天海祐希、小栗旬出演!読売テレビ開局55年記念ドラマ「お家さん」 2014.05.09

この女名前をよねと言う。
たった今離縁されたばかりである。
…が納得がいかない
(よね)惣七はん。
そこにいてはるんやろ。
うちはなんも悪いことしてへんのやで。
ほんまはお義父はんが決めたことであんたのほんとの気持ちは違うんやろ?
(戸の開く音)あっ…お義父はん!
(惣平)女の分際で口答えすな!さっさといね!この疫病神!わかりました!いにます!こんな家さっさと出ていったるわ!
明治の初めの頃まだまだこんな強気な女には生きづらい世であったが…
ある貧乏ったれに出会ったことでよねの運命は大きく変わる
これがその男金子直吉
(直吉)紙くずはゴミやないき。
集めたら金にかわるき。
おっ!お〜!お〜!お〜!はっは〜!わしは運がええ。
前途洋々じゃ〜!
たった十銭の金に狂喜乱舞するこの土佐者とよねはこののちなんと世界を席巻する巨大商社をつくりあげる
死ぬんやったらな全部やってから死になはれ!
2人のつくりあげた店の名は『鈴木商店』
その勢力は世界各地に及び第一次世界大戦の戦場の塹壕にはその名を記した土嚢がうずたかく積み上げられた
スエズ運河を通る商船の半分が鈴木の貨物を積んでいたと言われるほどであった
これらの名だたる会社はすべて『鈴木商店』から発展した会社である
関連会社五十以上社員総勢二万五千人の頂点に立つ女性社長こそ鈴木よねその人である
日本が最も元気だったその頃日本経済の屋台骨を支えて明治大正昭和を駆けぬけたひとりの女傑の物語である
このわからずや〜!
(鐘の音)
(号外売り)号外号外!号外!号外!号外やで〜!
(仲右衛門)ああ兄さん一枚ちょうだい。
おおきに。
おおきに。
号外号外!
(仲右衛門)西郷さんが死んだか。
西南戦争は政府軍の勝利やて。
武家の世はいよいよしまいでこれからは商いの世やな。
よね…おいよね!はあ〜。
ええなぁ。
あんな外国船一度乗ってみたいなぁ。
神戸なんて子どもの頃一度来たきりやけどこんなに賑おうてるとは思わなんだ。
物見遊山に来たんとちゃう。
二度目の嫁入りに来たんやで。
もうちいとしおらしうせんかいな。
そやかて兄さん前の家を追い出されたんはうちのせいやありまへんで。
竹蔵兄さんのとばっちりをこうて私まで…疫病神みたいに言われて…。
負けへんで今度は。
せやからそれがあかんのやて。
ええか今度の家ではおとなしうしおらしうして小さなってまあ限度はあるやろうけどなるたけ小さなって…。
あのな!
(占い師)なにを占います?うちなこれから嫁入りするんだす。
どんな卦が出とりますやろ?おいよね!もうお金払てしまいました。
(占い師)大きな船が海を渡っとる。
(占い師)船。
これも船。
ぎょうさんの船があんたの周りに集まってきとる。
男の漕ぐ船や。
へえ!引く手あまたちゅうことかいな。
なあ兄さんうちの周りに男はんがぎょうさん集まってくるんですて!そういう意味やない。
あ…そうだすか。
ほお…。
木は男。
あんたは土。
土?木を育てる土や。
あんた次第で木は森にもなる。
砂漠にもなる。
あんたが気張れば木は喜んで茂りに茂って天を抜きいずれは大きな森となる。
へえ〜どういう意味やろか。
なあ兄さん。
よね!おおきに。

これがうちが嫁いだ鈴木商店だす
鈴木商店の創業は明治七年。
外国商館から砂糖を買い入れ国内に卸す商いをしていました
主人の岩治郎のほかに手代3人ぼんさんが7人それにイシっちゅう名ぁの顔もイシみたいな古株の女中が姑よろしく控えとりました
(岩治郎)あんたがよねさんか。
岩治郎はん!お久しぶりです。
まあこんな妹で気に入って頂けるか頂けへんかわかりまへんけどこいつも前の家のことは忘れて一生懸命に努める言うてますさかい。
よろしうお頼み申します。
こらもちっと小さならんかいな。
ああ。
明日祝言しますわ。
明日?はっそりゃまた急でんな。
祝言なら親も姫路から呼びださなならん。
仲右衛門さんに親戚代表で出てもろてあとはわてとあんたと店のもん揃えて簡単にすませます。
それでよろしいやろ。
わて金かけんの嫌いなんですわ。
同じ金やったら商売に使たほうがなんぼかよろしい。
かまいまへんな。
はい。
♪〜『高砂』♪〜『高砂』
(イシ)はいはいおめでとうございました。
はい旦さんおめでとうさん。
はい。
うん。
思えば夫婦の相性ははなからあまりよくはありませんでした
(岩治郎)祝言ちゅうのは疲れるな。
ええ…。
何してんねん。
はよ来んかいや。
へっ?跡取り作らなあかんやろ。
はよ来い。
へえ。
ひゃっ。
なにがひゃっや。
初めてやあるまいに。
よっ。
あっ!よいしょ。
いつまでタラタラ食うとんのやっ!お願いします。
おはようございます。
おはようございます。
私がします。
あきまへん!そんなによそったらあきまへん。
米は一升朝と夕に炊いて残ったものは握り飯にして用が済んだもんから食べていくんだす。
それがうちの決まりだす。
一升。
若い衆ばっかりやのにそれじゃ足りませんやろ。
それにそのやり方やと小さい子が食いっぱぐれるんやないですか。
一日米一升がうちのやり方だす。
それが気に入らなんだら旦さんに言うとくれやす。
・お願いします・はい。
あのう。
ん?店のもんのご飯ですけど決まった時間に皆で揃って食べたらあきまへんやろか。
今みたいに次々いうんは慌ただしいし気ぃも休まらんし…。
(岩治郎)何を言うてんねや飯の時間やいうて皆で決まって仕事置いてみ商機を逃すやないか。
ええか商売っちゅうんは人それぞれ終わる時間が違うんや。
それやったらせめて海のもん山のもんを一品ずつご飯に添えてあげられまへんか。
いちんちじゅう働いとる若いもんが味噌汁とご飯だけやと栄養不足で元気も出まへんがな。
毎月出せる米の分量は決まっとんねや。
これ以上よけいな金は出されへん!はあ…。
嫁にきはったんやから嫁入り先のやりかたに従ってもらわんとな。
ほんまええ年増が何も知らんで呆れるわ。
(美津)かみさんに聞こえるで。
(イシ)あんたなにその風呂敷包み。
京都のお客さんがお土産に置いていかはったんや。
千枚漬け。
(イシ)つやつやしてておいしそうやな。
あんたええもんもろたなぁ。
これしまっとこな。
あ!ちょっと待ち。
その千枚漬け。
(イシ)何考えてはんの。
ええわええわええこと思いついた。
(イシ)あきまへん。
それやったらタダやしな。
あきまへん。
貸しなさいて。
貸しなさい。
あきまへん。
あきまへんて。
貸しなはれ!
(捨松)うまい!
(長造)ほんまや。
うまいな。
(英吉)おかみさんおおきに。
(国松)ありがとうございます。
これでみんな仕事頑張れるわ。
なぁ。
(一同)はい。
どんどんお代わりしてや。
はい。
ありがとうございます。
お昼前でっせ。
うん。
そやな。
晩に炊く米がないんですわ。
どないします?うん。
お前は飯代で店潰す気か!今日のぶんの損は私が払います。
ぼんさんらの米代は私の持参金から引いてください。
何?海のもん山のもんも私の裁量で添えさせてもらいます。
私もぼんさんらと同じもんしか食べません。
それやったらよろしいな。
何を言うとんねや。
そやけどこれは店のためでっせ。
機関車かて何かて燃料無しでは走れませんやろ。
燃料をたくさん積んで店のもんには精出して働いてもらわんと他の店と勝負になりません。
口の減らんやっちゃな。
屁理屈言うな女のくせに!これだけは言うとくぞ商売に口出すな!
(戸の開閉音)負けへんで。
おかみさんやのに何で女中みたいな仕事すんのやろ。
わてらの仕事が減ってええやないのやらしとき。
(岩治郎)おい!国松…。
あっ!はい!何しとんねん。
子どもが3人続けて生まれました
店も少しずつ大きなっていきました
結婚して十年うちの幸せはまぁこんなところかと思い始めていたある日でした
コラッ!店ん中で遊んだらあかんって言うたやろ!何べん言うたらわかんねやほんま。
(徳治郎)堪忍してください。
どないしたん。
(米治郎)おとうはんに怒られたぁ。
店で遊んでたんやろ怒られて当たり前やろ。
ちょっと寄り合い行ってくるわ。
おでかけですか?行ってらっしゃい…。
お母はんあめ買うて。
あめか…。
(米治郎)僕も!ほんまかどれがいいんや?じゃあ僕は辰。
辰…。
僕はうさぎ!うさぎにすんの?うん。
わぁ見てみほらどんどん出来てるでぇ。
おもしろい…。
すごいな〜!あ。
お父はんや。
行くよ。
お母はんあめは?あめは後で買う!お母はんなんで?黙ってついてき。
なんで?あっこはあかん!なんで…。
(雷鳴)はぁ…。
はぁ…。
あ雨や。
そんなに急いでどこに行くぜよ。
あ〜あ…。
可哀想にぼんさんらあがずぶ濡れじゃ。
そっちやったらわしも行くき傘貸しちゃる。
ありがとうございます。
えい傘じゃろう。
さっき買うたがじゃ。
これはサテンちゅう布で出来ちょって職人がエゲレス人を捕まえて骨の張り方を勉強して作ったらしい。
あ…そら高おましたやろなぁ。
なんちゃ〜。
たったの五十銭じゃ。
けんどこの苦労に五十銭は安いち思うたきにもう五十銭上乗せして一円で買うちゃった。
ハハハ!酔狂じゃ思うちゅうがじゃろ。
違うぜよ。
物に似合うた値ぇをつけるがが商いじゃ。
それでこそえい品が世に出回る。
買い物ひとつで世の中みんなぁが繋がっちゅうがじゃ。
へぇ〜。
(国松)おかみさん!おかみさん!えらいこってしたなぁ。
急な雨で。
濡れませなんだか?ぼん入り。
鈴木商店のおかみさんですか?へえ。
いや〜!いや〜失礼をば致しました。
これから鈴木でお世話になるもんです。
あ〜…。
こりゃ〜いかん。
奉公人がおかみさんにエライ口きいてしもうた!すんません!ほんまにすんません!!アハハ…。
金子直吉です。
出身は土佐です。
よろしう頼みます!
(国松)よろしう頼みます。
直どんは優秀でした
・おいでやす!・
(浅羽屋)旦那はんおるか。
浅羽屋さん!おおきに!いっつもありがとうございます!ちょうどええ白ざらが入りましたんで見てやって下さい。
取引先の名前はすぐに覚えるしそろばんも速い
この仕入れなんやがな…。
ちいと待ってください。
艀代が一円…。
そして何より明るうて声が大きうて直どんがいると店の中に日が差したようでした
♪〜土佐の高知のはりまや橋で坊さんかんざし買うを見た♪〜よさこいよさこい直どんいうたらおもろいわ!♪〜土佐の高知の桂の浜ではうまい!ここの飯はこじゃんとうまいですき。
そやろ。
おかみさんのはからいでな海のもん山のもんがちゃんとついとんねん。
ほんのちょっとだすけどな。
若いあんたらにはそれでも足りませんやろ。
いやいや有難いです。
わしは奉公は3軒目じゃけんどどこの店でも奉公人は元手をかけず安う使うもんですきに。
私は奉公人は宝やと思うてますのや。
商売は品物でなく人で商うものですさかいにな。
は〜。
どないしたん。
そないに大きな口あけて。
おかみさんわしはろくに飯も食えんような貧しい家に育ちました。
ほんじゃき商いでこの国を豊かにしてみんなあが腹いっぱい飯を食えるようにする。
それが一番の望みながです。
そうか…。
頑張ります!直吉を雇うて良かったと言うていただけるように。
うん。
いつまでのんびり飯食うとんねや!はよ仕事せんかい!・はい・
(松吉)ウッ…。
・すんまへん・
(松吉)あっ!
(岩治郎)どないしたんや?おい…。
お前何やっとんじゃ!あほんだら!
(松吉)堪忍です旦那はん。
堪忍しとくなはれ!堪忍しとくなはれ!どないしたんですか。
こいつ荷下ろしも満足に出来ん。
商売もんの砂糖ぶちまけよった!怪我ないか松どん。
おいこれ全部弁償してもらうからな。
何ぼうっとしてんねんはよ片付けんかい!そやかてあんた。
こげな小さなお子に荷下ろしは無理ながと違いますろうか。
わしがやりますき。
何?適材適所言う言葉がありますろう。
松どんには松どんに出来ることがありますろうに。
お前何言うとんねや。
全部わしがやりますき。
おうおう…誰か手箒持ってきてくれ。
・はい・3×3が…。
・3×3が9・3×4。
・3×4…・・12…・3×5…。
・3×5…・おい浅羽屋の払いてまだなんか。
これ掛け取りに行ってたん誰や。
あわしです。
ちょうどあの店は新店を普請して物入りやちゅうことで損して得とれと今回は支払いを待っちゃりました。
ほぉ〜そうか。
お前何様や。
ここはお前の店か!あ…すんません。
(岩治郎)ほんまに悪い思てんのか。
(岩治郎)思てんねんやったらな今からすぐ行って金払うてもろてこい!行ってきます。
(戸の開閉音)松どん。
(松吉)へい!破れてたとこ直しといたで。
おかみさんありがとうございます。
はいおやすみ。
(松吉)おやすみなさい。
遅うなりました。
(戸の閉まる音)どうやった?直どん。
はいうまくいきました!艀代はこっちが持つちゅう条件で明日全額払うてもらいます。
おいちょっと待て。
艀代こっちがもつんかい。
ちょうど新潟の尾崎商店に売った砂糖乗せる艀にゆとりがありましてこっちのぶんも一緒に積み込んでしまえばただですきに損は出ません。
旦那はん喜んで下さい。
そらすごいな!
(岩治郎)アホ!何手柄たてたみたいな顔してんねや。
艀代向こうにもたしたらもっと儲かったんちゃうんかい!違うか!…はい。
えらそうに大きな口ばっかり叩きおってからに。
お前にはなもう掛け取りは行かさん。
人力車の露払いでもしとけ!すんまへ〜ん。
車通ります。
道を空けておくんなさい。
すんまへん!車通ります。
気をつけておくんなさい!すんまへん!車通ります。
人力車の露払いいうたら普通は丁稚のする仕事です。
風の日も雪の日も店の主人や客を送る人力車の先に立って誘導するんだす
寒かったやろ。
ほれこれで足温め。
ああ〜おかみさん大丈夫ですき。
ええからほれ。
ありがとうございます。
(岩治郎)アホんだら!何しますの!お前は黙っとけ。
金子直吉!お前はこんな簡単な計算も出来へんのか!丁稚以下やろ!
(岩治郎)国松こいつの仕入れの残りはどないなったんや。
うちのほうの取引先に頼んでいつもより多く買うてもらう算段つけました。
ああそうか。
出来の悪いもんの尻ぬぐいもご苦労なこっちゃのう!今度やったらクビや。
商いの大事は見切り時やからな!お母はん熱い…。
どないしたん?はいはい。
熱いわ…国松先生呼んでくれるか?え?あっ呼んできます。
大丈夫やで。
ああああ先生こちらです。
(国松)お願いします。
突然のことだした。
次男の米治郎が高熱を出して三日三晩寝ついてほんで…
米治郎!米治郎米治郎〜。
(泣き声)しゃあないやないか。
(泣き声)跡継ぎはまだ2人おる。
気ぃ落としなや。
そんなもんなんですか…!子どもて…息子て…そんなもんなんだすか!?あんたには…!ああ…!米治郎米治郎ああ〜。
(泣き声)直どん!ほんまにええんか!おかみさんに何も言わんと。
おかみさん…。
そろそろ表へ出てくれはらんと困りますわ。
おい!両替の元帳はどこやったんや!どこですやろな。
直どんがつけてましたさかい。
辞めてったもんの話なんぞすな!
(イシ)あ〜まいったわもうほんまに。
もうここんとこお店が辛気くそうて辛気くそうて。
直どんがいなくなってからもうおもろないわ。
♪〜土佐の高知のはりまや橋で坊さんかんざし♪〜買うを見たよさこいよさこい借金があるがやにただで子どもに勉強はさせられんちおかあが言うきわしは学校へもあがらんかった。
十の時は紙くず拾いしてました。
人が捨てた本拾うて独学で字ぃを覚えて。
あんた前に言うてたなぁ。
貧しい中で育ったからみんなが腹一杯食べられる世の中にするんが夢やって。
ハハハ…そがなこと言いましたか。
諦めるんか!?けんど人は見込まれてなんぼですきに。
旦那はんはわしを嫌うちょる。
主人に見込まれちょらん店で出る芽はありません。
土佐は樟脳の産地やったな。
へえ。
貧しい土地ですけんど樟脳だけはよう取れます。
これな。
ここへ来る途中の港で樽からこぼれてたんをもろてきたんよ。
アハハハ。
砂糖と一緒で真っ白できれいやな〜!樟脳はセルロイドっちゅうもんに加工して櫛やら人形やらほれ!あの傘の柄のようなモンにして使うがです。
ほう〜。
砂糖も樟脳も日本では贅沢品ですけんど西洋では人が当たり前に使うちゅうそうです。
ちゅうことはこれから伸びる品です。
そういう品を大々的にどんどん仕入れて日本を西洋に並ぶ国にしちゃらんといかんがです。
あんた商いが好きなんやな直どん。
はぁ。
うちではあかんか?うちの人がダメでもうちがあんたを見込んだる!樟脳は直どんあんたが扱うんや。
あんた世のため人のために商いを志したんやろ?それやったらちいと苛められたくらいで諦めたらあかんやないか!うちもあんたも今が底や。
上を見てあがっていかな!うちとあんたであの店もりたてていかんか。
うちのそばにおってくれへんか?なっ直どん。
あ〜ええなぁ〜海は。
わし世界の海を鈴木の船でいっぱいにしてみたいんですわ。
ほうそらすごいなぁ。
こうして心機一転直吉とよねは新しい船出を誓った
しかし八年後店は主を失った
鈴木商店存続の危機だった
せっかくここまでにした身代やけどな畳むよりしゃあない。
ここまで店が伸びたんも岩治郎はんの堅実な商売に信用があったからやろ。
女のお前が店ついでも潰すだけやさかいな。
まあこうなったら早いとこ始末つけて子どもら連れて姫路の家に帰るんやな。
(岩蔵)お母はんお店なくなるん?
(徳治郎)シッ…。
国松直吉どや!この店はじき閉めるよってうちに来んか。
ほんまに辞めるんかい?旦那はんが亡くならはったら店もしまいですやろ。
さいなら。
さいなら。
アカンな〜もう。
♪〜土佐の高知のイシはん!なにをしちょるがじゃこがぁな時に。
しょぼくれてる場合やないわ直どん。
(長造)イシはんお代わり!
(イシ)はいよ。
(英吉)うまいなぁうちの飯は。
なぁ。
(丁稚たち)お〜!…何してんのみんな。
(松吉)千枚漬けです!千枚漬け?昔おかみさんが振る舞うてくれた千枚漬けの味が忘れられへんってイシさんが買うてきたんです。
(国松)ここでみんなで飯を食えるんもこれが最後かもしれん。
おかみさん。
おいしいご飯をありがとうございました。
(一同)おかみさんおいしいご飯をありがとうございました!元気出してたらふく食いや。
へい!へい!わしは八年前おかみさんに拾われました。
ほうやきおかみさんがお決めになることに何でも従いますき。
イシはんおかわり!
(イシ)はいよ。
大盛りや!はいよ。
・ワシもお願いします・大盛りじゃ!・ワシもワシも!・
(仲右衛門)え〜おかみから閉店にあたり最後の挨拶がある。
皆心して聞くように。
よね…。
皆さんこのたびはご苦労さんだした。
十七年前私が嫁いだ時はこの鈴木商店は奉公人十人ほどの小さな店だした。
それが今ではこないに人も増え神戸でも五本の指に入る大店です。
皆様…。
主人岩治郎に仕えて頂いてほんまにありがとうございました。
皆々様今日まで…。
今日まで…。
いえ…明日からは…岩治郎に代わり私が店を仕切らせてもらいます。
皆様明日からもこの鈴木商店をよろしくお願い申し上げます。
なんやて!?よっしゃ〜!バンザーイ!バンザーイ!
(一同の歓声)よっしゃ〜!バンザーイ!バンザーイ!
(一同の歓声)
(一同)バンザーイ!バンザーイ!よう言うてくれました!わしらみんなどこにも行きとうなかった。
おかみさんの下で大きゅうなったんや。
ねやみんなぁ〜そうやねや。
ねや!そうや!こないに大勢の皆様を私がお預かりする女の身でそら恐ろしいことやと思います。
身が震えます。
けど…。
よねお前…。
ありがとうございます!!おかみさんいえお家さん。
これからお家さん呼ばしてもらいます。
お家さん?旦那さんのおかみさんやのうてお家さんです。
この鈴木の店の守り神です。
わしらみんなぁで力合わせてお家さんをもり立てていきますき何とぞ…よろしゅうお願いします。
(一同)よろしゅうお願いします。
みんなありがとう。
ありがとうな。
バンザーイ!バンザーイ!
(拍手)バンザーイ!
(一同)バンザーイ!バンザーイ!
(一同)バンザーイ!バンザーイ!
(一同)バンザーイ!
(拍手)ありがとう。
(拍手)鈴木商店の新しい商標です。
お家さんの「よね」いう漢字使うてますきええでしょう。
なんや照れるなぁ。
再出発したよね達の運命を大きく変えたのが日清戦争であった
(国松)撮るでぇ!
軍需景気に沸きかえる神戸の街を直吉は水を得た魚のように飛び回わった
ディスイズショーノー!ベリーグッドやき。
(シモン)ヤー。
カモン!レッツゴー。
ベリーグッド。
ベリーグッド…何しゆうが!商売の神様はきれいな所にしかいてくださらん。
せやから雑巾がけがこの家で一番大事な仕事なんや。
こないして汚れたら裏返す。
また汚れたら開いて裏返す。
つごう8回はいちいち水ですすがんでも使えますやろ?ほらやってみ。
おかえりやす。
・おかえりやす・お家さ〜んただいま戻りました!さっきドイツ商館に取引に行ったがですが聞いてくださいアイツらの殿様商売なこと。
奴らにちょっとも言葉が通じんがです。
ご飯くらいゆっくり食べなはれ。
それになんや!そんな格好しとるからバカにされるんやないの。
今が頑張り時ですき。
もう手ぇは打ってありますき。
ほらここほつれとる。
あら?どこぞで引っかけたがやろか。
お千直どんにおむすび大きいの!
(千)はい!今味噌汁持ってきます。
わざわざ温めんでもでええ。
ぬるいくらいやないとちゃっちゃと食べられんき。
どないや。
え?馬子にも衣装やで。
西洋人相手に商売するのに洋服の一枚もなかったら格好がつかんやろ。
この生地は羊毛ですか。
う〜ん人間にも毛ぇが生えちょったら便利でしょうなぁ。
着物も着んでええし。
何言うてんの。
あんたみたいに風呂へもろくすっぽ入らん人は毛ぇが生えたとて虫がわいてかなわんわ。
行ってきます!・行ってらっしゃい・
(珠喜)あすんません!堪忍しとくれやす!
(田川)大丈夫ですよ。
・お〜田川はんこっちや!・田川はんは神戸商業を出たインテリです。
これからはこういう人にわしの片腕になって働いてもらいたいち思うがです。
不平等条約のおかげで今までは外国人と対等に取引ができんかったけんどこれからは違う。
日本人もバカにできんちゅう事を知らしめてやりたいがです。
(田川)その通りです。
この国の発展のためにも我々神戸の商人がまず外国人との取引に勝たなければなりません。
この鈴木商店で自分の力を活かしていただければと思っております。
売り時です。
今は店にはどれほど?ざっと五百。
全国の仲買人に持ちかけて一万でも二万でも。
四十円で一気に売ろう。
なんの話や?お家さん樟脳です!樟脳が売り時なんですわ。
ちょっとじっくり話してみ。
はい。
樟脳いうたらセルロイドの原料ですけんど欧米ではセルロイドの需要がどんどん高まってます。
その上日清戦争の煽りで台湾からの流通が止まりかけてます。
そしたら日本から買わざるを得ません。
品薄になって値ぇがどんどん上がります。
なるほどなぁ。
今のうちに買い手を見つけ大量に売りさばいちょくんですわ。
田川はんにはとりあえず日本中を買い付けに回ってもらいます。
それを右から左へわしが売るっちゅう寸法です。
かまいませんか?ちょっと待って直どん。
それは先物売りちゅうことやな?今やらんと勝機を逃します。
やらせてください。
せやけどそないにうまいこといくんやろか?お家さんお願いします!わかった。
あんたらの好きなようにしなはれ。
お家さんおおきに。
田川はんどうする?
(田川)まずドイツからせめましょう!
よねの不安をよそに樟脳の値段は上がり続けた
直吉と田川は必死に買い付けそして売った…
だが樟脳の値段は2人の予想を遙かに超えて上がり続けついには販売価格を超えとてつもない損害が出始めていた
金子さん!樟脳が手ぇに入らんってどういうことや!
(田川)今樟脳の値が天井知らずに上がってます。
持ってたらまだ値が上がると踏んで店も出し渋っとるんですわ。
は〜!ドイツ商館との契約は四十円ですよね?今七十円ですから仕入れる分だけ損が出ますけどどうします?ちいと待て。
ほんでも品物がないよりましや。
交渉してあるだけ買え。
わかりました。
ふぅ…。
どないしたん直どん。
仕入れがうまくいかへんのか。
いえ大丈夫ですき。
今田川が方々歩き回って集めてくれちょりますき。
そうか。
はぁ〜〜。
もう少しもう少〜し待って下さい。
この通り!もう少〜し待って下さい!直どん!田川はん帰ってきたで。
田川はん!おおおどないやった?何斤手ぇに入った?アホーーッ!おんしはなんちゅう役立たずじゃ!!こがな時に手ぶらで戻りおって!!申し訳ない!ああ〜いかんいかん!もとはと言えば全部わしのせいや。
わしがここが先途と先物売りに踏み切ったががいかんかったがじゃ。
それで…樟脳はあといくら足りひんのや。
はっきり言うてみ!十万斤です。
十万斤!?いまの相場は?百斤九十五円まで上がっちょります。
そやったらざっと十万円やないか。
十万円は現在の金額で言えばおよそ五億円
店の命運をかけることになる金額であった
すんません!直吉…進退きわまりました。
(田川)金子さんの読みはあたっとりました。
けど…あそこまで値があがるとは。
エゲレスのノースという相場師がうちと同じように樟脳に目をつけて世界中の樟脳を買い占め値をつりあげとるんです!世界は広いちゅうことやな〜。
うじうじしててもしゃあない。
行くで。
えっ…。
ハァ〜十万円…。
なんに使うんや?そんな大金。
ドイツ商館に払う違約金です。
品物が無いから金で片をつけるしかありません。
しゃあない。
出したるわ。
ほんまですか!?よね。
もうええやろ。
もうここらが潮時や。
店たたんでその金で賠償金払うてしまいにしたらええ。
もともと岩治郎はんが一代で興した店や。
どだい女のお前には無理やったんや。
無理かどうかまだ決まってません。
はあ?十万円は死に金にはしません!商売たてなおしてあとでちゃ〜んとお返しします。
(仲右衛門)よね。
へぇ。
(仲右衛門)お前な。
お返しします。
(田川)離して下さい金子さん!うわぁぁ〜〜!僕は死にます!何を考えちゅうがじゃおまんは!離して下さい!死ぬがやったらわしを刺せ!悪いのはこのわしじゃ!あんたら!何しとん!?店に大損かけて生きてはおられません!死んでお詫びします!商売人が金に負けてどないすんねや!
(田川)離せや!コラッ!やめや!やめや2人とも!死ぬの殺すのとたいがいにせんかい!!死ぬんやったらなその前に出来ることを全部やってから死になはれ!!わかりました!金子直吉…。
切腹させて頂きます!不足とあらば。
(田川)Ifthatisthecase.金子直吉。
(田川)NaokichiKaneko.この体で支払わせて頂きます。
(田川)Willpaywithhislife!
(田川)セップク!ハラキリ!ウェイト!オーケイ。
(シモン)オーケイ。
オーケイとはどがな意味かの?承知した…という事です。
ハハハハハ…。
なんとか危機を脱した直どん
これで暫くは大人しゅうしてると思とったら…
懲りてないどころか呆れたことに失敗した樟脳を求めて台湾への進出を決意しとったんです
台湾!?はい。
台湾で何をするんや。
台湾はいわずとしれた樟脳の産地です。
宝の山です。
そやけどあそこはまだ日本の領土になったばっかりで行く人かてない荒れ地やで。
軍の派遣する民間人に大工の一行がいます。
そこに私が紛れ込みます。
ほんで台湾の実情を見てきてもらいます。
そんなアホなことできますかいな。
お家さん。
こないだの一件でわしは学んだがです。
商売は人より先に情報を得るこれが何より大事です。
台湾に誰も行けるようになってからでは遅い。
商売するがやったらものを買い付けるだけやのうて自分とこでものを作って売るこれが一番安全です。
台湾に樟脳の工場を作るいうんか。
はい。
ゆくゆくは。
ほぉ〜。
わかった。
あんたにまかすわ。
お家さん。
存分にやりなはれ。
鈴木いう店はあんたで動く船でっせ。
はい。
ありがとうございます。
やりましょう!よっしゃ!やるで!
(イシ)お家さん。
直どん外国へやるんやったら所帯持たせなあきまへんな。
いやそんな仕事仕事でまだそんな余裕ありまへんがな。
もう三十でっせ。
いやいやいやいや。
あんな身なりも構わん風呂にも入らんような人のとこに来る嫁がおりますかいな。
おる思います。
ちょっと?エゲレスとドイツの樟脳の輸入量はどうなっちょるかいの?・ヘイ今調べてます・おお台湾のやつや。
じっとしといて。
おおすまんかった。
ほんで…。
ラスペ商会の返事はどうなっちょるかいの?・今聞いてます・なんならこっちから出向くけんの。
・ヘイ!・ほんで…。
直吉さん!すまんかった。
台湾いったら伝染病に気をつけんとあかんて聞きました。
このお守り持ってって下さい。
なんやあっちゃでもこっちゃでも。
・火の用心…・
寂しいと思うんは変や
自分を幾つやと思とるんや
そう思ても…寂しいもんは寂しいんです
直どんが人のもんになるというんは
へぇ〜これが台湾?この羊羹の砂糖もここで作られちょるんじゃよ。
(千)へぇ〜。

(イシ)お家さん。
千の荷物から出てきおりました。
父鈴木岩治郎…。
一万円入っとる。
これでこの書き付け売ってくれるか?この店はうちの宝や。
子どもらのためにも命がけで守らなならん。
わかってくれるな。
うちが店を乗っ取るとでも思うてはるんですか?おかみさん。
妾の娘いうんは父親が病気になっても見舞いに行けん死に目にも会えへんのですよ。
(千)うちはただお父っつあんの店がどんな店やったんかお父っつあんがどんな人たちに囲まれてたんか知りたかっただけです。
あの人あんたにはええ父親やったんやな。
ほんなら気は済んだやろ。
この金で京に出るか大阪に出るか。
ともかく神戸を離れとくなはれ。
はぁはぁはぁ…。
なんでです?なんでお千を辞めさせたがですか。
なんや騒がしいな。
辞めさせたんやない自分から辞めたんや。
そやそやあんたにもなちょうどええ話が来てるんやで。
歳は八つ下で京都の老舗のおいとはんやて。
そろそろあんたも身ぃ固めなならん年頃やしな。
直どん座りなはれ。
有り難い話ですけんどわしゃまだやらんといけんことがありますき。
なんやのそれは。
樟脳の先物売りの時お家さんに立て替えていただいた十万円。
あれをきっちり返さんといけません。
そんなものは別に…。
それにこの店ももっともっと大きうしたいがです。
それまでは身を固めるつもりはありません。
どれだけ稼いだらええんだすかいな?二十万円。
五年のうちに二十万円稼いでみせます。
もし出来んかったらそのときはお家さんのお世話で身ぃを固めます。
けんどもし五年以内にやりとげたらわしの…好きなようにさせてください。
その足で直吉は単身台湾へ向かった
時の台湾総督府民政局長後藤新平に会うためである
無論土佐の平民に会ってくれるような人物ではなく直吉にあったのは情熱だけであった
もう帰りなさい。
(後藤)門前のあの男呼んでこい。
(使用人)よろしいのですか?何度門前払いをしても帰らんのじゃ。
目障りでかなわん。
話をしたほうが早い。
話があるのなら手短に言うてくれ。
日本は資源に乏しく工業では世界に遅れを取っちょります。
そやからこそ工業を興し港を整え原料を輸入してそれを加工したものを世界に輸出する加工貿易のほかありません。
台湾をその拠点とすべきです。
商売人のくせに天下国家の話か。
土佐もんは言うことが大きいの。
(後藤)お前に何がある?国の為の商いができます。
恐れながら閣下のあだ名は「大風呂敷」。
その広げた風呂敷に包む中身も必要かと。
ほう…でお前なら何を包む?樟脳です。
ここ台湾から樟脳を輸出します。
そして貿易で儲けるがです。
閣下の計画には膨大な金が必要です。
なるほど。
台湾には樟脳の原料はある。
だが品質が悪い。
その通りです!それを何とかしてご覧に入れましょう。
直吉は工場で試行錯誤を繰り返し台湾樟脳の品質向上に成功
同時にそれまで捨てられていた搾りかすから再生樟脳を作る技術も導入し鈴木商店を一躍国内最大手へと躍進させていった
こうしてわずか1〜2年の間に鈴木商店は三井三菱住友に次ぐ日本屈指の総合商社にのしあがっていった
これ見てください。
二十万円。
約束をお忘れやありませんな。
望みを言うてみなはれ。
ここに前におったお千いう女。
あれを嫁に欲しいがです。
直どんけどあの娘は…。
今神戸の駅前のミナトガワっちゅうカフェーで女給しちょります。
神戸を離れたんやなかったんか。
わざわざ捜したんやありませんけんどあれは目立つ女です。
カフェーにおる女がそうらしいて自然に耳に入ってきました。
あの女はあかん。
なんでですか?なんででもや。
約束が違う!そうやな堪忍。
うちの口からわけは言えん。
けどな直どんどうしてもあの娘が欲しい言うならあんたこの店出て行きなはれ。
わけを話してくれ。
お家さんはなんでおまんを嫌うちょるがじゃ。
直どん私とお家さんとどっちをとるんや?
その晩直どんは帰りませんでした
(汽笛)
(国松)奥そこみんなそろてんのか?・へい・・へい・
(国松)ほな徳治郎ぼっちゃんの二代目岩治郎襲名を祝して乾杯!
(一同)乾杯!
(拍手)
(国松)これでお家さんも安心ですな。
そうやこの子らに店継がせるために今まで頑張ってきたやさかい。
そやけど今日朝から直どん見かけまへんな。
どないしたんやろ?
(国松)元町あたりで飲みつぶれてんのとちゃうか?そうかな?金子さんは酒は強いですよ。
遅うなってすんません!金子直吉ただいま戻りました!
(田川)金子さん!待ってたんですよ。
さささ早く早く。
どうもおおきに。
すんません。
ボンおめでとうさんです。
直吉さんありがとう。
あ〜こらうまい!直どんええのんか?お千に会うてわけを聞きました。
納得しました。
せやけどな…。
お家さん。
わしは商いが好きですきに。
商いに恋しちょるんですわ。
所帯なんぞいりません。
この店がここが…わしの家ですきに。
そうか。
(国松)金子早よう!みんなお待ちかねや。
お前がおらんと何も始まらんがな!頼むで!おいみんな!直どんにいつものやってもらうで〜!
(一同)おぉ〜!ほんなら徳治郎ボンと鈴木の前途を祝して三本締めいこかいな!
(一同)おぉ〜!皆様お手を拝借…ヨーオ!
(一同)ヨヨヨイヨヨヨイヨヨヨイナ!ソレ!狭い日本で暮らすがも!
(一同)オッ!広い世界で暮らすがも!
(一同)ヨヨヨイヨヨヨイヨヨヨイナ!ソレ!同じ踊りを踊るなら!
(一同)オッ!世界の鈴木と踊りましょ!
(一同)ヨヨヨイヨヨヨイヨヨヨイナ!ソレ!♪〜神戸さかえちょう鈴木の店に♪〜ボンさんかんざし買いにきたやめた?へぇ。
大きい荷物しょって出て行きはりました。
それでやめてどこに行かはったか分からへんのですか?さあ〜急な話やったんで。
何でやろ。
お千?
明治35年鈴木商店は50万円の出資金を以って合名会社に組織変更
明治38年日露戦争勃発
これ持って行くから。
台湾でもこのお陰で病気ひとつしなかった。
大丈夫だ今度も。
田川はん。
田川万作行ってまいります。
元気でな!頑張って下さい!しっかりな!バンザーイ!
(一同)バンザーイ!
この戦争は否応なしに鈴木の優秀な社員たちをも戦場へと駆り出していった
バンザーイ!バンザーイ!
(爆発音)山本山本!山本大丈夫か!?山本!あぁ〜〜!!どうです?立派な門ですろ〜。
なんとまあ贅沢な!立派すぎて気後れするくらいやわ。
これが年商1億1千万。
今のうちにふさわしい店構えです。
どないしました?田川はんに見せとおましたな。
戦死の知らせは届いちょりません。
どこかで生きてます。
せやな。
そうです。
なんや望みが全部叶ういうんは寂しいもんやな!ハッハハハ。
何を言うがです。
こんなもんで満足してもろたら困ります。
これからまだ一山も二山もありまっせ。
はぁい。
(配達員)電報です!ああすんまへん堪忍!電報です!
(西川)ご苦労さん。
金子さん暗号電報届きました。
あそう。
よ〜し解読始め。
・よし!・
直吉は海外の情勢をいち早く捉えるためにこの頃まだ珍しかった電報を暗号化させ世界各国の情報を収集させていた
そのため鈴木商店には世界相場の情報を得ようとする新聞記者も屯していた程だった
(本村)毎朝新聞です。
前日のニューヨークの引値はいくらですか?あとロンドンの引値は?ニューヨークは100円につき49ドル。
全国に直営の6工場と2支店8出張所を確立し吸収合併で日本を席巻
雪だるまのように会社が膨らんでいった
この頃欧州では各国間の緊張が高まり直吉はその変化を鋭く読み取っていた
(川添)金子さん!イギリスへ送る小麦ですが八重丸はだめです。
アメリカに砂糖を送らなきゃなりませんので。
あ〜そう。
ほんなら砂糖はいったんガルベストンで降ろさせてニューオーリンズで小麦を積んだらええ。
ガルベストンに急な変更しても繋留できますか?ニューオーリンズは30尺しかないがガルベストンの水深は35尺ある。
それに縦横の桟橋あわせて32本もあるんやから2隻3隻きてもこたえんわ。
八重丸は1万トンの積載で速力は10ノット。
往路を無駄につかわんと3隻も送れば向こうの求める小麦は期限までに送れるっちゅう寸法や。
暗号電報解読終わりました。
あ〜そう!いよいよや。
(西川)はい…。
いよいよやで西川君!欧州で戦が始まる!至急ロンドン支店長に電報打つんや!
(西川)はい!電報の中身はこうや。
Buyanysteel,anyquantity,atanyplace.戦が始まったらまず何の値が上がる?鉄じゃ。
鉄をあればあるだけ買い込むんじゃ!戦争はあっという間に終わる。
戦争被害で物価が下がるという見方もありますが。
いや…。
この戦はそう簡単には終わらん。
ええかみんな!今が勝機ぞ!ひるむな!
(一同)おぉ〜!はい。
あ〜終わった終わった。
ただいま戻りました。
うんご苦労はん。
田川は生きていた
田川はん…。

戦争は田川の右腕を奪い去り心も傷つけていた
田川はんに会うたんですか?見たことは見たけどな…。
どこで見たんですか!?教えて下さい。
田川はんも色々あったんやろ。
どういうことですか?田川はんに何があったんです!?田川はんのことは諦めなはれ!あんたももう若うないんや。
自分の人生を考えなはれ!そんなことできません!
(珠喜の泣き声)どういう風の吹き回しや。
どこに連れてってくれるんやて?お家さん千歳花壇ってご存知ですか?あああれやろ?陸の神戸税関とか言う有名な店や。
近頃ずいぶん流行ってるらしいな〜。
軍人さんや政治家さんがごひいきにして。
ええそれです。
あ〜それは楽しみやな。
また来ておくなはれ。
(千)お久しぶりだす。
あんた…。
おかわりのうお元気そうで何よりです。
あんた…ずっと神戸におったんか。
それについては謝らんとあきまへんな。
一度は大阪へ出たんだすけどやっぱりうちは神戸が好きなんですわ。
父が生きて死んだ土地ですさかい。
けどなんで?実は田川はんをうちでお預かりしてます。
金子はんに頼まれまして。
直どんにか。
ええ。
(千)おなごの力は強いもんだす。
ひょっとすると田川はん珠喜はんと会うて前向きな気持ちになりはるかもしれまへん。
そうなったらええだすな。
今田川はん奥の部屋で珠喜はんと会うてます。
田川はん…。
つろうおましたやろ。
珠喜…。

(千)どないでした?お2人の様子は。
シーッ。
今は邪魔したらあかんちゃ。
そうだすな。
便所はどっちやったかねや。
あっち。
ああせやせや。
直どんと切れてなかったんか。
さあ。
男と女は切れてる切れてないとはっきり言えるようなもんでなし。
はっきりしてしまうのもつまりまへんやろ。
あんた…うちを恨んだんやろな。
うちはもともと人さんの女房になって家の中にちんまり収まってられるような女やありまへんし世界を股にかけて働いてる金子はんがたま〜に顔見せてくれる。
それで充分いえそれくらいでちょうどええんだす。
(千)うちなあ今はあの時のお家さんの気持ちがようわかりますのや。
慈しんで育てた店は我が子や。
男はんがいくらいとしゅうても我が子ほどはいとしゅうない。
(千)今となってはお礼言いたいくらいだす。
うちの負けじ魂に火ぃつけてくれたんやさかい。
また来ておくなはれ。
ただいま。
はぁ…。
(イシ)ああお帰りやす。
負けた。
(イシ)は?あ〜あ負けた負けた!完敗や!
(イシ)おや…。
惚れたはれたと勝った負けたは違いまっせ。
お家さんは直どんをあそこまでの男にしはったんです。
胸はったらよろしい。
勝ったんや。
うちの目節穴や思ってたんかいな〜。
♪〜土佐の高知のはりまや橋で♪〜ぼんさんかんざし買うを見た♪〜よさこいよさこい…ハハハ…。
ハハハ…。
コルカタの三重丸は綿花を積んでジェノバで降ろす。
ちいと待て…そこで何が積めるんじゃ?
戦争で物価が高騰するという直吉の読みはあたった。
第一次大戦前後の数年で鈴木商店が設立吸収合併した会社の名前を挙げると長い巻物ができあがる
お家さん!うん?ちいとええですか?うん。
その貿易年商は15億4千万円に達し三井物産の11億円を凌いでついに日本一の商社となったのである
これを作りたい思うてますんや。
はぁ…こらすごいなぁ。
最新のタービン機能を2機搭載してます。
最高速力は16.6ノット。
ロンドンまで三週間以内です。
・積載量は7千トン。
小麦なら1千万袋・ほぉ〜すごいなあ。
・はい・米丸一号言います。
お家さんどんだけ握ったらええんですか。
男はんらは一生懸命働いてます。
三百個はいりますで。
はい。
さっ休まんとな。
はい。
しかしそうしたあらゆる商品の中でも要は米と鉄だった
大変です!エゲレスだけでなくアメリカからも鉄の輸入が止まりました!え?それやったら造船はできへんやないか!あ〜そう…ちいと待てよ。
う〜ん…。
この時期米英は大戦の利益で躍進する日本に圧力をかけるため造船に必要な鉄の輸出を一方的に禁止した
造船所の火は消え町には失業者が溢れる事態となった
大丈夫か?はい。
どないしたん?
(男の子)腹が減って動かれへん。
ああ…そうか。
そしたらなほなら…これ食べ。
はい。
あ〜あそないに焦らんとまだまだ仰山ありまっせ。
わしにもくれ!わしにも!俺にも!ちょっと待って!これはウチの社員はんらの差入です。
・すこしぐらいいいだろ!・・食べてないんやけ・はい…。
・お〜っ!・落ち着いて!
この難局に直吉は国家が交渉の扉を開けることができなかった米国と直談判させてくれと政府に申し入れたのである
(ドアの開閉音)わしに交渉させて下さい。
お前はバカか。
ちいと考えがありますき。
民間人のお前が行ってどうなる。
民間人の方が商いは得意ですろう。
ふん。
今は戦の最中じゃきおたくらも戦艦が欲しいところですろう。
You’reinthemiddleofabattlerightnow,soyouwantabattleship,right?いくらでもお売りしまっせ。
We’llsellyouasmanyasyouwant.ただし…条件があります。
Butthereisacatch.
(モリス)Acatch?条件。
はい!代金は鉄で先払いして頂きます。
Yes.Paymentistobeiniron,inadvance.Paymentiniron.代金を鉄でとは?That,isunheardof.前代未聞ですね。
アメリカが鉄を売ってくれんき日本の造船所は今船を作りとうても作れんがです。
SincetheUnitedStateswon’tsellusiron,theJapaneseshipyardscan’tbuildanyshipseveniftheywantedto.鉄さえ頂ければなんぼでも働いてみせますき。
Ifwecouldjustgetsomeiron,we’lldowhateverwecan.アメリカさんのために。
FortheUnitedStates.Mr.Kaneko.
世に名高い日米船鉄交換契約である
皆ええか。
アメリカの鉄を買う。
えっ!?支払いは我らが船!・お〜っ!・船と鉄の交換じゃ。
ええな。
・お〜!・
日本は米国から鉄を受け取り船を作り余った鉄を国内の需要に回す。
これにより日本の造船業は復活した
あるで。
(男の子)うん!どっこいしょ…。
ほ〜ら。
ほれ。
持ってけ。
1個でええんか?おおきに。
はい。
白米ですか。
美味そうですなぁ。
船鉄交渉と時を同じくし直吉が抱えていた問題。
それが「米」である
大正5年当時日本国内では生産過剰で米値が下がり農家は米を作っても売れない状況に苦しんでいた
直吉は政府から米価調整の役割を期待されていた
(後藤)思いついたか。
米価安定の秘策は。
一定の価格で買い取った米をヨーロッパに輸出するというがはどうでしょう。
欧米人が米を食うか。
欧州は戦場です。
食糧不足ですき食いついてきます。
う〜ん…。
商売が上手になったな金子。
うん…うん…。
わかった政府が買い上げた米は全てお前に任せよう。
ありがとうございます。
(後藤)ただし米で儲けることは許さん。
君がここまで来れた理由を考えたまえ。
(後藤)人の妬み嫉みは…敵を作るぞ。
今度は米を買い占めるいうんかいな。
これは国のため民のためになる仕事です。
ただ…米はなぁ米は命やからな。
わてら庶民の。
買い占めなんかしたらあかん。
何を心配しちょるがです。
金子はんこの商い誰のためなん?会社のためなんやったら…。
お家さんは黙っちょってください。
商いの舵取りはこの直吉に任せてお家さんは御輿の上にど〜んといてくれたらええんです。
米は庶民の命。
そやからこそうちが率先して扱わんといかんがです。
よねが直吉の仕事に口を出したのは後にも先にもこの時だけであった
国内の米の相場が急騰してます。
(社員たち)ええっ!?ああそう。
米が足らん。
今度は米が足らんとなぁ!ああ〜っ!
悪いことにその翌年は一転して饑饉の年となり深刻な米不足が全国を襲っていた
ラングーン米の買い付けや。
東京行って政府と直談判や。
電話しといてくれ。
今度は後藤閣下と何の相談ですか。
ん?ああ外国米の買い付けの話や。
米が足らんからのう。
米買い付けてどうするんですか?高く売ってまた鈴木の一人もうけですか!
この米価の暴騰と売り惜しみの横行という現象は鈴木商店を思わぬ道に引き込んでいくことになる
(本村)誰のせいで我らがこんなに苦しいのか!・そうだ!そうだ!・答えは簡単だ!!・簡単だ!・鈴木商店が政府高官と結託して米を買い占め外国に売りさばいて米価をつり上げているからだ!・そうだ〜!・鈴木商店金子直吉は国賊である!・国賊だ〜!・天誅あるべし!・天誅あるべし!・
(人々の怒号)おい!米隠しとるんやろ!黙って出さんかい!いやいや隠してませんから。
(言い争う声)なんやこれ!言いがかりもええとこやないの!けどうちも近所の人に言われましたで。
あんた鈴木に勤めとるんやろ米わけてぇな。
でっかい蔵にようけ溜め込んどるんやろって。
アホらしい!問題は庶民の間に鈴木憎しの風潮が広まってることです。
直どんは?今どこにおるん?東京出張です。
金子さん新聞に抗議文出すとかして今のうちに悪い噂叩いとかんと。
言いたいもんには言わしちょけ!わしはな〜んも悪いことはしちょらん。
後藤閣下に頼んで記者会見を開き誤解を解いてもらうことはできませんか!?
米不足で追いつめられた人々の不満は黒く凝り固まって爆発するきっかけを待っていた
そして直吉が神戸を留守にしていたその夜ついに事件は起きた
お家さん!お家さんお逃げください!どないしたんや。
鈴木を倒す言うて街の人がぎょうさん来てるんです!たいまつ持って焼き討ちです!えらいこっちゃ。
お家さん。
・鈴木さん!・・鈴木さ〜ん!・・出てこいよ〜!・・金子直吉を出せ〜!・金子直吉はおりません!ウソつくな〜!・米を出せ〜!・鈴木は!ウソをつかへんのじゃ〜!!
(人々の怒号)
(男たちの叫び声)・鈴木〜!どこや〜!・お家さん気をつけて下さい。
この歳になってこんな目に遭うとは思わなんだ。
(男たちの叫び声)
(銃声)・うおお〜っ!!・
(男たちの叫び声)・でや〜っ!・
(男たちの叫び声)おいここや!行け行け!
(男たちの叫び声)下見たらあきません。
わかってる。
・よねがおったぞ!あはは!よねじゃ!・・ほれっ!・・ええザマじゃ!・・アハハハ!よねさんよう!・うちのことは何を言うてもええけどな直どんのことはバカにしたらあかんで!お家さん!・何を言うとんじゃい!・あんたら!よう聞けや!・何や?・あんたら何もわからんと狭い了見でこんな野蛮なこと。
わてら鈴木はな日本中のみんながたらふく食べられる豊かな国目指しとるんや!・せやったら米渡さんかい!・それを…それを何を見間違うてこんな暴力でムチ打つんや!みんな…みんな汗水垂らして風呂へも入らず頑張ってきたんや!自分の事なんかいっこも考えんとみんなあんたらの為や!何もわからんと…。
何にもわかってへんくせに!このドアホ!このわからずや〜!!
(爆発音)
(珠喜)お家さん!大丈夫やで。
(爆発音)
(珠喜)お家さん!
(車掌)金子さんですか?はい。
電報です。
おおきに。
なんでや。
うわぁ…。
なんでや…。
さあ…。
気つけて下さいよお家さん。
足元…気つけて下さい。
ハァハァ…。

(半鐘の音)
(暴徒たちの騒ぐ声)金子さん何やってるですか!こんなとこ来たら殺されますよ!…金子さん!ちいと待て…ちいと落ち着け!鈴木が米を買い占めたんは去年とおととしじゃ!まだ米が余っちょった時じゃ!よう考えてみい!朝鮮米の輸入も政府に頼まれた一文の得にもならん仕事じゃ!落ち着け!落ち着いてくれ!金子がいたぞ〜っ!そうじゃ…ワシが金子じゃ。
金子直吉じゃ〜!・お前が金子か〜!!・
(暴徒たちの騒ぐ声)おまんら何を勘違いしちょるがじゃこの国は鉄も石油もな〜んも資源がない。
他の国から買うて製品にして売るこれしかこの国が生き残る道はないがぞ!ここはこの店はその為の…基地なんじゃ壊したらいかんぜよ!壊したらいかんぜよ〜!
この日栄華を誇った鈴木の本店は焼失。
神戸製鋼所の倉庫と系列の日本樟脳会社も放火され全焼した
(汽笛)
(国松)もうすぐ始発です。
いきましょう。
どこ行くんや。
(国松)山陰の三朝温泉に親戚がやっとる宿があります。
そこに避難していただきます。
ほとぼりがさめるまで身を隠しとって下さい。
(国松)さあ。
お家さん。
大丈夫ですか?なんで逃げなあかんねん。
神戸にいらしたら危険です。
うちら…いっこも悪いことはしとらん。
世間の人はそう思うてません。
町中がいえ日本中が…うちらを目の敵にしてます。
さあ!帰る。
どちらに!?店に決まってるやろ。
(国松)いやあきませんってお家さん!
(西川)金子さんは来ていませんか?直どんは東京とちゃうんか?あ〜…。
こっちに来たらダメだって田川君が電報を打ったんですが神戸で降りて本店に向かったらしいんです。
でも自宅にも戻られてないようで。
お家さん!お家さん!・ちょっと危ないです!・お家さん!・ちょっとお家さん!・はぁ…。
ああ…。

(泣き声)あっ。
ああ…。
ああ…。

(川添)おい帳簿残ってるか。
(社員)こっちには無い。
そっちあらへんか。
・探せ探せ!・・探せ探せ!・・そっちは?・
(珠喜)大丈夫ですか?うん…うん。
・そっちは?・・こっちはビショビショです・・こっちも手伝ってくれ!・・はい・・田川さんあかん真っ黒けですわ!・・よしこっちも探そう!・
(田川)お家さん!皆お家さんが来てくださったぞ!!・お帰りやす!・・お帰りやす!・・お帰りやす!!・・お帰りやす!・あんたら無事やったんか。
(一同)はい。
・はいなんとか・よかったな〜。
お帰りやす!うん大丈夫か?大丈夫か?はい。
ああ…うん。
お帰りやす!おお〜!あったあった!!有り難い!奇跡。
奇跡やで〜これは。
よね丸1号が焼け残っちょった〜。
造船目録もどっかに焼け残っちょるはずや。
はよ探せ!ああ造船目録造船目録と!こないしてる間に船を売り損のうたらえらいことやで。
直どん。
あら…お家さん!何しにきはったんですか?何しにてあのな…。
あっは…もうええわ。
もうええわ。
あんたの顔見たらもう…何もかもどうでも良うなったわ。
ハッハハハハ…。
そんな捨て鉢なこと言うたらあきません。
喜んどくなはれお家さん。
店は焼けたが人は1人も欠けちょらん。
建物が焼けても人さえおればまたやり直せますき。
ねや〜みんな!
(一同)おう!わしらは青天の下に潔白や。
下むかんと胸張って生きていこうな!
(一同)よっしゃ〜!アハハハ…。
ああ…。
海はえ〜なぁ。
え〜ですなぁ。
直どん。
はいお家さん。
世界の海うちの船でいっぱいにしよな。
はいな。
負けへんで。
はいな。
負けますかいな。
(汽笛)ウフフ…。
ハッハハハ…。
ああ〜…。
翌大正8年鈴木商店の売り上げは16億円。
日本のGNPの1割に達した。
この額は三井物産三菱商事を遙かに上回る
時代が変転する中金子直吉はあくまで「お家さん」鈴木よねとの主従の絆にこだわりその姿勢を崩さなかった。
しかし鈴木商店が関東大震災後の不況の波をのりきれず八年後の昭和二年ついに倒産する
一つの時代を怒涛の如く駆け抜けた鈴木商店のビジネススタイルには様々な意見があることも確かだ。
だが鈴木よね金子直吉の不屈の精神が記した経済史上の奇跡は今も日本の近代史の中で輝いていることは間違いない
2014/05/09(金) 21:00〜23:24
読売テレビ1
天海祐希、小栗旬出演!読売テレビ開局55年記念ドラマ「お家さん」[解][字][デ]

神戸の砂糖問屋「鈴木商店」を日本一の商社に成長させた女主人・鈴木よね(天海祐希)と大番頭・金子直吉(小栗旬)。二人の激動の人生を描くヒューマンドラマ!

詳細情報
出演者
◇鈴木よね:天海祐希
◇金子直吉:小栗旬
◇鈴木岩治郎:生瀬勝久
◇千:相武紗季
◇占い師:梅沢富美男
◇珠喜:黒川智花

◇後藤新平:伊東四朗(特別出演)

◇本村勉:松重豊

◇田川万作:大和田健介
◇西田仲右衛門:西村雅彦
◇イシ:泉ピン子ほか
番組内容
「鈴木商店」に嫁いだ鈴木よね(天海祐希)は、厳しい夫・岩治郎(生瀬勝久)と衝突しながらも、子供を授かり商人の妻として順調な生活を送っていた。
しかし、夫の急死からよねの人生は一転…
「お家さん」と呼ばれ、女主人として鈴木商店の頂点に立つことになる!
彼女を支えたのは、奉公人の金子直吉(小栗旬)だった。
直吉と恋仲になる謎の女中・千(相武紗季)の出現など、幾多の困難に直面する二人の運命は…!?
制作
【原作】
「お家さん」玉岡かおる(新潮文庫刊)
【脚本】
浅野妙子
【音楽】
沢田完
【監督】
渡邊孝好
番組ホームページ
【「お家さん」公式サイト】
http://www.ytv.co.jp/oiesan/
おしらせ
5月8日(木)放送の
『秘密のケンミンSHOW』
『ダウンタウンDX』
に、相武紗季さんが出演!
5月9日(金)
小栗旬さん出演
『ZIP!』
『スッキリ!!』
天海祐希さん出演
『情報ライブ ミヤネ屋』
『かんさい情報ネットten.』関西ローカル
『news every.』一部地域を除く

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
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