(蓮子)私があの方と夫婦になれるとお思いになるんですか?
(葉山)頼む。
もう結納金も受け取ってしまった。
九州の石炭王とのお見合いのあと蓮子は突然山梨のはなのうちへ行ってみたいと言いだしました。
蓮子が人生の大きな曲がり角にいる事をまだ知らないはなでした。
(はな)あのたくさんのおブドウから蓮様の好きなブドウ酒が生まれるんですよ。
(武)あのお方はどこのお嬢様ずら…。
間もなく甲府。
甲府です。
蓮様。
武…。
えっ?蓮様あっち見ちゃ駄目です変なのが見てるから。
変なの?てっ…。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」兄や〜ん!迎えに来てくれただけ。
(吉太郎)ああ。
こちら蓮子さん。
ごきげんよう。
お兄様の吉太郎さんですね。
お目にかかれてうれしゅうございます。
吉太郎は空から天女が舞い降りたかと思いました。
(周造)ああご苦労さんで。
(リン)布団ずら。
(ふじ)悪かったね〜!
(もも)てっ!来たじゃん!みんなただいま。
さあどうぞ。
女学校のお友達の葉山蓮子さん。
ごきげんよう。
おじい様お母様ももちゃん。
お目にかかれてうれしゅうございます。
こっちこそ…。
はながいつもお世話んなっておりやす。
隣のもんでごぜえやす。
よろしく。
本当のお姫様け。
何でえ…。
ひょっとしていつかはなの葉書にあった伯爵様のご令嬢じゃねえだけ。
そうよ。
(一同)てっ!伯爵!さあ上がって。
このとおりむさ苦しい所ですけんど。
随分広い玄関ですこと。
え…。
ありがとうございます。
これは何ですか?おかあが作ったほうとうよ。
お口に合わんと思うけんど。
おいしゅうございます!はなちゃんが言ったとおりお母様のほうとうは日本一です。
お母様だなんて…。
いっぺえこせえたからお代わりしてくりょう。
はい。
伯爵様のうちじゃ毎日甘えクッキーを腹いっぺえ食ってるだけ?私はクッキーよりもきんつばの方が好きなのよ。
いい匂いじゃん。
伯爵様のうちじゃいっつも舶来のシャボン使っとるずらか?もも!ほんなにいっぺえ聞いたら葉山様が食べられんら。
蓮子でいいです。
蓮子と呼んで下さい。
兄やんもちょっこも食べてねえじゃんけ。
腹減ってねえだか。
(もも)変な兄やん。
蓮子さんお代わり。
(もも)兄やんは兵隊さんになるだよ。
兵隊?えっ志願するの?兄やん…。
へえ蓮子さん。
う〜んと食べろし。
ありがとうございます。
(戸が開く音)
(徳丸)ちょっくらごめんなって。
(周造)ああ地主さん。
て〜!きれいじゃんけ。
これはこれは葉山伯爵のお嬢様。
私はここいらを取りしきってる地主の徳丸甚之介でごいす。
私に何かご用でしょうか?今夜はうちにお泊まりんなって。
こんなあばら家にお泊めする訳にゃあめえりやせん。
そんな貧乏くせえほうとうなん出して失礼じゃねえだけ!武。
うちの料理人にごちそうを作らしておりやすから。
どうぞ我が屋敷においで下せえ。
せっかくですけど結構です。
遠慮なさらんでどうぞ!さあさあお嬢様。
どうぞ!分からない方たちね。
私は今夜ここに泊まりたいんです。
皆さんと枕を並べて寝るのを楽しみにしているのに邪魔しないで下さい。
ではごきげんよう。
ご…ごきげんよう…。
のけ。
ご苦労さんでごした。
いい気分じゃんね〜!そうさな。
はなは女学校終わったらどうするだ?まだ分からん。
兄やん…ほんなに兵隊さんになりてえだけ?うん。
今すぐじゃねえが心は決まってるだ。
ほん時が来たらおらはこのうちを出てく。
そう…。
「君死にたまふことなかれ」。
「あゝおとうとよ君を泣く君死にたまふことなかれ末に生まれし君なれば親のなさけはまさりしも親は刃をにぎらせて人を殺せとをしへしや人を殺して死ねよとて二十四までをそだてしや」。
これ差し上げます。
私はもう暗記するほど読んだので。
吉太郎さんが持っていて下さい。
おじぃやんおら今夜こっちで寝ていいけ。
(鳴き声)蓮子さん。
今一人じゃ抱えきれねえようなこん抱えてるじゃねえだけ。
やっぱしほうだねえ。
ほれはお母様にも言えねえような事け。
私の母は早くに亡くなったんです。
はあ…。
芸者だったそうです。
蓮子さんのお母様だったらさぞかしきれいな人だったずらね。
私は顔も知らないんです。
生まれてすぐに父の家に引き取られて乳母に育てられたので…。
一度でいいから会いたかった…。
はなちゃんが羨ましいです。
こんなに優しいお母様がいらして。
蓮子さんはもううちの家族じゃん。
こんなすすけたおかあでよければいつでもほうとう作って待ってるだよ。
おかあと呼んでもいいですか?おかあと呼べし。
(笑い声)蓮子さん。
大丈夫だ大丈夫だよ蓮子さん!つれえ時にゃあいつでもここへ帰ってきて泣けし。
大丈夫だ。
(泣き声)蓮子はこの時ある大きな決断をしていたのです。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/05/09(金) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(35)「腹心の友」[解][字][デ]
はな(吉高由里子)と甲府に来た蓮子(仲間由紀恵)の美しさに、安東家の人々はびっくりするがすぐに打ち解ける。ふじ(室井滋)は、蓮子が一瞬見せる思いつめた様子に…
詳細情報
番組内容
蓮子(仲間由紀恵)たっての希望で、はな(吉高由里子)の故郷・甲府へやって来たふたり。周造(石橋蓮司)はじめ安東家の人々は蓮子の美しさにびっくりするが、やがて打ち解け、ふじ(室井滋)が作ったほうとうに蓮子は舌鼓を打つ。そんな彼女に吉太郎(賀来賢人)は一目ぼれしてしまった様子で、無口になってしまう。楽しいときを過ごすはなたちだったが、ふじは蓮子がなにか悩みを抱えているのではないかと感じ始める…
出演者
【出演】吉高由里子,仲間由紀恵,室井滋,石橋蓮司,賀来賢人,松本明子,カンニング竹山,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:33233(0x81D1)