市=は音楽イベントも主催している。金沢市出身のBMXプロライダー宇野陽介さんにあこがれ、高校1年から乗り始めた。 服や音楽も個性「スポーツというより、自分を表現する手段」と話す。大会以外は乗り方のルールや規定時間はなく、流す音楽も着る服も自由。かっこよく見せる独自のスタイルを大切にしている。 青空が広がった4月末の日曜、富山市の東富山運動広場はBMXやスケートボード、インラインスケートを楽しむ親子連れ約100人でにぎわっていた。
愛好者でつくる「富山市アクティブスポーツ協会」が毎月最終日曜に開いている子どもや初心者向けの教室。ソチ冬季五輪スノーボードの銀メダリスト、平野歩夢選手がスケートボードにも取り組む影響で、熱心な親が増えてきたという。 「幅広い年代が楽しめ、自転車一つで全国に友だちもできる」と協会副会長の青木栄二さん(35)は話す。20歳ぐらいからBMXを始め、富山市のJR富山駅前南口広場で練習していた。BMXやスケートボードなどの愛好者が県内外から集まる交流の場でもあったが、北陸新幹線の整備に伴って2007年に閉鎖。練習場所に困り、市に新たな活動拠点の整備を約10年前から求めてきた。仲間との署名活動などが実り、国内最大規模のスケートパークが今月1日オープンした。 若者の過激なサブカルチャーと捉えられがちだったストリートスポーツ。「次の世代が育つ環境を残していきたい。野球やサッカーのように広まれば」と青木さんは願っている。 富山に一大拠点富山市婦中町に1日に誕生したストリートスポーツの拠点「NIXS(ニックス)スポーツアカデミー」。 BMXやスケートボード、インラインスケートが楽しめるスケートパークゾーン(5400平方メートル)は、世界で200以上の整備を手掛けてきた米国のカリフォルニアスケートパーク社が設計を担当した。 人工の壁を素手で登るボルダリングやストリートダンス用の施設ほか、音楽イベントなど多目的に使える広場も。市は土地取得も含めて約9億5200万円の事業費を投じた。 総面積は1万500平方メートルで、規模は国内最大級。市スポーツ課の担当者は「ストリートスポーツへの関心は高まっており、普及の弾みになる。県外からの集客にもつながれば」と話している。 金沢BMX協会 初心者らも楽しめる体験型のイベントなどを今後も開いていく。金沢市出身のプロライダー宇野陽介さんも協力している。9月には小松市で宇野さん主催の大会C3JAMも予定されている。メンバーの島田湧太さんが個人で主催する音楽イベント「RUBSALT IN TO THE WORLD」は今月10日午後10時からMANIER(金沢市片町)で開かれ、BMXライダー、DJとして活躍するDOKOらが出演。前売り2500円、当日3000円。問い合わせは協会事務局=電0761(23)1281=へ。 富山市アクティブスポーツ協会 毎月最終日曜に開いている教室の会場は5月末まで東富山運動広場、6月からNIXSスポーツアカデミーに変更。メンバーの指導でスケートボード、BMX、インラインスケートが体験できる。2歳ぐらいから乗れるペダルなしの自転車ストライダーも用意される。参加費は保険料100円。教室やイベントの情報は協会のウェブサイトやフェイスブックで発信している。 担当・押川恵理子 PR情報
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