総合診療医 ドクターG「突然、倒れた?」 2014.05.09

ハァハァ…。
休日の朝ウオーキング中にそれは起きた。
ああ〜っなんか疲れちゃったよ。
私先行くね。
橋の所で待ってるから。
お父さんそんな所で寝ないでよ!うそ?うそ?お父さん!呼びかけてもこたえない。
(しわがれ声で)河原ですからねあそこ。
マムシ…。
いや声どうしたの?変なんですが気にしないで下さい。
マムシですよあれ。
毒蛇です。
映ってないところでね。
かまれた。
どこ見てるんですか?考えてるんですけど今ね。
考えてたんだ。
マムシだと思ってたんで。
その辺はないです。
声かけても全く反応ないのはびっくりですね。
普通貧血で倒れたりすると「う〜ん」とかってうめくじゃないですか。
これとね同じ症状だったうちの親戚が。
寝てしまったんですよ。
義理の母が便秘だったんですがそしたら隣の…年を取ると隣の方が「この薬効くわよ」ってくれるじゃないですか。
「じゃあ効くんじゃ」ってのんだらそれが睡眠薬だったんですよ。
絶対外れてますよ。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちは彼を「ドクターG」と呼ぶ。
今回のドクターGはその笑顔で患者の心をつかむ…診察室では姿勢を低くし患者の話をとことん聞き出す。
診断の8割は問診で分かるという山中先生。
笑顔と問診で病名に迫る!
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)よろしくお願いします。
(秋野)すごい笑顔がすてきですね。
これだけで癒やされるというかね。
先生の問診のしかたのあの目線ですね。
こう下げていくというのは水商売の基本ですからね。
ホストじゃないかって時々言われますね。
それが私は大事かなと思ってます。
さあ病気の正体を探り当てるために今回全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
ご紹介しましょう。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
若々しいですね。
顔つきがいつもより若々しい。
関先生ちょっとみやびな顔してますね。
(玉ちゃん)血の気が抜けてます。
緊張してるんでしょうかね。
将来はどんなお医者さんになりたいんですか?僕は内科系の医師を目指していて山中先生のように笑顔を絶やさない先生になれたらなと思ってます。
村田先生よろしくお願いします。
村田先生は文学部出身で作家やミュージシャンを目指していたという…。
ちょっと珍しいですね。
何系の音楽だったんですか?ロックです。
(秋野)そんなのやっててなかなか医者になれないよね。
だけどピアノの調律やっててお笑いやり出した人もいますからね。
ここここ。
海外の方でも医療に従事したいという夢があるらしいですね。
はい。
発展途上国とかで働きたいなと思ってます。
さあ東先生今のVTR見てどうですか?何かありました?自分の親よりは少し若いですがまだまだ働き盛りの方の症例なのでちょっと…。
これから話を聞きながら…。
(玉ちゃん)そうだよね。
さあそれでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医の皆さんが挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えてみて下さい。
ドクタージェネラル!ああ…。
よろしくお願いします。
あの主人が…。
ちょっとだるいだけなんです。
寝てれば治るって言ったんですが家族があんまり心配するもので…。
ここのところずっとですかね。
風邪ひいてましたし…。
あなたほらあの事…。
分かってるよ。
あの〜…ウオーキング中にちょっとまあなんて言うのか…。
昨日の朝ウオーキング中に倒れたみたいなんです。
そんな大げさに言うなよ。
だってそうなんでしょう?
(鈴木正志)
私は建築デザイン事務所で設計の仕事をしています。
ここのところ忙しい日々を送っていました。
会社が大きな仕事の依頼を受けたものですから。
長い時間座りっぱなしで根を詰めてやる事が多くて…
クライアントからなんだけど…。
え〜っ今度は何?テナントの面積広げたいって…。
え〜っ?だってそれ事前に何度も確認済みだよね。
おっしゃるとおりで…。
え〜っ本当に?頭痛い…。
俺もだよ…。
クライアントからの急な変更はまあよくある事なんですが…
これをこっちに持ってきてこれをこう持ってきちゃえば…。
あの日はかなり大きな変更があって…
鈴木さんまずは昨日の朝…ああっすみません。
健康のために最近ウオーキングを始めたんです
アイタタ!大丈夫?足つったみたいだ。
ちょっと休むわ。
あの時たまたまですよ
ああ〜っ何か疲れちゃったよ。
風邪治ったばっかりなのに無理するからだよ。
そうだな…。
ハァ…。
私先行くね。
橋の所で待ってるから。
先生倒れたんじゃなくて寝てたんだと思うんですよ
その時…う〜ん…。
ないですよ。
してません。
たんこぶも傷もありません。
分かりました。
すみません!どうしようどうしようどうしよう…。
誰か!お父さん?お父さん大丈夫なの?おお何だ?「何だ?」じゃなくて大丈夫なの?「大丈夫」?さっきまでお父さん倒れてたんだよ。
あっ?変な事言うなよ。
多分3分か4分か5分…。
すみません慌ててたのでよく覚えてません。
鈴木さん。
(鈴木)
さあ…
(美穂)
あの…お父さん何だかまぶしそうにしてて…
ねえ本当に大丈夫?大丈夫だよ。
(鈴木)
いえそれは全くありません
悪くありませんよ。
ただ何だかだるかったのですぐ自宅に帰りましたけど
こんな感じで倒れてたの。
こんな感じって…後ろ向きに倒れたって事?ちょうど…。
疲れをとろうといつもより長い時間熱いシャワーを浴びたせいでしょうか。
余計に体がだるくなってしまいました
何だよ?あなた大丈夫なの?何が?お父さん絶対おかしいよ…。
ああどうした?えっ本当に?
昨日は休みだったんですが来週のプレゼンを前にまた急に変更が出てしまい…。
昼前には職場に行って仕事をしました。
自分でもちょっと無理しすぎかなと思いながら。
だからでしょうか。
何か急に気持ち悪くなってしまって…
ハァ…。
はい。
それで胃が痛くなる事もたまにあるんです
酒は好きでよく同僚と飲みに行きます。
でもタバコは吸いません
え〜と…5日くらい前からですね。
娘の風邪がうつったんですよ。
(せき)
熱とせきでした
熱は下がったのか?まだちょっとあるの。
試験今日が最終日か?いってきます。
おう頑張れよ!
昼ごろまでは何ともなかったんですが…
そういう事です。
午後になって何だか熱っぽくなってきて…
この日も忙しくて…結局深夜に帰宅しました
ハァ〜…。
いいえ。
家にあった市販の風邪薬をのんだら翌朝熱は下がったんです。
せきと鼻水はまだ少し出ましたけど
10年前に盲腸で簡単な手術をしたのと1年前に胃潰瘍やっちゃいまして。
でも薬もらってすぐに治りました。
特に異常なしです。
あの〜先生風邪という事でお薬の方を頂けますか?いえご家族も心配なさってますしもう少しお話を聞かせて下さい。
本人に自覚がないんですね。
風邪でいいって言ってますけど…。
だけど激務ですな。
建築士ですね。
基礎データ見てみましょう。
ジャカジャン!さあドクターGいかがですか?脈拍は大体正常が60から90ぐらいなので正常なんですがちょっとはやいかなと。
それから血圧も若干高め。
呼吸回数は正常。
そういう事ですね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
まぶしいとか体温計見るのも目がぼやけてるとかっていう視神経と関係があるんじゃないかと思ったんですけど。
僕は倒れた時ちょうど心筋梗塞だったんですけど…。
ちょうど肩がすごい凝ってみたりやっぱり風邪っぽかったり熱っぽく感じてたりずっとそれが続いてて足がつったりもしてたもんですからすごく似たような事が起きてるという気がしましたけどね。
心筋梗塞の前兆なんですか?分かんないですがそんな事がありました。
これ結構みんな悩んでるね。
(秋野)そんなに特殊な事じゃない。
自分が倒れた事を覚えていない。
それ以外の病状って普通に生きてて44歳ぐらいになるとみんな持ってます。
(玉ちゃん)いいですね真剣に悩んでる姿。
書けましたか?よしいこう。
さあそろそろ研修医の皆さんは病名を書き終えたようです。
フリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!発表してもらいましょう。
関先生からお願いします。
(玉ちゃん)東先生。
(玉ちゃん)村田先生。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!それじゃあ関先生が「大動脈解離」。
心臓から全身に血液を送り出している大動脈という太い血管が裂けてしまい…。
「大動脈解離」は体の中心を走る大動脈の内側の膜が裂け全身への血流が阻害される病気です。
肩凝りや腰痛があるという事。
血管が裂ける事によって心臓のポンプの役割全身に血液を送り出す機能がそれで落ちる事によって…東先生が「心筋炎」。
「心筋炎」は名前のとおり大体ウイルス性の風邪であったりとかそういった症状のあとにウイルスが心臓の筋肉心筋ですね心筋に炎症が広がって…。
発熱やせきなどから始まり心臓を動かす力が弱くなると胸の痛みや不整脈も起きます。
やっぱりウイルス感染の先行がある方であったりとかこの方も少し疲れている背景もありますし。
(玉ちゃん)娘さんですかねウイルス風邪って言ってたからね。
ウイルス感染自体は娘さんからうつった可能性があるかなと。
風邪のウイルスのようなものが突然心臓に取りついちゃうという事なんですか?村田先生が「低ナトリウム血症」。
体の中にミネラルがあってその中のナトリウムというミネラルが低くなってしまう。
ナトリウムは筋肉や神経の働きを調整しています。
低ナトリウム血症の時は…?失神ではなく…意識消失。
今回運動中で運動して汗をかいているのにナトリウムが入ってないただの水を飲んでしまったりすると余計に体の中で薄まってしまってどんどん低くなってしまう事があります。
筋肉がけいれんしたり意識がなくなったりそういう事が起こりえます。
研修医の鑑別は失神と意識障害に分かれた。
失神であれば数分で意識は回復するが意識障害であれば回復に時間がかかる事が多い。
倒れたあとの鈴木さんの様子を考えると…?どうですかね。
低ナトリウム血症で矛盾する点とかありました?低ナトリウム血症で意識が悪くなったりするとすぐにパッと目が覚めてまた元気になる事はないだろうなと思うと合わないなと。
そうすると今回はどっちだろう?失神の方が可能性が…。
通常は3分から5分ぐらいで戻る事が多いですよね。
戻ったらもう全く前と変わらない。
全く前と変わらないという状況が失神ですね。
鈴木さんは目を覚ましてすぐに立ち上がり歩いて帰宅していた。
その後も普通に過ごしていた事から失神だったと考えられる。
意識障害を起こす低ナトリウム血症の可能性は低くなった。
では失神と考えていた関先生と東先生のあげた病名に矛盾はないのか?この症例と矛盾するような点とかありました?もともとそれほどリスクの高い方ではなさそうという点と倒れる前に特に胸部症状とか前兆のようなものには少し乏しいかなという印象がありました。
大動脈解離だったら典型的には…?で痛みは移動していって腰も痛くなる。
大動脈に沿って痛みがこう広がってくる。
大動脈がメリメリメリッと裂けてきますので。
胸痛背部痛腰の痛みというのが典型的ですよね。
痛そうですね。
ものすごい痛いと患者さんはおっしゃいますね。
あまり痛がってなかったですね。
もう少し典型的な痛みが出てもいいのかなと思いました。
私心筋炎あげたんですがやっぱり心筋炎だと体中に血液を送り出す心臓が弱ってるという事なのでやっぱり血圧が下がったりとかそういった事があると思うんですが今回のバイタルサインでは熱も6度5分でないですし血液も150の85でむしろ高血圧である点が少し矛盾してるかなというふうに。
2人のあげた病名は失神は起こすが鈴木さんの状態と合わない部分も多い。
更に詳しく問診をする必要がありそうだ。
一応かなりいろんな疾患が出てきたので更にねちょっと情報が欲しいですよね。
さあ診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!せきも鼻水も止まってますしただだるいだけです。
はい。
それはいつからですか?
(京子)
ウオーキングをして帰ってきた昨日の朝からです
ほんとに大丈夫なの?ああ。
あ〜…。
お母さん!
はい。
「突然倒れた」って娘が言うし熱もないのにだるそうで…
(京子)ちょっとほんとなの?何だよ大丈夫だよ。
休んでれば良くなるって。
今朝もとてもだるそうでそれも心配で連れてきたんです。
だから風邪だって。
ささいな事でも構いません。
昨日の様子で…あの〜あまり関係ないかもしれませんが…。
う〜ん…。
どうしたのよ?
(鈴木)ちょっと高さが合わないんだ。
いつもの枕じゃない。
(鈴木)ああ分かってるよ。
はい初めてです
奥さんはこうおっしゃってますが…う〜ん…。
(鈴木)
さっきお話ししましたけど…
え〜?だってそれ事前に何度も確認したよね。
おっしゃるとおりで…。
え〜ほんとに?あ…頭痛い。
頭抱えてたらほんとに頭痛がしてきて…。
ストレスからくる片頭痛だったのかも
いいえすぐに治まりました
あの1回きりです
いえ全然。
さあ新たなヒントが出そろいました。
それでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
さあご覧になっていかがでした?枕の高さが気になるというのが私よく分からない。
みんな一斉に「あるある」って。
(秋野)どういう事ですか?だっていつもしてる枕でしょ?それが気になるというのは何か。
あるのかなあ。
頭が痛いとかっていう。
頭痛片頭痛なんかないんですかね?みんな。
(玉ちゃん)ない人はないというね。
俺なんかないもん頭痛。
えっほんと?ないよ俺。
私は片頭痛持ちなんですよね。
でも頭痛してるわけですから。
さあ研修医の皆さん書き終わったようです。
それでは最終鑑別です。
フリップオープン!
(玉ちゃん)じゃあまずは関先生。
(玉ちゃん)東先生。
(玉ちゃん)村田先生。
何だそりゃ?また3者分かれましたがさあ再びドクターGと研修医との真剣勝負。
それでは最終カンファレンススタートです!はい。
じゃあ1人ずつ聞いていきましょうかね。
今回は「椎骨動脈解離」という病名も併せて出させて頂きました。
脳への血流が悪くなり手足のしびれや感覚の異常も現れます。
後々頭痛という症状も今回出現している。
少し感覚の異常というものも出ているのかなと思いました。
新たな症状が出てきているのではないかと。
新しい病気が出てきましたね。
「サルコイドーシス」ですか。
これはどんな病気なんでしたっけ?心臓だとか頭だとかいろんなところに症状が出る全身性疾患です。
原因不明の難病です。
目のかすみや不整脈など全身に症状が現れる事もあります。
心臓に「サルコイドーシス」できてしまった場合は不整脈起きると思います。
そうですね。
不整脈が起これば失神するかもしれませんね。
いろんな症状が起きる病気。
何かいろいろ説明しやすいのかなと。
「感染性心内膜炎」ですね。
またちょっと心臓の病気にしてしまったんですけども「感染性心内膜炎」というのは血液の中に細菌が感染して例えば心臓の中にその細菌が付いて…。
今回けん怠感がご本人さんもかなり強いとおっしゃっていてその状態でいろんなところの多彩な症状が出ているので。
「感染性心内膜炎」で失神を起こすというのはどういう状態になった時でしょう?例えば心臓の部屋と部屋の間に弁というのがあるんですけどもそこによくかたまりをつくりやすいのでそれによって一時的に入り口と入り口が蓋をされて一瞬頭に血が回らなくなって失神するという事はあってもいいかなと。
そうすると皆さんが書かれた疾患…研修医たちの注目した症状はそれぞれ異なる。
そこでドクターGはキーワードを探すためある提案をした。
ここでもう一度整理をするために時系列でどんな症状があったのかちょっと探ってみましょうか。
1週間前から肩と腰をだるそうに…。
(関)肩を押さえたり腰を押さえたり。
他は?頭痛も。
頭痛があったんですよね。
(玉ちゃん)見てるなみんな。
5日前微熱とせきがありました。
そうですね。
前日の夜に枕の高さが合わない。
枕の高さがね。
あとは失神後に帰ってきて熱いシャワーを浴びて余計だるくなったという。
すごくだるくなったとおっしゃってましたよね。
(村田)けん怠感がひどくなっているという事かなと。
問診によって得られた症状は全てそろった。
いよいよここからドクターGが病名に迫る!じゃあこの中で…7日前のお話ですかね。
はい。
(関)確か今まではなかったと言っていた気がするので初発の。
初めての頭痛ですよね。
キーワードとしてあがったのは1週間前のこの頭痛。
(鈴木)
頭抱えてたらほんとに頭痛がしてきて…
(秋野)あの鈴木さんって44歳ですよね。
私全然頭痛とか片頭痛とか感じた事ないんですけど…秋野さんすばらしい質問ですね。
これどうですか?片頭痛というのは繰り返すものですし家族歴がある。
あとはもう少し続いてもいいのかなと。
片頭痛であれば長い人だと3日ぐらい続くような人もいますしすぐに治っている点であるとか。
あとは片頭痛であれば前兆があってもいいのかなと。
(玉ちゃん)それだ。
それが大事ですよね。
片頭痛って大体10代とか20代で起こってくる事が普通なんですね。
(ブラザートム)あっそうなんですか。
だから鈴木さんのように今まで全く頭痛がなくて…じゃあさっきやってた会話ってあれですね「頭痛なんて当たり前ですよ」って言って「頭痛なんか経験がないよ」って言うじゃないですか。
だから…。
もう私たちは片頭痛にはならない?そうですね。
え〜!
(秋野)そうなんだ。
やった〜!玉ちゃんよかったね〜。
やりましたよ。
じゃあ44歳の鈴木さんは頭の痛いのは絶対片頭痛ではない。
絶対片頭痛ではないと考えないといけないですね。
鈴木さんが片頭痛だと思い込んでいた1週間前の頭の痛み。
これは片頭痛ではなく別の病気によって引き起こされていた可能性が高い。
この頭痛をキーワードと考えると…。
瑞穂先生は「感染性心内膜炎」ですね。
どうですかね?今の症状と比べてみると。
痛みがちょっと説明できないかな…。
ちょっと頭痛というのがね。
痛みが突然現れるという事がちょっと考えにくいかなと。
「感染性心内膜炎」では鈴木さんに起きたような頭痛の説明ができない。
そうすると痛みのレセプターって脳のどこにあるんでしたっけ?髄膜か!
(秋野)髄膜がどうなると痛いんですか?髄膜に炎症というんですけれども何かそういう病気があると傷がついたりとかすると痛くなりますね。
「髄膜炎」とか。
あとは?そうですね血管ですよね。
(秋野)血管って脳の血管ですか?そうですね。
脳の血管に痛みのレセプターといって痛みを感じる所があるんですね。
だから髄膜か血管に何かあるんじゃないかって思わないといけないんですよね。
これまでの問診から鈴木さんの頭痛は脳の血管か髄膜に問題が起きていた事によると考えられる。
では最初のカンファレンスで注目した失神もそのいずれかと関係があるのか?こんな症状がありましたよね。
それで患者さんは失神を起こしてるんですよね。
患者さんがお話ができなかったりとかよく分かんない時には家族の方に聞くじゃないですか。
家族のお話ってとっても大事なんですよ。
やっぱり家族が「何かおかしい」って言うのは多くの場合は非常に当たってます。
失神をした時にいたのは…?娘さんですよね。
娘さんが失神した時にいましたよね。
何聞きたいですか?娘さんに。
もうちょっと詳しく聞いてみたいですよね。
じゃあVTR見てみましょうか。
(玉ちゃん)おっ!まだありましたか。
美穂さんお父さんが倒れた時の事をよく思い出して下さい。
先生だからあれは倒れたんじゃなくて…。
あっあの〜…。
お父さんあの時確か倒れるちょっと前に…。
ああ〜…。
今思えばあの時お父さん頭を押さえていたような…。
鈴木さん…
(鈴木)
そういえば急に頭が痛くなったような…
ありませんでした
何か気がつくような事ありました?突然発症の頭痛があったというのが血管の病気が疑われるなというところ。
血管髄膜どっちかってさっき言ってた時の血管っぽいなと。
(玉ちゃん)へ〜血管っぽいんだ。
そうすると皆さんが出されたさっきの診断とかありましたよね。
あれはどうですかね?ちょっと違うかなと。
どこら辺が違います?血管の急に裂けたり詰まったりするような病気ではないので突然始まったり突然何かが起きたりという事はあんまり考えにくいなと思います。
「サルコイドーシス」は突然起こった頭痛が説明できないため可能性が低い。
椎骨動脈の解離というのを言ってくれたんだけれどもあれはどうですかね?椎骨動脈系に解離が起きているのであればもうちょっと温痛覚障害であったりとかそういった症状が出てきてもいいのかなと。
いろんな神経症状が起こってきますよね。
例えば?めまいとか。
めまいとか?小脳症状。
小脳症状ですね。
フラフラになって歩けなかったりね。
そこら辺の症状が全くないというのも何かちょっと今回の症例には合わない。
「椎骨動脈解離」で起きる典型的な症状が鈴木さんには見られなかった。
可能性は低い。
そうすると…失神する前にもう一度頭痛があって失神。
7日前の頭痛の時に少し血圧が上がるようなシチュエーションで起こっている頭痛。
少し前に何か病気を警告するような出血があって頭痛があって失神ですね。
1週間前の頭痛を引き起こしたのは警告出血だったのか。
前日に現れていたこれらの症状も併せて考えると…。
研修医たちはある病名にたどりついた。
だいぶ絞り込まれてきましたか?それじゃあ最終診断は何でしょうか?そのとおりです。
(玉ちゃん)「くも膜下」!ちょっとした驚きは「我々でも知ってる病名じゃん」という感じなんですよ。
通常はどんな症状ですか?突然発症の人生最大の痛み。
らしいですねそれ。
よく「バットで殴られた」とか言いますけれどもでも実はですね…突発的に起きる…ドクターGは鈴木さんが失神したのは動脈瘤の破裂による痛みが神経を刺激したからだと考えた。
失神によって前後の記憶が曖昧になり頭痛を覚えていなかったと推測したのだ。
失神後により強くなったけん怠感おう吐枕の高さが合わないという首の違和感も脳内の出血によるものだった。
「くも膜下出血」って非常に大事なんですけれどもこの例のように数日前に警告出血といってそこの動脈瘤という血管のこぶから少しだけチョロチョロと出血を起こす事があるんですね。
めちゃめちゃ重篤というか致命傷みたいな感じで「くも膜下出血」ってイメージがありますよね。
もちろんそういう方でも早めに病院に着いてちゃんとした専門医の治療を受ければ回復される方もいるんです。
鈴木さんはすぐに手術を受けた。
幸い動脈瘤からの出血が少なく処置も早かったため順調に回復し仕事にも復帰。
娘さんとウオーキングを楽しんでいる。
(玉ちゃん)いや〜たどりついた。
(村田)実際に「くも膜下出血」のせいで出ているものとそうでないものというのはどれがどれでというのは教えてもらえますか?いい質問ですよね。
微熱とかせき鼻水目の疲れ腰の痛み肩の疲れなんかはこれは多分別の病気だと思いますね。
ただだるいだけです。
来院前に風邪の症状は治まっていた。
肩凝りや腰痛目の疲れなどは忙しい毎日の中で慢性的に起きているものだとドクターGは考えたのだ。
患者さんは内科の教科書を読んでから病院に来ないんですよ。
すなわちその病気であっても非常に非典型的な症状をいっぱいお話しされますよ。
たまたま風邪をひいてたのかもしれないですよね。
だから病気を見落とさないためには自分の聞きたい事をもう矢継ぎ早にですねパッケージにして質問を攻めたてるんですね。
これを私「攻める問診」と…。
例えば「頭痛の時に気持ち悪くなる事はないですか?」「頭痛の時に光を見るとまぶしくないですか?」「頭痛の時に家事や仕事ができなくなって寝込んじゃうんじゃないですか?」。
どういうふうな事を聞いていけばいいのかという事を勉強すればすぐにそういう「攻める問診」ができるようになるんじゃないかそんなふうに思ってます。
(玉ちゃん)今日はいかがでしたかね?「くも膜下出血」というのはよくみますしまず心配しろと言われてる病気なので普通頭のてっぺんに浮かぶものなんですけどそれも分からなかったなと思って非典型というのは怖いなって思いました。
その病気の事をその時には当たりがつかなくても聞いていくうちにどんどんヒントを見つける事ができると思うのでこれから攻める問診をしていきます。
是非して下さい。
患者さんから常に話を聞くというのは意識できていますがそれとは他に目撃者であったり家族からしっかりと情報を聞き出す。
自分からどんどん攻めて質問できるようにこれからまた勉強していきたいと思います。
僕母親が「くも膜下」で亡くなってるんですよ。
なのに何も思いつかないというのが…うわ〜。
自分がどこか具合悪くなった時にちゃんとその事をきちっとお医者様に伝えるように患者としてしなきゃいけないなという事を今日勉強しました。
(玉ちゃん)次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか。
さよなら!どうもありがとうございました。
(拍手)生字幕放送でお伝えします2014/05/09(金) 16:05〜16:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「突然、倒れた?」[字][再]

新感覚!病名推理エンターテインメント「総合診療医ドクターG」。建築デザイン会社に勤務する44歳男性。ある日、突然、“倒れた”が、本人は“眠っていただけ”という…

詳細情報
番組内容
建築デザイン会社で設計をする44歳の男性。休日の朝、中学生の娘とウオーキング中に“突然、倒れた”。すぐに意識を取り戻したが、本人は“眠っていたのでは”と言い、よく覚えていない。心配した妻と娘が連れ添って来院。「風邪をひいただけ…」と帰りたがる男性をなだめ、ドクターGは問診を重ねていく。原因は、クライアントからたびたび設計の変更を求められたストレスか? ついにドクターGはある重要な事実を聞き出す!
出演者
【出演】藤田保健衛生大学病院救急総合内科医師…山中克郎,【ゲスト】秋野暢子,ブラザートム,【司会】浅草キッド

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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