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2014.05.06(火)

東京国立近代美術館映画をめぐる美術』『MOMAT コレクション』『地震のあとで―東北を思う3』 07:50 東京国立近代美術館『映画をめぐる美術』『MOMAT コレクション』『地震のあとで―東北を思う3』を含むブックマーク 東京国立近代美術館『映画をめぐる美術』『MOMAT コレクション』『地震のあとで―東北を思う3』のブックマークコメント

東京国立近代美術館の展示内容ががっつり濃いのでご紹介しておきたい

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まずは特別展の『映画をめぐる美術マルセル・ブロータースから始める』

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ベルギー芸術家ブロータースの実験映画が5つ、キュラキュラフィルム上映される部屋を中心に、6つの通路の先へ11人の作品を見つつ、戻りつ、の構成。じっくり見る映像作品が多いので、鑑賞にはかなりの時間がかかる。しかし見る価値のある映像が多い。“映画を読む”がテーマになっており、個人の体験と事件出来事が、映像という手法媒介に融合したり、歪められたり、じっくり見て考え込む、まさに映像を読み込む、そんな作品が多く展示されている。はっきり言って、面白いけど疲れる。

以前、京都でも展覧会を見ており

映画をめぐる美術』という展覧会映画映像作品に関連した美術の展示であり、当然、映像作品も多めにありつつ、いろいろ、でありまして。マルセル・ブロータースの、なにやら断片的な映像カラカラと複数な投影から映し出される、ウテナとかああい方面スタイリッシュ大好きな方にはたまらない感じの展示空間からはじまり女優写真スクリーン写真、なんだかよくわからない、頭の中が???となりながら見ていくのだけれど…。

田中功起空間、そしてアンリ・サラの、アルバニアの内紛に題材をとった作品を見るあたりから、頭の中の???が、徐々に!!!に変わっていく、そう、快感。何かがかっちり、頭の中でつながっていく感じ。京近美発で椿昇ウィリアムケントリッジ、マイ・フェイバリット展などなど、とても刺激的な展覧会が次々に開催されたあの興奮を彷彿とさせるワクワク。

映像批評性、静かに回る沢山のフィルム田中功起やなぎみわにミン・ウォンアルバニアの内紛にアメリカ銀行強盗重信房子、散乱するフィルム書籍権力表徴としての風景アフリカの亡霊、イメージメタ映像、氾濫するイメージイメージイメージ!ほんと、今年は魅力的な展覧会が多いけど、現代に限ればNo.1じゃないでしょうか、とおもったのであります来年には東京にも巡回するし、これはもう一回見ておきたいですね。

京都国立近代美術館『映画をめぐる美術』と、月と酒 - 日毎に敵と懶惰に戦う

と記載しているのだけれど、読んでいただけばわかるとおり京都では最初にブロータースのフィルムが上映される空間があり、それから作品が順番に続くので、ブロータースがたんにプロローグ的な扱いであまり印象に残らなかった。今回の東京では、行きつ戻りつ…という構成にすることで、展示の意図がよりわかりやすくなっている。

個別に見ていくと、アンリ・サラの“インテルヴィスタ”は、アルバニア労働党空疎熱狂と、インタヴューを受ける母親映像発見媒介に、当時の関係者に会って話をきいたり、音の無い映像から読唇術言葉を拾って母親に見せて、私はこんなこと言っているの?単語の羅列でまるで意味をなしてないじゃない!と驚愕していたり…。まるで『ゆきゆきて、神軍』的に蘇る過去、捻れた記憶、大変面白い

エリックボードレールによるドキュメンタリーフィルム重信房子、メイ、足立正生アナシス、そして映像のない27年間”では、日本赤軍をめぐるドロッとした過去が蘇り、“略称連続射殺魔”が映し出す“犯人視点の”日本風景が醸し出す疎外感。重信房子のそれと合わせて、意識される異邦人視点

エールユイグ“第三の記憶”は、実際に起きた銀行強盗事件と、それを元にした映画狼たちの午後』と、そして、犯人自身による再現映像(つまり、第三の記憶)、セットの中で犯人自身が指揮しながらの再現風景に混ざる映画微妙に改変されていく記憶事実が虚実ない交ぜになっていく不思議感覚

ほかにも、やなぎみわの“グロリアレオン”は女子学生による演劇メタ風景田中功起最近プロジェクト、アイザック・ジュリアン“アフリカの亡霊”も妙に不穏だったり、見飽きない展覧会だった。とにかく京都展と会場構成が相当異なっており、東京のほうが狙い通りなのかなと思うので、京都で見ていてもこちらも見て星のだった。しっかり見ると3〜4時間くらい、さっと見ても2時間くらいはみておいたほうがいいかも…。関連してこの記事もどうぞ

二階堂ふみと行くアートの世界『映画をめぐる美術』展 - 連載・コラム : CINRA.NET

京都国立近代美術館『映画をめぐる美術』アーティスト・トーク田中功起についての感想の一部 - Togetterまとめ

さて、MOMATコレクションである

展覧会情報所蔵作品展  「MOMAT コレクション」

凄い、メッセージ性がどんどん強くなるな!いきなり関東大震災からはじまり、時勢への抵抗としての眠り、動物となり組のアニメ1943-1947で変遷する表現戦後反動とそれへの抵抗、科学技術信奉と原発事故アメリカの影…おそらく、今回も3、4階の『何かがおこってる?:1923、1945、そして』は鈴木勝雄さんのキュレーションだと思うんだけど、あの『実験場1950s』以降、変奏しながら続く『何かがおこってる』で、今の政治情勢に警告を発するように強いメッセージを発信し続けていて、いいぞもっとやれと思いつつ、いろいろ大丈夫なのか心配になるほど。

亀倉雄策ポスター原子エネルギー平和産業に!』『東京オリンピック』『札幌オリンピック』が並べて展示されているあたり、おおぅ…としびれてしまった

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鈴木勝雄さんキュレーション展覧会についての以前の記事はこちら

国立近代美術館『沖縄・プリズム 1872-2008』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

東京国立近代美術館『美術にぶるっ!』展がいろんな意味ですごい - 日毎に敵と懶惰に戦う

東京国立近代美術館『ジョセフ・クーデルカ展』と『何かがおこってる:1907-1945の軌跡』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

コレクション展についてはこんなまとめもどうぞ

コレクションを巡って - Togetterまとめ

鈴木勝雄さんのこんな文章もどうぞ

《不在の類型学 日本における概念的な芸術の系譜》(PDF)

さてコレクションとして個別の作品で見ていくと、ハイライトのコーナーにあった鏑木清方明治風俗十二ヶ月がまた素晴らしいし

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松本竣介のY市の橋

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靉光自画像山下菊二のあけぼの物語

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横山操の塔

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など、何度も見ている好きなものも嬉しかったけど、はじめて、では、川端龍子の“新樹の曲”が良かった。デザイン性が卓抜している

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そして、映像のコーナーも見どころ。岩波映画日本発見シリーズ 長崎県』には、1960年代初頭、最盛期の端島軍艦島)の生活がかなり長尺で出てくるし

『安全な』軍艦島への旅は、それでも行く価値がある - 日毎に敵と懶惰に戦う

他にも同時期の造船所、李承晩ラインを巡る攻防、佐世保米軍基地大村入国者収容所などが活写されている貴重映像なのだ。2階に降りてくると、だいぶん落ち着いた感じになります

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ここで行われている小企画『地震のあとで:東北を思う?』も、チンポム藤井光宮本隆司震災津波原発事故関係映像どっさりだし、しっかり見ているとめちゃくちゃ内容濃くて重くてグッタリなのだった…。とにかく今回の東京国立近代美術館、3時間半以上いたけど、まったく消化しきれず、これは1日仕事だな…と思ったわけです。時間に余裕をもって、行くことをお勧めしたい次第であります

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