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ニコニコ動画と2ちゃんねる関係企業に麻生・財務大臣の親族が役員就任中 政府からの支援で利潤をあげる見返りに「政治教育」のビジネス像

2014年4月24日15時48分

ニコニコ動画と2ちゃんねる関係企業に麻生・財務大臣の親族が役員就任中 政府からの支援で利潤をあげる見返りに「政治教育」のビジネス像



(自民党ホームページのトップFLASH画像より)


大手動画サイト・ニコニコ動画は、コメント書き込み機能のあるネット動画視聴サービスとして知られる。だが実は、運営をしているドワンゴ社が政府と持つ強力なコネクションと互恵関係は今まで十分に知られて来なかった。同社は、現財務大臣である政権与党・自民党の麻生太郎元総理の息子など親族を、運営会社と下請け企業の役員に多く抱える企業群であり、また日本のネット言論を形成する2ちゃんねる、まとめサイトと深いビジネス上のつながりを持つ。


そして経営では、政府の便宜を受けるイベントで多くの売り上げを得るなどの資金を得て、与党自民党と安倍内閣に有利な運営を行なっている相互扶助的な関係が存在することが、多数のネットユーザーの調査で判明した。かねて、麻生財務大臣の息子である麻生将豊氏がドワンゴ社の取締役に就任であったものの退任したことが以前FACTAによって報道されていたが、現在もその系列企業に籍を置いていること等が分かったのだ。


すなわち麻生将豊氏はドワンゴ社長の川上量生氏がやはり社長をつとめてニコニコ動画の販売部門ビジネス「ニコニコ直販」「ニコニコ市場」部門を下請けするエクストーンという会社の取締役であり、現在も麻生氏の息子が金銭報酬を受け取っている可能性がある。





(匿名のネットユーザが調査した、エクストーン社の4月23日時点の全部事項証明書。ただし、同社のウェブサイトでは何故か取締役の中で麻生氏のみの名前が記載されていないので、一見すれば麻生氏の息子とニコニコ動画のグループ群のつながりは消えたように勘違いしてしまう。)


加えてFACTA報道時点では「麻生副総理の資産公開によると、将豊氏は同社株式を9553株、母のちか子氏も5120株を保有」とされて、また麻生太郎氏の甥の麻生巌氏(麻生ファミリーの中枢企業「麻生」の取締役でもある)もドワンゴ社の取締役になっている。



さらに、それより直接的にドワンゴ社主催の有料イベントでも、日本政府の公務員が派遣されて支援を受けていることが判明する。ニコニコ動画側発表で観客動員12000人の実績を持ったイベント「ニコニコ超パーティー」の第3回(チケット価格は5800円から6800円)には陸上自衛隊中央音楽隊300名が出演する。チケット代金を計算してみると、入場者数が前回どおりなら約7000万から8000万円になり、ニコニコ動画で視聴するための有料ポイントを含めれば、それ以上の売り上げになる。(むろんこの日出席する自衛隊員には、麻生氏が財務大臣を務める国から俸給が支払われるだろう。)


スクリーンショット 2014-04-24 10.35.21

そして、次に4月26、27日に開催が予定されているイベントニコニコ超会議第三回の「後援」には総務省・経済産業省・千葉市が名を連ねており、最高価格のチケットは12000円である。


大手出版グループ・カドカワ(東証一部上場)の一角にある有名ゲームメディアファミ通がプレスしているところによると2ちゃんねるの元管理人・西村博之氏(通称ひろゆき氏)の出演が予定されている。しかし、ここで問題になるのは、各種の違法行為で疑いをもたれている西村氏が出演するイベントに、政府や自治体が太鼓判を押して後援していることだ。


まず、彼については大量の裁判で敗訴して数億円単位の損害賠償金を踏み倒し続けている旨が報道され、自身でもその事実を認めているが、実際には多額の資産を持っていると見られている。すなわち西村氏は、昨年国税庁に1億円の追徴課税をされてその全額を支払ったという旨が報道された。その上、今年の4月には5000万円の海外送金を自ら発表しており、2chの大規模なコピーサイト(作成費・サーバコンピュータ費は膨大と見られる)も、立ち上げている。従って、実際の資産は大量に保有しており「払える能力はあるが払っていない」なのだ。さらにそのサイトは投稿を無断でコピーする内容なので著作権法違反の疑いが強くあり、加えてもとの2ちゃんねるへ、事実上のDDoS型・サイバー攻撃をしかけるなど、刑事上も問題性の高い行為をしている。


もっともこの経産・総務・千葉市が行なう「後援」の内容については不明だ。しかしもし、直接的な金銭の支援があればますますドワンゴ社は政府系から便宜を受けていることになる。また仮にポスターの設置や広報、その他、職員の手伝いが得られていたとしてもやはり通常の企業が支出することになる費用の出費を免れているので、公金によって多額の経費が浮いたことになるだろう。現在本紙では情報公開請求でその内容を調査中である。


そして4月25日に届いた千葉市からの電話連絡によると、①後援に際して千葉市からの支出があったことを記録する文書はない②総務省、経済産業省との連絡は後援事業に関して行なっていない③他の部分の公開には時間を要するするということである。(4月25日追記)

screenshot chiba niconico 2014-04-23 17.25.00

(千葉市へ提出した開示請求)


以上をまとめると、元総理大臣にして現財務大臣・麻生太郎氏の親族が取締役報酬などを受けていると見られるニコニコ動画のグループは、その全貌は不明ながら、現在の政府から多大なビジネス上の便宜を受けているように見られる。そして極めてコンプライアンス意識の低いことで有名な元2ちゃんねる管理人の西村博之氏を政府のお墨付きイベントに参加させることも支障なく行なっている。


ではいっぽう、ニコニコ動画側は与党・自民党に対してどのような態度を示しているのだろう。ソースにより多少の違いがあるが、無料会員で3000万人ほど、有料会員200万人を超えるとされる同社の世論に持つ影響力はとても大きいものがあるはずである。ここではニコニコ動画の行なっている「ニコ割」とよばれる、動画の再生中にスクリーンへ割り込んで現れるオリジナルのアンケートシステムについて、公表資料を元に検討したい。




(ニコニコ動画・アンケートは毎回約10万人を超える大規模で実施される。)




これを見ると、質問項目2つ目に、安倍内閣で最も評価している政策は何かという質問項目があり、その他を選んだりする余地はあるものの、安倍内閣を評価している前提でアンケートに答えなければならない。(また逆に「もっとも安倍内閣に不満な点は何ですか」という質問項目は無しだ。


これと対照的に、民主党政権時代は「最も評価している点」について聞く変わりに、「菅直人総理は退陣すべきと思いますか」「民主党は党首を誰に交代させるべきだと思いますか」といった系統の、政権基盤を変更するべきである前提に立った質問が多く見られた。(4月30日追記)


そして東日本大震災や、汚染水処理等に対する政府の対応が批判され、原発再稼働に関する争点と結びついている福島第一事故等、国民の不満を受けやすい論点についてはどういう扱いだろう。まず福島事故は「深刻」とは書いてあるが「世間の関心が低くなっている」が回答欄の最初におかれる。またその前振りの質問で、東日本大震災から丸3年が立っていることが告げられて、その回答をしたあとで福島事故の話になる仕組みになっている。(筆者ならつい、「丸3年が経ちました」という表現が質問にあれば震災への関心は低くなったと答えてしまいそうだ。そうすると、次の質問で、東日本大震災を契機に発生した福島事故について聞かれてしまったら、今度もやはり関心は低くなっているとついつい答えるようになる気がする。)


次に、こちらのロシア・クリミア侵攻に関するアンケートを見てみよう。




これは果たして、「アンケート」としてどれだけ意味があるだろうか。まず、4択式の回答項目で、「帝政ロシア以来の膨張主義を阻止するために戦争も覚悟」という極端な意見がいきなり挙げられている。しかし現在の日本で、ロシアと戦争というのはやや唐突なきらいがある。また「最大の脅威である中国」という質問の書きぶりも(筆者はそれを否定しないが)、クリミア侵攻に関する質問でYESと答えさせるのに適当な枕詞だろうか。そもそも、ロシアに対する制裁内容が「非常に甘くなっています」と切り出されていること自体、結論に大きく影響を与える書き方と思える。(断っておくが、ロシアのクリミア侵攻は重大な国際法違反だと筆者は考えている。)これを見ると、以上の「質問と回答」はもはや、世論調査というより意見の「誘導」に近いのではないか。


なおニコニコの視聴者層は若く6割が30才未満とされる。もっとも、それならば選挙権のない未成年も多く、成人しても投票率の低い層なので国政に与える影響は大きくないという考え方も成り立たないではない。しかし、未成年であってもその考え方は選挙権を持つ家族・知人に社会の中で伝播する。また国政に不満を余り持たないように先導される方式の「アンケート」を受けていると、そんなに現行政権・与党にも不満を持たず、野党に投票しない層が増える効果も予測し得る。さらに実証研究の有無はまだ知らないが(ひょっとするとニコニコ動画のアンケートが世界で最も大規模な実証実験になるかもしれない)若年層の方が意見の刷り込みを受けやすい可能性もある。


では、昨年以来、脱原発をかかげており安倍政権へ批判的になった小泉純一郎元総理についてはどのような扱いだろう。



この回のQ4は、「与野党の一部」に小泉純一郎氏を原発ゼロ担当特命大臣にしてはという提案があるという切り出しである。確かに、そのような意見は「一部」だったかもしれないがこの書き方だと(少数の人間が変わったことを言っているように聞こえて)素直に賛成とは選びにくい。また、アンケート結果でこの賛成率の低さを見せられると、安倍内閣の原発再稼働に反対する小泉純一郎氏の意見自体が原子力政策として相応しくないような印象が醸し出される。




今度は東京都知事選についてであるが、「小泉父子」という表現になっており、ネガティブな世襲の印象が出てくる。またこのような割り込みアンケートを大規模に見せつけ続けられると、小泉氏らはニコニコ動画と、それに影響力のありそうな自民党内部の人間に「やめてくれ」と頼みたくなりそうである。あるいはジャーナリストでも署名記事を罵られたりするかもしれないと思うと、政権に批判的な内容の記事を書く意欲が減退するだろう。つまり、政治家にも、報道機関にも、政府与党の中枢に批判的な政治的な意見を表明することに対する萎縮効果が生じてくる。(なお後述のように自民党ネットサポーターズクラブ・会長は野党の幹部に「黙れ、ばばあ!」などの侮辱発言を書き込んだスキャンダルも報道されている)




(ニコニコ動画のユーザは与えられた選択肢の上で自らの回答した項目について、15分後に参加者全体の意思を知ることになる。)


もちろん、以上のようなアンケートを行なっているニコニコ動画を見るかみないかは完全に個人の自由である。しかし、ドワンゴ社は「まとめサイト」ビジネスの大きな中心であり、2ちゃんねる旧運営の未来検索ブラジル社の広告契約の窓口となっている。2ちゃんねるやまとめサイトの内容は、その検索エンジン対策の強さから、検索結果で上位に上がることが多い。そのため、ネットを使う以上ドワンゴ社と旧2ちゃんねるの関連するまとめサイトを見ずに過ごすのは非常に困難である。


つまり資金と情報の構図をまとめると、以下のようになる。まず金銭については、麻生太郎元総理が大臣を務める財務省の決済で国庫から公費の支出がされる→ドワンゴ社が各省庁・自治体(国から補助金を得ることも当然ある)から利益を得る→その資金が麻生ファミリーに還流される。


そして逆方向の流れとしては、ドワンゴ社は与党・自民党の主流派と政権の方針に親和性が高い「アンケート」を大勢のユーザーに流すことで思想的に感化して、与党・自民党の保守派を強化する構図がある。(さらに自民党内でも、原子力政策で安倍内閣に批判的な立場を取っている小泉純一郎氏らに対しては、攻撃的な扱いがされる。)実際、自民党にはネットサポーターズクラブ(J-NSC)が存在するが、この会長で衆議院議員の平井卓也氏が野党の党首に対してスマホから罵倒のコメントを書き込んだり、「あべぴょん、がんばれ」や「橋下、逃亡か」のコメントをニコニコ動画への投稿で書いたことを認めている。そのため、1万人以上とされるその活動は、ニコニコ動画・2ちゃんねる・まとめサイトにおいても行なわれている可能性がある。




(自民党ネットサポーターズクラブこと「J・NSC」ウェブサイトより)


出発点として意識するべき点があるが、それはネットでなにかものを言おうとするときに重要なのは、運営権限者との関係だということだ。例えば運営者から特別な配慮をされれば、それは意見発表の上で大きな有利や不利に繋がる。実はニコニコではコメントを書き込みの出来ない「NGワード」が運営により設定されており、そのNGに違反したり不適切なコメントをするとアカウントが一時的に、または永久に凍結されるとニコニコのサイトには書いてある。その禁止表現設定の仕方次第ではコメントの方向性や、そもそもの議論のアジェンダを操作する余地もあるだろう。(平井氏は「黙れ、ばばあ!」と書き込んだとされているが、これでアカウントに処分を受けたかどうかは不明である。とても当然でながら、平井氏は国会議員なので公務員である。あと「ばばあ!」という表現は、杓子定規にいえばいちおう刑法上の侮辱罪に当たって違法な可能性がある。)


この様な環境下で受け答えをしていると、何となく自分やスクリーンの向こうにいる運営者が現政権の政策を支持していて、特に不満もないような感情に誘導されないだろうか。更にいえば、このアンケート結果は実施後にネット最大級の世論調査として発表されるため、現政権与党・自民党の安倍内閣へ周りの人間も満足しているのかなという気分に教育されそうだ。実際、海外の民主主義国家と思われる国々でも政府に置けるネット上の情報操作プログラムは、実施されているので、同様のことが我が国で生じていても不思議はない。




(エドワード・スノーデン氏がリークした英国政府・情報機関GCHQのトップシークレット資料。これを報じたグレン・グリーンワルド氏の記事によれば、NSA等とともにブログ、SNSなどで政府にとって都合の悪い人間の人格攻撃などを行なっていたとされる。)ちなみにNSA業務のかなりの部分がブーズ・アレン・ハミルトン等の民間協力企業に担われている。


ネット世論が保守化したといわれるが、実際のところは非常に保守よりの意見しか、目に見えないだけの仕組みになっている可能性がある。また、その追い打ちで本当に保守的な傾向へ感化されていくかもしれない。さらに、その個々の会員の回答結果の推移もニコニコ動画のユーザ強制入会制のアカウント情報と紐を付けると、把握していくことが出来る。なお、ニコニコ動画内での言論を監視しているのは、NPO法人札幌未来チャレンジドによれば、2ちゃんねる元管理人の西村博之氏が取締役である未来検索ブラジル社である。


以上の論点は、今年春に生じた2ちゃんねる運営陣の交代とともに、その旧運営への間接的なスポンサーに自民党や多くの大企業がついていて、匿名の陰で一般ユーザーと異なる特殊な便宜を受けていたのではないかという疑問を持ったネットユーザらの調査によりわき上がった。この調査は、現在進行中の、元・2ちゃんねる管理人ひろゆき氏が唐突に自らの管理していた2ちゃんねるへのサイバー攻撃をかけるなどしたことに対する、匿名ネットユーザー群の反発が動機だ。これらの点については、下記のリンク記事を参照いただきたい。


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