ネットをしていて、読めない漢字に出会うことって結構ありませんか? 私は、十七才から二十二才までの、難しい漢字を覚える一番大事な時期に日本にいなかったので、正直読めない漢字が結構あります。日本の大学に編入したときも、定期券の申し込みの時に大学名や大学の住所が分からずに携帯で変換したのを見ながら書いたりしていました。二学期に渡って日本語の難しめの文章の読み書きを勉強するコースを受講して、日本の大学受験に使うような漢字のドリルを勉強したので、だいぶ分かるようになったし、今では「脱構築」が「だっこうちく」ではないということも知っていますが(笑)、ちょっと専門的な文章になると字面と意味だけ分かっているけど読み方がわからない単語というのがたくさんあります。実は隠してるだけで、他の人たちも結構わからない漢字をスルーして読んでたりするんじゃないか、とか思っています。
読めない漢字をスルーできるというのは、文章中の読めない漢字の割合が少なかったり、あるいは何度もスルーし続けた結果「声には出せないけど意味はだいたい知ってる」言葉が増えて来たりするということで、たとえば使われている漢字のうち八割が読めなかったら、たぶん読む気が途中で失せてしまうのではないかしら。
というわけで、日本語を勉強している人に向けて、インターネット上の文章にひらがなをつけてくれるサービスというのが四つくらいあります。そのひとつが、「ひらひらの ひらがなめがね」さんです。私のお気に入りです。
このサービスは、「読み手」のためのものでもあるのですが、「書き手」にとってもすごく便利なサービスです。つまり、ブロガーが自分のブログにふりがなを付けることが簡単にできるんです。
今日は、その方法をみっつ紹介します。
ひとつめは、ものすごく簡単な方法です。ブログのサイドバーやヘッダー付近など、どの記事を見ていても表示されるような場所に、以下のリンクを付けるだけです。
<a href="javascript:void(location.href='http://trans.hiragana.jp/ruby/'+location.href);">ふりがなをつける</a>
<a href="URL">表示する文字</a> と書くと、「表示する文字」という部分だけが表示され、リンクになって、クリックすると「URL」に飛べるようになります。ここでは、「ふりがなをつける」という表示だけが残って、そこをクリックすると javascript から始まって href); で終わる URL に飛ぶようになります。この見慣れない URL は普通の URL とは違って、「http://trans.hiragana.jp/ruby/ という URL の直後に location.href (つまり、今表示されているページの URL )を付けて、ひとつの長い URL にしてね」という指示を出すような技が使われています。こうすることで、ひらがなめがねさんのトップページにあなたのブログ記事の URL をコピペしてふりがなを付けたときと同じものが出るようになっています。
ひらがなめがねさんのサービスは優秀なので、ここで「ふりがなをつける」をクリックしたあとは、そのページからどこをクリックしても、ずっとふりがなをつけてくれます。でも「もういいよ! もうふりがなはいいよ!」って思ったときとか、あるいは「ツイッターでシェアしたいけど、このままシェアするとふりがな表示の URL になっちゃうから、元のふりがなが無い URL に戻りたい!」と思った場合に、このままでは戻ることができません。なので、「ふりがなをつける」の隣に、次のリンクを付けましょう。
<a href="javascript:void(location.href=location.href.replace('http://trans.hiragana.jp/ruby/',''));">漢字ありで読む</a>
ここでの URL は、「今表示されているページの URL のうち、http://trans.hiragana.jp/ruby/ という部分を "(文字なし)と入れ替えてね」という指示を出す技になってます。つまり、追加していた部分を削って、元の URL にしてね、ということですね。
実際にこの方法が機能している例としては、私のメインブログや小山エミさんのブログをご覧ください。
次に、上のリンクをサイドバーやヘッダーに入れることが出来ない場合の対処法(というか妥協案)を紹介します。
私はシカゴ大学の The Atomic Age というサイトの管理をしているんですが、このサイトは WordPress というシステムの簡易版で、シカゴ大学の技術部(?)が管理しているため、上のようなリンクを付けることができません。なので、サイドバーに以下のようなリンクを付けました。
<a href="http://trans.hiragana.jp/ruby/http://lucian.uchicago.edu/blogs/atomicage/">ひらがなをつける</a>
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<a href="http://lucian.uchicago.edu/blogs/atomicage/2012/06/11/noruby/">ひらがなをはずす</a>
この場合は、「ひらがなをつける」をクリックすると、今開いているページではなく、ブログのトップページにふりがなを付けた表示がされます。「今開いているページ」の URL を引っ張り出す指示が出せないためです。なので、読者は「ふりがなをつける」をクリックしてトップページに行ってから、最初に開いていたページをまた探す必要があります。
「ひらがなをはずす」の方は、 WordPress 上に手動で作ったページへのリンクになっています。このページでは、ブラウザのアドレスバーで「http://trans.hiragana.jp/ruby/」という部分を自分で外してもらうように、説明しています。
この方法は読者に大きな負担をかける方法なので、あくまで妥協案です。ひとつめの方法がどうしても出来ない場合で、かつ、次に紹介する三つめの方法で実現するには書き手の負担が大きすぎると判断した場合のみ、この方法を使うといいと思います。
三つめの方法は、ひらがなめがねさんの無料会員になって、「ひらがな変換」サービスを使うことです。
ログインしたあと「ひらがな変換」というところを開くと、テキストボックスが画面の左側と右側にひとつずつ配置されているので、その左側のテキストボックスに自分の文章を書いて(もしくはコピペして)、「For Web Creater」にチェックを入れ、「変換」を押すことで、右側のテキストボックスに「ふりがなタグ(ルビタグ)を付けたバージョンが表示されます。これをコピーして、自分のブログの記事本文のところに(「HTML編集」モードというのがあると思うので、それを選んでから)ペーストすると、記事本文にふりがなが付きます。
この方法では、読者は誰でも全員(「ふりがなをつける」を選択するのではなく、最初から)ふりがな付きの記事を読むことになります。ふりがなが付いていても誰も損するわけではないので、この方法で良いのではないかと思います。
ちなみに、今書いているこの記事も、この方法でふりがなをつけました。
「書き手にひと手間増える」というデメリットを除けば完璧に見えるこの方法ですが、ふたつ問題があります。
ひとつは、ふりがな変換が完璧ではなく、ときどき間違いもあるということです。特に地名や人名は、ひらがなめがねさんがどれだけ優秀でも、エラーが発生することがあります。これは、ルビタグをブロガー自身が理解して、適宜修正することで対応するしかありません。
たとえば私は、「にっぽん」という読み方が個人的に好きではないので、「日本」には「にほん」というふりがなが付くように修正しました。
ルビタグは、以下のような構造になっています。
<RUBY><RB>漢字</RB><RP>(</RP><RT>ふりがな</RT><RP>)</RP></RUBY>
まず、ふりがなを付けたい漢字を <RUBY> と </RUBY> で挟んであります。その中で更に、漢字部分を <RB> と </RB> で囲みます(これは古い仕様なので、無くても大丈夫だそうです。ひらがなめがねさんの自動変換では使われています)。そしたら、ふりがなにあたる部分を <RT> と </RT> で囲みます。これが基本です。 <RT> と </RT> で囲んだふりがなの両脇に <RP> と </RP> で囲まれた半角括弧がありますが、これは、ルビタグに対応していないブラウザで表示した時に漢字のすぐ横にふりがなが表示されないように、ふりがなを括弧で囲んで表示させるためのものです。修正するだけなら、ここは弄る必要はないと思います。
もうひとつの問題は、「ひらがな変換」の左側のテキストボックスに入力したものは、変換ボタンを押すと、自動的に全部「文字列」のように扱われてしまうというものです。つまり、自分で画像(IMG)タグや引用(BLOCKQUOTE)タグ、フォント(FONT)タグなどを使っていると、変換ボタンを押して右側のテキストボックスに表示されるときに、タグとして機能しないものに変換されてしまうという問題です。
例えば、 <FONT COLOR="RED"> は <FONT COLOR="e;RED"e;> に変換されます。
なので、まず「ひらがな変換」の左側のテキストボックスではタグを使わずに文章を書いて、変換したものをブログの記事作成画面にコピペしたあとに、画像を挿入したり、引用にしたり、フォントを変えたりしなければなりません。たとえば、上で「私のメインブログ」という部分はリンクになっていますが、ここのリンクを実現するためのAタグは、あとから付けています。ちょっとめんどくさいですね。
というわけで、サイトやブログをやっている人が自分の文章にふりがなを付ける方法をいくつか紹介してみました。よかったら使ってみてねー。あと、もっといい方法を知ってるぜっていう人は、ぜひ教えてくださいー!