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ウィンドウなしで顔が表示される演出の覚え書き
超ひさしぶりのまともなブログの更新である。
信じられないぐらい忙しい日々が続いていて、毎日、家に帰るともうメシ食ってビール飲んだら、バッタリ寝てしまうぐらい疲れてしまっていて、ゴールデンウィークも本当に寝て過ごしてしまった。自分で信じられないほどだ。

あと、ゲームレジェンドには、ときめきメモリアル20周年を記念して、ムチャな本を作りたい。それからFF10の本は夏コミには出したい…じゃなくて、だーす、出すって言わないと出来ないw
…とまあ、そんな話個人的な事情はともかくとして、イース1・2のバストアップの演出について新しい話を聞いたので、記録代わりに留めておこうというのが、今回のネタだ。

さて。
1989年にイース1・2作っていたとき、僕は山根から右のような画面の演出を提案され、もちろんOKといった。結果、画面上にドドーンと絵が出るって演出が登場することになった。

このウィンドウなしでバストアップが表示されるって演出は(多分)これが史上初で、そしてこの手法は、あの社壊人、山根ともおの天才バカが考えだしたと信じていたんだけど、ちょっぴり違ったらしい。
今回は、それを知った過程をブログに記録しておいて、この手法を確立した人間を、やや訂正しておこうというわけである。

しばらく前、全くたまたまの話なのだが、ある方が僕に右のような画像をくれた。
これは約25年前のハドソンの広報誌ユーモアネットワークで、確か当時ハドソンのソフトを買ってアンケートハガキを送ってくれたユーザーとか、全国キャラバンに参加してくれたユーザーに送られていた広報用のペーパーだったはずだ。
なんと、この広報ペーパーに、イース1・2が取り上げられており、こんなテキストを進藤のヤツは書いていたわけである。

進藤は進藤司。
この男は、ハドソンで天外魔境1のアートのチーフをやったあと(それより前は知らない)、イース1・2でアートのチーフをやり、なんかコマゴマと2,3個仕事に関わった後、和泉さんとともにSFCのアースライトを作ることになり、アートのチーフをやった。
天外2では知った進藤を使いたかったんだけど、そんときSFCでアースライト作ってやがったから使えなかったのは今でも少し残念だったり。
そのあと2,3年してハドソンからREDに転職し、そこで広井王子さんとともに様々な仕事に関わった後、再度転職し、現在は有名オンラインゲームの会社で、結構有名なオンラインゲームの仕事をしている。チャキチャキのゲーム屋さんである。

この文章の存在を約25年知らなかった僕はいい面の皮だと思ったわけだけど、まあなんにしても、この画像、かなりの貴重品で進藤が持っているかどうかわからなかったので、画像を渡しておくことにした。
(なんせ25年前の広報誌で、しかもブランド以外はなくなってしまった会社なのだ。本人が持っていなければ、まず二度と手に入るまい)。
そこでfacebookで連絡をしたわけだが、以下がそのログの抜粋。

■僕
もう一つ、超大事なことを忘れてた!
ある方の好意で知ったんですがw
きみねーw これねー僕は知りませんでしたよ!?w
■進藤
あっ! よくみつけましたね^^
でも全部本当のことじゃないですか、岩崎さん^^
■進藤
^^ あと一個岩崎さんに伝えておこうかなとおもったのは、今の殆どRPGがやっているバストショットの2D絵の演出方法ですが、あれは山根君の考案じゃなくて自分です^^
その前にはRPGであんな演出はなかったはず
当時山根くんが自分の隣にいて、色々話しているときに出たアイディアななずですが(たしか)
まー 他のタイトルが既にやってたら、てへっ ですが^^;
■僕
いや、なら間違いなく君のアイディアだよ。あれより前にはアレはない。
パソコンは描画力がなく、ファミコンはスプライトの能力がなかったから、当時あれが出来るのはPCエンジンで、しかもCDROMだけだもん。ブログにでも書いておくw
■進藤
よかった^^ 言っていいものか悩んでいたので^^ ブログに書くのは岩崎さんにお任せします。自分は岩崎さんには話せればOKだったので^^


と、このような会話があったので、ブログを書いてるわけだ。

で、いろいろ補足しようと思うのだけど…
イース1・2のようにバストアップをウィンドウなしで画面に載せたのは、ほぼ間違いなく、これが史上最初だと思う。
パソコン版のイース2で分かる通り、ビジュアルデモはあったし、会話ウィンドウに顔が出るってのはあったけど、上のログでも簡単に書いているけれど、ファミコンではスプライトで出来る表現ではないし、BGとなるとマップチップと合成するとか部分スプライトにするとか、もしくは四角にするとかいずれにしても非常に面倒くさく、まあやる価値はほぼない。
だいたい当時は4メガROM、512キロバイト程度が容量の上限の世界で、キャラにこのような表現をつけるぐらいなら、キャラは標準の顔ウィンドウだけにして、ゲーム内容に少しでも容量を割くほうが妥当な判断だ。
フルグラフィックスの使えるPCではもちろん可能な表現だけど、国内・国外を問わず、少なくとも僕はイース1・2のような表現をみたことはない。ただ、当時(1987-90ごろ)のPCのディスクはせいぜい320KB程度で、2枚組が多い方だったのだから、ROM表現換算で5メガROM程度。容量を考えると、まあ使わなかった理由はわからなくもない。
また、上の会話では描画力がない、と書いているが「この表現をして、キレイに合成するほどの描画能力があるのは、せいぜいX68Kだけだった」ぐらいが正しい表現になるだろう。
加えて書くと、メガドライブは可能だけど、当時はROMだけで量の問題が厳しく、かつ発売されて1年経っておらず、どちらかというとアーケード系のラインアップで、やはりなかった(少なくとも日本で発売されていたソフトにはない)。
というわけで、このバストアップつーかキャラをウィンドウなしでドンと画面の上に置くのは、ほぼ間違いなく進藤(+山根)の発明と考えていいと思う。

そして、この演出が出来上がったのには結構幸運があったと思っている。
会話ウィンドウに顔が出てきてしゃべるというアイディアは、すでに流石にあり、例えば自分のデビュー作の凄ノ王伝説でも普通に使っていたし、もちろん(?)天外魔境1でも普通に使っていた。
そして、顔をだすゲームを作っていた進藤だから、イース1・2でも顔をだすって案が出てきたのだと思う。
ここからイースの演出へは一歩のように思えるけれど、当時はまずマルチウィンドウ表現それ自体が、まだ新しい時代だった。だからウィンドウの中に絵を出すのがカッコイイと思えた。今の人には想像もつかないだろうけれど、ドラクエ1のウィンドウはファミコンユーザーにとってはとてもカッコイイもので、パソコンユーザーにとっては自分たちの優越感のポイントを一つ取られたような気持ちになるものだったのだ。
だから、ウィンドウなしで絵を出すってのは、かなりチギれた概念だった。
実際、進藤の提案を山根から初めて聞いた時、僕もビックリして「えっ」と思って、絵面を見て納得した記憶がある。

そして、この表現はイース1・2では、見ようによっては枠の中に表示しているには変わりない。
イース1・2はPCからの移植で、PC版では描画をラクにするために飾り枠をつけており、そしてイースのマップはとんでもなく凝っていたために、パソコンと同じ見える範囲でなければ破綻するところが多々あったので、画面全体に枠があった。
この枠がある状態は天外1のイベントや戦闘で使われる画面に似ている。
つまり天外1のイベント画面と構成がにているから、中にブチ抜きで絵を出してもいい…という発想が出てきたのではないか、と僕は思っているのだ。
さすがに、どういうプロセスで思いついたのかまでは、進藤も山根も覚えていないだろうから、今書いたことはただの推測だけど、あながち遠くはないのではないかと思っている。

というわけで、進藤も書いている通り、進藤が取っ掛かりをもって山根に話して、山根と進藤が議論をした結果出来上がったものだから、どちらが発明したって話ではないけれど、いずれにしても、この二人が発明したのはほぼ間違いないと思う。

今ではごく普通の技法になっている画面にバストアップのキャラが枠なしで現れるのは、進藤と山根の発明なわけである。
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