2014-05-09
働き手「70歳まで」…新生産年齢人口に
|政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)の有識者会議「選択する未来」委員会が、人口減と超高齢化への対策をまとめた提言案が明らかになった。
70歳までを働く人と位置づけるほか、出産・子育て関連の給付など支援額を倍増させる。高齢者と女性の活躍を後押しすると同時に出生率の引き上げを図り、50年後の2060年代に1億人程度の人口を維持することを目指す。
同委の三村明夫会長(日本商工会議所会頭)が「2020年及び半世紀後を展望した日本経済への提言」を5月半ばに諮問会議に提出する。政府は、6月にまとめる「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させる。
日本の人口は、60年に現在の約3分の2の約8700万人に減り、約4割が65歳以上になると推計されている。これを踏まえ、提言は「年齢・性別にかかわらず働く意欲のある人が能力を発揮できる」制度が必要とした。
高齢者について、定年後の再雇用などで70歳まで働ける機会を増やすよう求めた。さらに、20〜70歳を「新生産年齢人口」と新たに定義し、60年に約4800万人と見積もった。現在の生産年齢人口(15〜64歳)の推計値(約4400万人)より、約400万人多くなる。
女性に関しては、出産や育児による経済的な負担が最小限になるよう、給付額(2012年度は約4・8兆円)など支援額を倍増させるよう求めた。
所謂、生産年齢人口(15〜64歳)を新生産年齢人口(20〜70歳)に置き換えることによって2060年の現役世代を400万人増やそうと言うことのようです。言うまでもないことですが、新生産年齢人口とおりに現役世代が増える条件は、高年齢者を企業がきっちり雇い入れること、または高齢者に仕事を用意できるだけの成長産業を育成に成功することにかかっているわけです。特に、地方から首都圏に人口が流入してくることに象徴されるように地方には主要な産業もなく雇用が確保されていない問題もあります。地方で産業を興し雇用口を確保することも重要な課題です。ただ単に「新生産年齢人口」を声高らかに叫んだからといってそのようになるわけではありません。
「骨太の方針」に新生産年齢人口を書き込むのであれば、それに併せて「70歳現役」が実現できる裏付けとなる成長産業の育成計画も示すべきでしょう。「働く人」の年齢を引き上げたいと考えているなら、看板ばかりを大きく出すのではなくその中身を明確にするべきでしょう。成長産業の育成しどの程度の規模の雇用を確保しようとしているのか?その具体的な計画表がないのなら「新生産年齢人口」は紙くずにももとる政策と評価するのが適当でしょう。