東日本大震災で福島県から東京都と埼玉県に避難した人の約6割に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があることが、早稲田大学の辻内琢也准教授(医療人類学)らの研究グループと、弁護士や臨床心理士でつくる震災支援ネットワーク埼玉(さいたま市)の調査で分かった。

 調査対象は震災後に埼玉県と東京都に避難した約3600世帯。今年3月以降、福島県などの協力で質問用紙を送り、世帯ごとに18歳以上の1人に答えてもらった。4月2日までに600人が回答し、避難指示区域からの避難者が約8割を占めた。

 質問にはPTSDの診断指標として世界的に普及する「改訂出来事インパクト尺度」の22項目が含まれ、有効回答の522人を分析した結果、57・7%が「PTSDの可能性がある」に分類された。震災翌年の2012年は67・3%、13年は59・6%だった。辻内准教授は「避難者の心の傷は3年間ほぼ変わっていない」と指摘している。