2013-01-31
慶應SFCというシステム
学際という言葉が無意味と思えるほど、学問の境界が融解して、学問の体系が、スタティックなものから、どんどんダイナミックなものになっているとすると、慶應大学が、慶應SFCという形で、新しい知の体系を、スタータップのインキュベーター的に、本体とは別な形で取り込むのは、大学の運営として理に適った形かもしれない。東大の新領域とか、MITメディアラボとか、確かに色々な形があって、内容的には大きな違いがないとしても、SFCほどしっかり形を定めているものはないような気がする。
ドイツの研究型大学への志向から、アメリカの大学が発明したシステムが、大学院@ジョンスホプキンスだとすると(『大学とは何か』 吉見俊哉 - ideomics参照)、SFCも、"大学院Graduate School"に相当するような何かシステム的な普通名詞へと一般化できるのかもしれない。SFC的な何かを、まだ一般名詞として構想はできていないけど、とりあえずの思いつきとして。
大学院が大学からの直列システムだとすると、SFC的な何かは並列システム。イメージとしては、若くてまだ評価の十分に定まっていない知のカタマリをプールして、そこでインキュベートして、一定の成果が出たら、大学本体に取り込んでいくような動的なイメージ。というのも、新しくて評価の定まっていないものと、いかにもアカデミズムなものは運営の論理が違うと思うので、一緒にすると、お互いの良いところが打ち消し合う可能性が高いから。いわば、"ベンチャー"と"大企業"。
"ベンチャー"的なものとしては、日本全体では、既に、山中先生iPS発祥の地である奈良先端科学技術大学院大学や、最近としては沖縄科学技術大学院大学がある。今のように"ベンチャー"と"大企業"が別別にやっているほうが良いのかもしれないけど、学問の世界である以上、企業と違って、どれだけ情報の交換ができるかは競争優位に直結すると思うので、運営としての独立性は高めつつも、情報交換の流通はできるだけ活発にできた方が良さそうだ。運営の独立性と、情報交換の活性との良いどこどりとして、SFC的な形はありうるかも。もしSFC的な形を、「大学院」のように一般化できるとしたら、どんな名で、どんなシステム/運用になるだろうか。
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