中国政府の姿勢は、この地域の勢力バランスは中国に有利に動いており、その他の国は最終的には優勢な中国に譲歩しなければならないだろう、という考えに基づいている。しかし、他の領有権主張国も同様に国家主義的な国民を抱え、やすやすとその主張を放棄するわけにはいかない。それらの国にとって、中国は重要だが、例えば米国との防衛関係の強化など他のオプションも存在するのだ。
中国が掲げる目標との緊張関係をうまく処理するためには、機敏な外交と軍事力および準軍事力の効果的な統制を必要とする。
一方、中国の国家主義的な政策や危機管理における様々な実績を考えると、中国政府は策略を練っていろいろな手を繰り出すものの、その能力は十分に信頼できるものではない。
もし中国が係争地の支配を強化するために攻撃的な行動を取り続けるならば、近隣諸国との関係を一層損なうことになり、地域の安全保障環境をますます不安定にする危険性が増すことになるだろう。
(本記事は筆者個人の見解を述べたものであり、必ずしもパシフィックフォーラムCSISあるいは戦略国際問題研究所[CSIS]の見解を代表するものではありません。)
[筆者プロフィール]
Phillip C. Saunders:ソーンダース博士は、国防大学(アメリカ国防総省が設立した高等教育機関でワシントンDCにある)中国軍事情勢研究センター長在任中である。なお本論文は国防大学やアメリカ国防総省の見解を反映させたものではない。
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本記事はパシフィックフォーラム CSISとCentre for Navalist Studies(CNS)との合意に基づきCNS(北村愛子)が翻訳したものです。パシフィックフォーラム CSIS発行論文の原文はCSISのウェブサイトで読むことができます。