安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する根拠として、1959年の砂川事件の最高裁判決を引用していることについて、当時の弁護団が9日、都内で記者会見し、「砂川判決は集団的自衛権について判断を示しておらず、断固として抗議する」との声明を出した。

 砂川判決は「自衛権」について、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置」と定義。この部分について、自民党の高村正彦副総裁は「判決は必要最小限の集団的自衛権を排除していない」として、行使容認の根拠になるとの見方を示している。

 この日の声明には、当時の弁護団276人のうち21人が賛同。裁判の争点について「日米安全保障条約に基づく米軍駐留の合憲性であり、わが国固有の自衛権の問題ではなかった」と指摘した。判決が定義した「自衛権」についても、「わが国をめぐる『個別的自衛権』の問題であり、集団的自衛権の問題では全くない」と訴えている。

 声明文を起案した新井章弁護士(83)は「事件の当事者として、裁判で何が判断されたのか多くの人に知ってほしい」と訴えた。弁護団は今後、各政党に声明文を送り、高村副総裁に面会を求めるという。