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森本千絵と見る現代アート『幸福はぼくを見つけてくれるかな?』
- 文:内田伸一
- 撮影:菱沼勇夫
- (2014/05/09)
「私たちのまわりに / ありふれた言葉を / ありふれた力を」。そんな言葉で始まる「みとめる」という詩があります。沖縄の海を臨む防波堤に大きく描かれたこの詩と絵を、1枚の写真をきっかけに知ったのがアートディレクター・森本千絵さん。実際に描いた姉妹を見つけ出し、一緒に同じ防波堤にMr.Childrenの歌詞を描いた写真が彼らのベストアルバムのアートワークを飾り、森本さんの活躍の出発点にもなりました。
さて、「みとめる」とは受け入れることだけでなく、今まで見えなかった物事や考えに気付くこと、でもあるかもしれません。ある種のアートは、日常の視点をずらし、置き換えることで、世界の未知の姿を認めるきっかけをくれます。そうした表現が、ユーモラスなものから哲学的なものまで揃う美術展が『幸福はぼくを見つけてくれるかな?』。そこで今回、森本さんをお誘いし、会場の東京オペラシティ アートギャラリーでその世界に浸ることになりました。
森本千絵(もりもと ちえ)
コミュニケーションディレクター・アートディレクター。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科客員教授。1976年、青森県三沢市生まれ。1999年、武蔵野美術大学卒業後、博報堂入社。2006年、史上最年少で東京ADC会員となる。2007年、独立。「出逢いを発明する。夢をカタチにし、人をつなげていく。」集団、「goen°(ゴエン)」を設立。企業広告はもとより、松任谷由実らミュージシャンのアートワーク、動物園のディレクションや保育園の内装などを手がける。東日本大震災復興支援CMサントリー『歌のリレー』で『ADCグランプリ』初受賞。他、『日経ウーマンオブザイヤー2012』『2014年日本建築学会賞』『第4回伊丹十三賞』など多数受賞。
goen°
鑑賞者の意識を変える「わけのわからないもの」とのコミュニケーション
会場に集合し、いざ鑑賞! と入口をくぐると、係員がやおら森本さんに話しかけてきました。「お名前は?」
森本:も……森本千絵ですっ!
こちらも慌てて「しゅ……取材ですっ!(汗)」と駆け寄ろうとしたそのとき、その係員さんはよく通る美声で会場奥に向かって宣言しました。
「森本千絵さま~~!」
ピエール・ユイグ『ネーム・アナウンサー』
©Pierre Huyghe, courtesy the artist and Esther Schipper, Berlin
実はこれ、最初の作品なのでした。ピエール・ユイグの『ネーム・アナウンサー』は、来場者に名前を聞き、それをアナウンスするというもの。「美術展の主役は作品で、来場者は受け手」と思いがちな関係性をゆさぶる、まさに挨拶代わりの一作です(会期中の火、金、土、日曜日のみ。時間は不規則ですが18:00頃まで体験できます)。
森本:なるほど、たしかに意識が変わりますね! 美術館という場所で自分という存在が何なのか? っていう、ふだん考えないことに気持ちが向くのが面白いです。ところで、さっきの声とは別に、すぐ奥から妙に落ち着く歌声が聴こえてくるけど……。
続く作品も、これまたちょっと人を食ったような島袋道浩の作品『わけのわからないものをどうやってひきうけるか?』。ドイツの女学生に、日本語の歌謡曲を意味のわからないまま歌ってもらう映像です。「ヨーギリヨ~、コンヤモ~♪」という歌声は、どうやら石原裕次郎の名曲の一節。
島袋道浩『わけのわからないものをどうやってひきうけるか?』© Shimabuku, courtesy the artist, Berlin
森本:まさにタイトルの通りの作品ですね(笑)。でも、頭で理解しようとせず歌っているからこそ、音の中に「日本のうた」が持っている記憶みたいなものも感じるし、同時にいろんな国の人々に共通する何か——慕情みたいなもの? もあるのがわかる。だから、可笑しいけどホッとするのかな。
歌声に送られ先へ進むと、さきほどのユイグのもう1つの作品、こちらは長編映像の『未耕作地の場景』が。作家が国際美術展『ドクメンタ13』(2012年)で、会場の公園内に独自の生態系を出現させた試みを、その記録映像で再構成したものです。ピンク色の足をした犬が広場をさまよい、裸婦像の頭に無数のミツバチが群がるなど、美術と自然が入り交じるシュールな世界。
森本:うーん、これはちょっと恐い(笑)。でも、ここまでやると「超自然」と「超人工」はある種、融合するのかも、っていう世界観も感じます。いろんな背景が詰め込まれていそうな作品ですね。
ピエール・ユイグ『未耕作地の場景』© Pierre Huyghe, courtesy the artist, Esther Schipper, Berlin, Marian Goodman Gallery, New York / Paris
一転、開けた大部屋に入ると、大壁に貼り付けられた1対の大きな目玉と眉毛が、森本さんのほうへキョロっと視線を向けてきました! コミカルな目つきで訪問者の動きを追うように動き続けるこの作品は、ライアン・ガンダーの作品『マグナス・オパス』(ラテン語で「最高傑作」の意)。森本さん、この作品がいたく気に入った様子です。
森本千絵とライアン・ガンダー『マグナス・オパス』© Ryan Gander, courtesy the artist and TARO NASU
森本:かわいい~~! タイトルとのギャップがまた気になりますね。これが「最高傑作」って何なんだろう。観ている私たちのことか、それともこうして作品と人が見つめ合ってる状況のことかな……? ただこちらを見つめてくるだけじゃなく、逆に目の前にいても視線が合わなかったりするのも面白い(笑)。
壁の後ろで誰かが操作を? という気にもなりますが、センサーで制御しているのだとか。そのつぶらな瞳には、美術とは、また美術館や展覧会とは何か、という問いも宿るようです。しばし、無言のコミュニケーションを試みる森本さんでした。
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僕は世界を救わないことにきめた?
内田伸一
1971年生まれ。ライター、編集者。『キャプテン翼』命なのに卓球部の中学生、The Clashに心酔するも事なかれ主義の高校生、心理学専攻のモラトリアム大学生として成長し、初対面が苦手な編集者として『A』、『Dazed & Confused Japan』、『REALTOKYO』、『ART iT』などに参加。矛盾こそが人生哉。
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