聖母・聖美物語 #29【愛の母子篇〜妊婦の影】 2014.05.09

(弘明)それでは7カ月目の検診を始めましょうか。
(弘明)だいぶ顔立ちがはっきりしてきましたね。
うん。
よく動いて元気そうだ。
(愛美)先生。
性別は?もうそろそろ分かるんじゃない?
(聖美)それはまだいいんじゃないかしら。
あっ。
生まれてからのお楽しみで。
(愛美)姉さんはあれでしょ?男でも女でも関係ないからそんなことを。
ただの道具だもんね赤ちゃんは。
まさか。
そして私は人間出産マシン。
どうせそう思ってんでしょ。
(波津子)《だってあれは入れ物だもの》《入れ物?》
(波津子)《大事な大事な跡取りが中に入ってる》否定しないんだね。
いえ。
私はそんなつもりは。
(弘明)生まれるまで性別は知らない方が賢明だと思います。
(弘明)姉さんが言うように。
(愛美)どうして?早く知りたいってのが母心ってもんでしょう?
(弘明)あなたにあんまり感情移入されても困るってことです。
内診の結果は異常なし。
塩谷さん。
他の数値は?
(百合子)はい。
腹囲76cm。
(弘明)うん。
子宮底長22cm。
(弘明)うん。
目立った浮腫はなし。
尿検査と採血の結果も正常です。
タンパクや糖貧血いずれも問題ありませんでした。
ありがとう百合子さん。
小児科のあなたにこんな時間までお付き合いいただいて。
いえ。

(ノック)先生。
もしかして。

(ノック)・
(諏訪)諏訪です。
あっ。
やっぱり。
諏訪先生。
(諏訪)小児科の諏訪と申します。
これからのことを考えたらこのまま顔も合わさずに出産ということになってしまうのもどうかと思って。
水くさいわ諏訪先生。
峻が小さいときに何度もお世話になったじゃない。
いかにも子供に好かれそうな優しい先生だなって。
よく覚えてる。
(諏訪)恐れ入ります。
(弘明)どういう風の吹き回しです?さっぱり色よい返事を頂けないので誰か優秀な小児科医を引っ張ってこなきゃいけないと思ってたんですが。
先生。
よく来てくださったわ。
先生は今回のプロジェクトをリレーでつなぐ大切なアンカー。
これで完全に結束が固まったわ。
赤ちゃんと陽をしっかりと命の絆でつないであげてくださいね。

(百合子)すいません。
大丈夫ですか?
(男性)大丈夫だよ。
(百合子)ああ。
(瑞穂)何をぼんやりしているんです?
(繁郎)さて今夜は誰が僕を慰めてくれるのかな?・はい!私じゃ駄目?何やってんのもう。
冷えちゃうでしょ。
こんなところにいたら。
もう。
早くこれ着て。
フフフ。
ほら。
フフフ。
繁郎さん。
もう。
あきれるよ君には。
優しいのね。
ハァー。
勝手に入ったからまた怒られるんだとばっかり。
怒ってるよ。
身重の体でいったいいつから。
温めて。
あなたの体で。
あなただけだわ。
私のこと妊娠中のママとして扱ってくれるのは。
他の人はみんな赤ちゃんを産む機械としてしか思ってないんだもの。
体の心に火を付けて。
こないだみたいに。
そしたらすぐにあったまる。
体中が燃えて熱くなるわ。
《ここに赤ちゃんがいて》《ここが赤ちゃんのために大きく張り詰めたおっぱい》刺激的でしょ?赤ちゃんのいる女の体。
姉さんとした?おなかに赤ちゃんがいるとき。
ううん。
何で?我慢させられたの?いや。
怖くてできないよ。
壊れそうで。
女の体はそんなにやわじゃないわ。
待って待って。
駄目駄目。
こんなところじゃ。
赤ちゃんにほら風邪でもひいて万一のことがあったら。
じゃあ寝室へ行くわ。
姉さんがお風呂に入ってる間に。
待ってて。
よいしょ。
はい。
必ず行くから。
もう。
ああ…。
ハァー。
ハァー。
いいのか?いいのか?いいわけないよな。
いいわけない。
僕は何を考えているんだい?教…。
どうしたの?何が?何がって。
何だか変よ。
うん…。
あのさ。
今夜そっちのベッドで一緒に寝てもいいかな?一緒に?うん。
ずいぶんご無沙汰になってるし。
そういう気持ちになれるの?私を相手に。
私は愛美をけしかけてあなたをわなに…。
《あなたの中の女という女を総動員してあの人の固い頭を打ち砕いてたけり狂った野獣に変えてちょうだい》《愛美さん。
何でここに?》
(愛美)《あっ。
いいから》《ああっ》あのとき終わったって思ってた。
男と女としての私たち夫婦は。
じゃあ僕はどうしたらいいんだ?生身の男なんだよ僕だって!分かったわ。
き…聖美。
やっぱり私…。
ああー。
《温めて。
あなたの体で》バカなことを。
(愛美)来て。
駄目だ。
この部屋は。
(愛美)大丈夫。
ここだったら誰にも見つからない。
いや。
駄目だ。
やっぱり駄目…。
いいの。
何にもしなくていいの。
こうやってあなたの鼓動を赤ちゃんに聞かせてくれればそれでいい。
それだけで安心できる。
私も赤ちゃんも。
分かる?今ね2人一緒にパパに抱き締めてもらってるのよ。
あったかくて幸せね。
今だけは。
あなたが生まれてくるまではこうやって家族3人で過ごせるのよ。
だからゆっくりゆっくり出てらっしゃいね。

(百合子)これお願いね。
(看護師)はい。
(看護師)ちょっとこれ見て。
奥さまの8カ月検診またいつの間にか終わってる。
(看護師)最後まで弘明先生が一人で診るってこと?
(看護師)えっ?ねえ。
おかしいと思わない?何か秘密があるわよこれ絶対。
でもちゃんとカルテは揃ってるし特に問題はないんじゃ?
(看護師)どうかと思うわ。
いくら身内だからって診察に看護婦を同席させないなんて。
(百合子)ひょっとすると奥さまが遠慮されてるんじゃないかしら。
(看護師)奥さまが?前におっしゃってたことがあったの。
弘明先生はお忙しいから身内の診察で貴重な診療時間をつぶすのは申し訳ないって。
(看護師)でもそんなことってあるかな?何か納得いかないよね。
(看護師)うん。

(瑞穂)何やってらっしゃるんですか?事務長。
(看護師)ヨシダさん。
退院決まってよかったね。
(看護師)うん。
フフフ。
ナースたちが何か?
(林田)いや何。
連中が若奥さまのこと話してたもんだから。
奥さまの?患者たちの間で噂になってるらしいんだ。
夜中おなかの大きな女が足音を忍ばせて廊下を歩いてるって。
(瑞穂)それが奥さまだっていうんですか?しかも床に伸びたシルエットを見ると妊婦の影が2つあったって。
ううっ。
(瑞穂)ホラー映画じゃあるまいし。
夢でも見たんじゃありませんか?その患者さん。
あながち嘘とも思えんのだがね。
(瑞穂)夢ですよ夢。
そうかねぇ。
急に大きくなったね。
この2〜3週間で。
あっという間に8カ月。
このままずっと妊娠したまんまでいられたらいいのに。
あっ…。
繁郎さん。
ねえ。
こうして。
ちょっとだけこのまま眠ってもいい?うん。
誰か最近陽の部屋を使ってる?
(波津子)陽の?このひとつきぐらい時々ベッドが…。
部屋の中が乱れてることがあって。
(峻)僕は時々陽君の勉強道具なんかを取りに行ったり返したりしてるけど。
(波津子)私は知らないわよ。
あなたじゃないの?えっ?うん。
まあ。
たまに入ることはあるかな。
(波津子)何の用があって?ちょっと考え事をするときとか。
(波津子)陽の部屋で?ええ。
まあ何となく陽の将来のことなんか思ってみたり。
はい。
(波津子)ああ。
ですってよ聖美さん。
愛美?愛美。
あんたここで何やってんの?ちょっと。
起きて。
愛美!
(愛美)ああー。
姉さん。
どういうつもり?陽のベッドで昼寝なんて。
ああー。
ベッドだといくらか腰が楽なのよね。
こないだまでは眠たくて眠たくていくらでも眠れたのに赤ちゃんが大きくなってきたら急に寝付きが悪くなっちゃって。
下りて。
今すぐこっから出てってよ!痛いなぁ。
妊婦に乱暴していいと思ってんの?ここは神聖な部屋なの。
元気になった陽が帰ってくるのを待ってんのに。
このベッドだってあの子はたった一晩しか使ってないのに。
かわいそうな赤ちゃん。
神聖なのはお兄ちゃんだけ。
助けてくれるあんたは汚らわしいって。
そんな。
こんな冷たい女から生まれたことにされなきゃなんないなんて。
母親と信じて生きていかなきゃなんないなんて。
陽陽陽。
姉さんの頭ん中は陽のことばっかり。
目が曇っちゃって他が何にも見えなくなってんのよ。
知らないうちにその足元に落とし穴がぽっかり口を開けてるかも。
まあせいぜい気を付けるのね。
ふん。
いたいた。
やっと峻の目を盗んできたの。
密会って楽しい。
一つ屋根の下のみんなをだまくらかして。
陽の部屋のことは心配いらないわ。
姉さんには適当にごまかしておいたから。
聖美。
何も言ってなかった?何も気付いてないわよあの人は。
あの人は自分の夫がどこで何してようが興味なんかないんだもん。
いっそこのまま奪っちゃおうかな繁郎さんを。
姉さんは陽さえいればいいんだもの。
ちょうだいって言ったらくれるかも。
冗談が過ぎるよ。
もういくら何でも。
その方がみんな幸せになれる。
繁郎さんだっていつもぴりぴりしてる姉さんのそばより私といる方が楽しいはずよ。
だからいつもこっそり抱き締めに来てくれるんでしょう?君が赤ちゃんを産むまで落ち着いた気持ちで過ごせるならって。
穏やかな顔してる愛美さん見ると僕も安心できたから。
繁郎さんにとってもやっぱり私は機械なのね?それまでどんなに優しくしてくれたって赤ちゃんさえ産んでしまえばお役御免。
しょせんは姉さんと同じだった。
私だけだった。
秘密の逢瀬に愛を感じてたのは。
愛美さん。
僕は…。
もういい。
ええ。
おかげさまで順調そのもので。
2人目ですからまあ色々考えずのんきに構えてるのがいいみたい。
いつもお気遣いありがとうございます。
(女性)こちらこそとんでもないです。
お体お気を付けになってくださいねくれぐれも。
はい。
ありがとうございます。
愛美?まずくて食べられない!こんなもの。
2014/05/09(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #29[字][デ]【愛の母子篇〜妊婦の影】

姑・波津子(丘みつ子)の提案で、聖美(東風万智子)は代理母妊娠に協力した妹の愛美(三輪ひとみ)を人前から遠ざけ、お腹に詰め物をして自分が妊婦のふりをする。

詳細情報
番組内容
 愛美(三輪ひとみ)のお腹の子が順調に育つ中、聖美(東風万智子)に対して好意を抱く諏訪(古山憲太郎)が、全面的に代理母出産への協力を申し出る。聖美はこれで一安心と肩の荷を下ろすが、聖美と諏訪の距離が近づくのを、諏訪に尊敬以上の思いを抱く百合子(佐藤康恵)は、秘かに苦々しく思う。
 愛美の繁郎(原田龍二)に対するアプローチは、エスカレートするばかり。
番組内容2
繁郎は聖美のことを思い、気が気でないが、一方で聖美の気持ちが自分に向いていないことを感じているだけに、愛美を拒めずにいた。
 繁郎は、煩悩を捨て去るためにも聖美を抱こうとする。聖美も夫に身を任せようとするが、自分が仕向けたとはいえ、繁郎と愛美が実際に一夜をともにしたと思うと、体が強張り…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:岡崎成克
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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