プレミアムドラマ かすていら(4)「父のしごと」 2014.05.09

(雅人)いよいよ次たいね。
(喜代子)うん…。
よし頑張れ。
神様…。

(明子)ふだんどおりやれば大丈夫。
(雅志)おしっこ!また?まあ大したもんばい。
初めてのコンクールで準グランプリ取ったとやけん。
ばってんあのグランプリ取った女の子すごかったな。
(繁理)山口代表の5年生?ああ。
そこが納得できんと。
なして九州大会やのに山口県まで出てくっとね?あん子毎週土日東京まで習いに行っとるとって。
(繁理)わざわざ東京まで?そやろな。
さあいつまでもくよくよしとってもつまらん。
御飯食べて元気出さんね。
大丈夫!来年は絶対グランプリ取れるけん。
(玲子)グランプリ取れるけん!
(子どもたち)おはようございます。
(タモツ)聞いたぞ雅志!バイオリンのコンクールで2等賞やったとやろ?すごかね〜!
(タモツ)どげんしたと?
(ケンタ)おい!今日の学校帰りカステラば食いに行かんね?カステラ?発見したとよ。
日本一安くてうまかカステラばい。
(店員)いつもの400円のこちらでよろしいですか?カステラって耳だけね。
(ケンタ)何ば言いよっとか。
カステラは耳が一番うまかと!ほらどいがよか?やっぱこいやろ。
こっちの方がふとか。
どう見てもこっちやろ。
なあ?雅志。
うん…。
俺が決めた事に文句あっとか?ほら金ば出せ。
(タモツ)俺と雅志の分。
あっすいませんこいば下さい!はい30円ね。
(ケンタ)ほれ。
うまか〜!うん!やっぱカステラは耳が一番やけん。
(タモツ)なあカステラ食べ終わったら港に行ってみん?港?
(ケンタ)何しに?軍艦のガイジンさんに魔法の呪文ば唱えたらうまかお菓子のいっぱいもらえるとて。
魔法の呪文って?「ギブミー」。
(2人)ギブミー?なっ簡単やろ?面白かごたる。
よし行ってみっか。
雅志も行くやろ?俺は…。
またバイオリンか?うん…。
バイオリンのごたるとはサボったらよか。
無理ばい。
雅志のお母さん厳しかとよ。
なっ?雅志。
(ケンタ)へっ!意気地んなか。
なら2人で行くたい。
(タモツ)今度また一緒に行こう。
(鐘の音)お母ちゃん…。
ん?俺もうバイオリンやめたか。
なしてね?どげん練習してもあん子には勝てんもん。
だれがそげん事言うたと?あん子は毎週東京に習いに行っとるし…。
ならあんたも東京行くね。
そげん事できる訳なかろう。
なしてね?あんたが行きたかて言うとやったらお母ちゃんどげんしてでも行かしてやっとよ。
それにあんた負けとらんかったよ。
お母ちゃんにはどげん見てもあんたの演奏がグランプリやった。
ばってん…。
あんたが選ばれんかった理由は緊張してふだんどおりやれんやったけん。
ふだんどおりやれたら間違いのうあんたがグランプリやった。
お母ちゃんなしてそげん俺にバイオリンば続けさせたかと?あんたには才能のあるとやもん。
また多か…。
次から次へと…。
お父ちゃんまだ仕事見つからんと?うん。
もうすぐ見つかるよ。
もうすぐっていつ?よかけん早う食べんね。
(繁理)おかずの少なか。
ぜいたくば言うなお前。
お父ちゃんは昔中国からの引き揚げ船で1週間水も飲めんかったとよ。
門司港に着いてやっと長崎まで帰ってきたら原爆で焼け野原。
食うもん着るもんどころじゃなか。
毎日生きてくとに精いっぱいやった。
なあお母ちゃん。
そうでしたたいね。
そいに比べたら食うもんがあるだけましやと思わんと。
うまか。
(タモツ)ほら食うてみんや。
どうや?うまか!なっ?今から一緒に港に行かんね?ばってんアメリカは原爆ば落とした国やろ?そいが何ね?長崎の人は何万人も焼き殺されたとよ?昔の話たい。
戦争はとうに終わったとやけん外国の人とも仲良うせんと。
なあ?うん。
(ケンタ)いつまででんそげん事言いよったらこいから先もず〜っとガイジンさんとは仲良うできんばい。
(ケンタ)おったおった!何しよっとか?チョッコレイトギブミー!チョッコレイトギブミー!チョッコレイトギブミー!雅志呪文呪文!来い!俺が言うたるけん。
ギブミーチョッコレイト!ヘイチョッコレイト!サンキューばい!ヘイ!ギブミーチョッコレイト!はよせんね。
まだたい。
(職員)え〜っとお名前は佐野…。
雅人。
ああそうでしたね。
え〜っと資格は…。
(2人)普通免許があるとですね。
あれ?貴様な昨日も同じ事聞いたとよ。
あ〜そいでしたか。
もうどげん仕事でんよか。
俺は今日からでも今すぐからでも働けるったい。
そいですよね。
「そいですよね」って…。
貴様らな税金から給料ばもらいよっとならもっとシャンと仕事せんね。
なっ?そげん言われましても…。
俺はな貴様らがまだおしめしてハイハイしよる時からもう命懸けでお国のために戦ってきたとよ。
命懸けで!シャンと仕事せんね。
そいですよね…。
そいですよねそいですよねって…。
ただいま。
(2人)お帰り。
お帰り。
お帰り。
遅かったね。
どこ行っとったと?タモツとちょっと…。
すぐ御飯にするけん手ば洗ておいで。
うん。
繁理と玲子も手ば洗ておいで。
(2人)は〜い!どげんしたと?別に…。
腹痛か?男んくせにだらしなか。
大丈夫。
さあ御飯にしよう。
おかずこれだけ?文句言わんと。
頂きま〜す。
(一同)頂きます。
雅志どげんしたと?え…?あれ?チョコレートの匂いのする。
(繁理が匂いを嗅ぐ音)あっホント!チョコレートどこにもなかとよ。
(繁理)いやこいは絶対チョコレートの匂いばい。
マー兄ちゃんおなかに何ば持っとると?何か隠しとると?出してみらんね。
チョコレート!どげんしたと?どげんしたと?これ。
もろた。
誰に?人…。
人って…。
長崎港の…水兵さん…。
ガイジンの?アメリカ人の水兵がなしてお前にチョコくれたと?呪文…。
呪文?「ギブミー」って。
貴様…アメリカ人に物乞いしたとか?物乞いなんてしとらんよ。
「ギブミー」っちゅうのはそういう事やろが。
俺は言うとらん。
タモツが「ギブミー」って言うたと。
そしたら俺んところにこれの落ちてきてだけん持って帰ってきたと。
いつも言うとるやろ?食べ物ば粗末にしたらいけんって。
男のくせに屁理屈ばこねんな!何が悪かと?みんなやっとると。
お父ちゃんが戦争でどげん苦労ばしたかさんざん聞かせてやったろが!戦争はもうとっくに終わったとやけんこいからは外国の人とも仲良うしていかんと。
どこの国に原爆ば落とされたか忘れたとか!原爆なんか知らん。
お父ちゃんの考えは古かとよ!何じゃと!?雅志やめんね!自分のおやつば自分でもろてきて何の悪かと?うちにはおやつも晩御飯のおかずだってろくになか!雅志!お父ちゃんが無職やけん全部お父ちゃんのせいやろうが!雅志!お父ちゃんに謝らんね!お前…!雅志!
(戸の開閉音)
(サイレン)雅志!帰ってお父ちゃんに謝らんね。
雅志…。
お父ちゃんの気持ちも分かってやらんと。
いつまで戦争の話ば持ち出すとね。
お父ちゃんはしつこすぎるとよ。
お母ちゃんも同じたい。
お母ちゃんは自分の子どもば抱けるなんて信じられんやった。
日本はお母ちゃんの生まれる前から戦争しとって子どもん頃は生きとる限りず〜っと戦争は終わらんて思いよった。
だけんお母ちゃんお嫁に行く事も赤ちゃんば産む事も諦めとったとよ。
こん町で原爆の落とされた時お母ちゃん中国におったけん被爆せずに済んだばってんこん町であんたを産む事になった時はあんたが無事に産まれてきますようにって毎日お父ちゃんと2人ここに来てお祈りしたとよ。
お父ちゃんも?あんたが夜中に熱ば出す度にお父ちゃんあんたばおんぶして病院まで走っていって…。
「原爆のせいじゃなかですか?放射能のせいじゃなかですか?」って何べんもお医者さんに聞いとった。
原爆の落とされた町にはそれから100年草も木も生えんって言われとったけんね。
お父ちゃんの気持ち分かってやって。
何せうちらは原爆の町で生きてきたとやもん。
ただいま。
(繁理玲子)お帰り!ただいま。
あれ?お父ちゃんは?一緒じゃなかと?お父ちゃん出かけたと?さっき車で出ていったとよ。
回想
(吉永)うちの仕事ば手伝うてくれんですか?
(横山)オジキ!おう!どげんしたとですか?
(アキオ)うちに何か御用のあるとですか?いや…その…。
ちょっと通りかかっただけばい。

(クラクション)お父ちゃんが無職やけん全部お父ちゃんのせいやろうが!あの…。
(大吉)兄貴!大吉!お前こげなとこで何ば?兄貴こそなして…?御飯にするけんはよ座らんね。
うわ〜!今日はごちそうばい!どげんしたと?お父ちゃんがね新しか仕事ば始めて日当ばもろてきてくれらしたと。
お父ちゃんどげな仕事始めたと?また大吉君と一緒に働くんやて。
うん。
で…今度はどげな仕事?あれ何ちゅうたらええんかな…。
まあつまり…。
(繁理)つまり?まあ銀行関係っちゅうかな…。
銀行?うん…あれ銀行関係やなどう考えても。
お父ちゃん銀行で働きだしたと?銀行員?いや銀行員じゃなかね…。
銀行関係やけど。
な〜んも心配なかって。
とにかく世のため人のためになる仕事やけん。
なっ?さあ食おう!頂きます!
(一同)頂きます。
この間のチョッコレイトうまかったな。
今日も行くか?ギブミーチョッコレイト!俺は行かん。
なして?俺はもう港へは行かん。
じゃあな。
(受付)佐野雅人さん。
はい。
回想銀行員?いや銀行員じゃなかね。
銀行関係やけど。
(労働者)お願いします。
(受付)駄目やけん。
(労働者)頼みますけん血ば買うてくれんですか?
(受付)あんた朝も来たとやろ。
採血できるとは一日1回400ccまで。
知っとるでしょうが。
どがんしてん金の要ると。
駄目やけん。
帰らんですかもう!
(戸を閉める音)坊主も売血ばしに来よったか?バイケツ?まさかな…。
そげんこつはなかね。
ただいま。
お帰りなさい。
はいよ今日の日当ばい。
御苦労さま。
今どき日払いで1,000円もくれるて随分条件のよか仕事やね。
おう明日も行ってくるけん。
銀行関係ってどげな仕事?言うたやろ。
世のため人のためになる仕事やって。
な〜んも心配要らんって。
(戸を開ける音)ただいま。
お帰り。
お帰り。
おいどうやった?学校の方は。
ちゃんと勉強してきたか?宿題すぐやれ。
どげんした?別に…。
・「分っちゃいるけどやめられねえ」・「アホレスイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」・「スイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」あ〜気持ちんよか。
なあお父ちゃん…。
うん?今どげな仕事しとると?子どもはそげな事考えんでよか。
お父ちゃん俺の誕生プレゼントば買うてくれる?何が欲しかと?潜水艦の模型!もうおもちゃ屋で見つけとっとよ。
ねえ潜水艦買うて〜。
分かった!分かった分かった。
よかった〜!そろそろ行ってくるけん。
もう?うん。
お父ちゃんお仕事頑張って。
はいよ。
潜水艦よろしくね。
分かってるって。
行ってきます。
(3人)行ってらっしゃい。
ほらほら君たちもはよ食べんと遅刻しますよ。
(2人)は〜い。
雅志何ばしよっと?えっ?いや…何でんなか。

(佳子)佐野君?どげんしたと?先生…血液銀行って知っとりますか?血液銀行?なして?やっぱりよかです。
さよなら。
(戸を開ける音)ただいま。
お帰り。
お母ちゃん…。
ん?血ば抜かれると人間どげんなると?血?うん…。
量にもよると思うばってんたくさん抜かれると出血多量で死んじゃうとじゃなかかな。
どんぐらい血ば抜かれると人間死んでしまうと?詳しか事は分からんけど…なして?
(戸を開ける音)ただいま!あれ?繁理まだ帰っとらんのか?ほらほらほら!潜水艦ば買うてきたぞ。
誕生日にはまだ早かばってん一緒に組み立てて誕生日に進水式ばい!おい!今日は何ばしたと?また赤点取ったとか?そいともバイオリンのレッスンばサボったとか?早くお母ちゃんに謝らんね。
そげなもん買うお金どげんしたとですか?えっ?血液銀行で血ば売っとるってホントですか?誰がそげな事…。
雅志が見たとです。
銀行関係の仕事って血液銀行の事やったと?世のため人のための仕事やろうが。
何ば考えとっと?毎日そげな事してもし体壊して…死んだらどげんすっとね!?少々血ば抜かれたぐらいで死なんて!何ね?
(ほおをたたく音)何すっと!あんたが死んだらうちらはどげんして生きていくと!だけんそげん事ぐらいでは死なん!俺はあん戦争ば生き抜いてきた男ばい。
戦地でさんざん血ぃ流して慣れとるけん400ccやそこらどうって事なかって。
もうよか…。
あんたがそげんバカタレとは知らんかった。
喜代子…。
もう死んでよか。
そげんバカタレはもう死んでよか!落ち着けって…喜代子。
死んでよか!離して!もう!落ち着けって!もう出ていくけん!出ていくってどこ行くとね?こんうちば出ていくとよ!喜代子!もう!雅志行こう!いや座れって!あんたにはもうついていけん!喜代子座れって!落ち着け!離して!出ていくけんもう!落ち着け!離して!よかけん座れって!落ち着け!ちょっと。
離してって!落ち着け!痛っ…。
痛っ!お父ちゃん?お父ちゃん?いてえ!お父ちゃん!お父ちゃん!どげんしたとね?どげんしたと!?いてえ〜!お父ちゃん!
(サイレン)
(うめき声)お父ちゃん!しっかりして!死んだらいけん!死んだら…許さんよ!こちらでお待ち下さい。
(うめき声)
(戸を閉める音)死なんで…。
お願いやけん死なんで…!
(泣き声)お父ちゃん死んじゃったと?バカタレ!麻酔で眠っとるだけたい。
(医師)まだ起きんですか?本当に大丈夫でしょうか?
(医師)手術は成功しとりますけんじき目ば覚ますでしょう。
あの…主人はどげな病気だったとですか?胆石ですたい。
胆石?石は簡単に除去できましたけんあとは体力が回復すればすぐにでん退院できると思います。
売血は関係なかとですか?
(医師)売血?血ば抜かれ過ぎて体のおかしゅうなったとか…。
アハハ関係なかでしょう。
ほかはどこも異常ありませんでしたけん。
旦那さんは健康優良児ですばい。
ハハハハ!じゃあ!よかったね。
お母ちゃんバケツって何?起きた。
ん?お父ちゃん大丈夫?ああ…。
胆石ですって。
手術うまくいったけん心配なかって。
そっか…。
あ〜参ったばい。
何が?初めて分かった。
気付くのが遅すぎます。
一番大事なんは健康。
そげな事子どもでも知っとりますよ。
そげんな事じゃなか。
俺は人生の大発見ばしたと。
人生の大発見?うん…。
あいが腹痛っちゅうもんやったとやな。
腹の痛うなるっちゅう話は聞いた事あるばってん自分が腹痛になったとは生まれて初めてばい。
腹痛っちゅうんは辛かもんやな。
(繁理)お父ちゃん生まれて初めて腹痛になったと?ああ…腹痛は二度とごめんですばい。
(笑い声)約束してくれんですか?ん?もう二度と売血んごたる事はせんて。
分かった。
ホントですね?分かりました。
よう分かりましたけん。
あっ雅志。
あれ…お母ちゃんは?晩飯の支度ばしに繁理と玲子ば連れて先に帰った。
お前は?お母ちゃんがもうちょっと一緒にいてあげてって。
そっか…。
お母ちゃん優しかな。
うん。
どれ…起きるか。
お〜!イタタタタ…。
大丈夫?大丈夫。
お母ちゃんに殴られたとは初めてばい。
お父ちゃんが悪かとよ。
お母ちゃんに心配かけるけん。
痛かったばってんうれしかった。
殴られてうれしかったと?お母ちゃんお父ちゃんの事本気で心配してくれとるって分かったけん。
当たり前やろ。
ばってんまた売血なんかしたらお母ちゃん本気で出ていってしまうかもしれんとよ。
分かっとる。
もうせん。
ばってん…。
男はな結婚して家庭ば持ったらどげん事のあっても一生その家族を養うていかんといけん。
だけんお前もどげん不器用でもよかこいだけは人に負けんって言えるもんば身につけて銭ば稼げる男になれ。
お父ちゃんにはお父ちゃんのお母ちゃんにはお母ちゃんの役割のある。
お前らにもある。
その役割をみんな果たして家族は成り立っとると。
分かるか?うん。
ばってん売血はようなか。
あいはお父ちゃんが間違うとった。
間違うてもよか。
人間間違うたらまた一からやり直したらよか。
分かるな?うん。
もう帰れ。
お母ちゃんの待っとる。
うん。
(ため息)どれ…。
ちょっと待って。

お父ちゃんの話はよう分からんとこもあったとですばってん一つだけ分かった事のあるとです。
そいは俺がお父ちゃんの事ば大好きだっちゅう事ですたい
シー兄ちゃんの方が大きか!変わらんよ。
どっちも一緒。
ケンカせんで仲良う食べんね。
俺は考えたとです。
家族ん中で俺の役割は何やろうって。
今の俺にできる事は何やろう?
お母ちゃん…。
まだ起きとったと?ヨーロッパは今戦争しとると?何ね?いきなり…。
ヨーロッパが戦争しとったら演奏旅行にお母ちゃんば連れていってやれんごとなるやろ。
雅志…。
俺もっともっとバイオリンば練習していつかきっとお母ちゃんばヨーロッパに連れてってやるけん。

(バイオリン)よし行くぞ!
(3人)・「アホレスイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」ふとか!ふとかね。
かっこよか!
(繁理)すごかろ?おい繁理持っとれ。
俺の誕生プレゼントの潜水艦ばい。
今から進水式ばすっと。
(3人)よかね〜。
モーターつきで海の上ばどこまででん走っていくったい。
すごか〜!繁理もお父ちゃんも張り切っとるね。
何せお父ちゃんの血ば売って買うた…。
し〜っ!よし繁理行くぞ。
お前あっちで待っとれ。
うん!よし!繁理よかか?オーケーばい!みんな見てろ!進水式ばい!
(モーターが動く音)行くぞ。
うん!せ〜の!行け!来い!お〜!やったやった!あれ?潜水艦やけん海に潜るとは当たり前たい。
すぐに上がってくるけん。
そうなん?いや…。
よし来い!来い!来い!まだね?まだね?来い!
(繁理)お父ちゃん?お父ちゃん!そっち行ったやろ?来とらん。
裏の方は?そっち。
来とらんって。
来とるやろ。
そっちの方は?
(繁理)来とらん。
見てみって。
見てみ!来とらんって。
雅志そっち行ってるか?そっち。
(2人)来とらん。
(繁理)どこ行ったと?あった!
(2人)えっ!?
(ため息)もう行くばい!行こう行こう。
(繁理)どこ行ったと?お父ちゃん!どこ行ったとか?よか。
上がろう。
上がれ。
(繁理)ええ〜!なるほど…。
こりゃ玄界灘の方まで偵察に行ってしもうたな。
ええっ?えっ?しょうんなか帰るか。
ええ〜!もう諦め〜。
人生にはこげん事もあっとよ。
失敗したらまた一からやり直したらよか。
帰ろう。
お母ちゃん…。
しょうんなかよ。
なっ?帰ろう。
ほら繁理行くぞ。
シー兄ちゃん行こう。
はよ来いって。
・「チョイト一杯のつもりで飲んで」・「いつの間にやらハシゴ酒」いてえぞ!ここ!気ぃ付け!ええっ?雅志を東京に?
(一郎)こげん暮らししとって子どもば東京へやるっちゅうとは。
親っちゅうもんは自分がどげん苦しゅうても子どもの将来のためやったら何でもできる。
俺…東京に行かせて下さい!2014/05/09(金) 00:10〜00:58
NHK総合1・神戸
プレミアムドラマ かすていら(4)「父のしごと」[字]

歌手・さだまさしが書いた、初の自伝的実名小説、待望のドラマ化!昭和38年、長崎を舞台に繰り広げられる、愉快でやがて切ない、ペーソスあふれるホームドラマ。第4話。

詳細情報
番組内容
バイオリンコンクールの九州大会で2位になった雅志(大八木凱斗)。東京で本格的に練習をしているという1位の女の子との力の差に、雅志は落ち込む。東京に行きたくてもお金はない。その悩みを知りつつ、いまだ定職につくことのできない雅人(遠藤憲一)は、子どもにお金の心配をさせたくないと、喜代子(西田尚美)に黙って血液銀行で血を売る決意をする。急に羽振りの良くなった雅人に疑念を抱いた喜代子は雅人を問い詰めるが。
出演者
【出演】遠藤憲一,西田尚美,大八木凱斗,金子賢
原作・脚本
【原作】さだまさし,【脚本】羽原大介
音楽
【音楽】渡辺俊幸

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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