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国際
【主張】中国と南シナ海 力の現状変更ここでもか
中国、ベトナムなどが領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島海域で中国が石油を掘削し、両国船が衝突する事態となった。
米国務省報道官は「係争地での石油掘削は挑発的だ」と批判し、菅義偉官房長官も「一方的な活動により、地域の緊張感が高まっていることを深く憂慮する」と中国に国際法順守と自制を求めた。当然である。
中国の行為は、尖閣諸島をはじめとする東シナ海への無法な海洋進出と同様に、力ずくで現状変更を試み地域を不安定化させるものだ。断じて許されない。
ベトナムによると、同国の排他的経済水域(EEZ)での石油掘削は今月初めに始まった。ベトナムが抗議の末、巡視船など約30隻を現場海域に派遣したのに対し、中国側は80隻を展開し、船による体当たりや放水を行った。
パラセルはベトナム戦争末期の1974年、米軍撤退の隙を突いて中国が実効支配した。中国外務省は同諸島を「中国固有の領土」とし、石油掘削は「主権に基づく正当なものだ」と唱えている。
その根拠とされているのが、南シナ海ほぼ全域を9つの点で結んで囲む独自の「九段線」で、中国はその中を領海扱いしている。陸地を基点とする領海とはまるで違い、国際的には認められない。
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