影法師
百田尚樹の関連本
影法師の感想・レビュー(1340)
時代小説でも百田さんは面白い。少年の頃の彦四郎がなぜ変わってしまったのか。最後の方でタイトルの意味が分かって胸に詰まる想いでいっぱいになりました。
なんでもできるけど、とくにやりたいことのない男と、不器用だけれど、鉄の意志をもってやりとげる男(戸田)、お互いをうらやみながら、友情は死ぬまで続く、 日本人の弱いところをグイグイ押してくる一気読み本です、 自分も男として産まれたからには戸田のように生きたい、
百田さんはラストのどんでん返しが好きだな~。もちろん、グッと来てしまった(笑)武士の魂は、このようにあるものなのかもしれないな。秘すればこそ人の心を打つものが生まれるのかもしれない。彦四郎が勘一を思うが故の行動に感動しました。タイトルは、そういう意味だったのね~。
無二の親友戸田勘一の大志のために自らを棄て、命を懸けて裏で支え続けた磯貝彦四郎の生き様に感動。登場人物がそれぞれの立場で武士らしく、筋を通しきった生き方に清清しさを感じました。
泣けますね。 本当に今の時代、全力で生きている人がどれだけいるんだろう。死ぬまでに何かを成し遂げることができる人ってどれだけいるんだろう。 でも彦四郎は、きっと幸せだった。と思わずにはいられません。誰かのためじゃないと出ない力ってありますもんね・・・・自分のためだけじゃ出せない力。自分を喜ばせるよりも人を喜ばせる方が、自分が喜べる。それを知ってた彦四郎は幸せだったはず。勘一もまた人のため、その勘一のために彦四郎は生きた。素敵です。
御徒組から筆頭家老にまで出世した戸田勘一こと名倉彰蔵、このような朋友が世の中にいるのかと思わせる磯貝彦四郎。二人の織りなすさまざまな場面、生き様は、この小説の醍醐味。影法師の磯貝彦四郎の生き様にぐっとくる読後感が残った。
久々に良かったです。百田ワールドの罠にはまってしまいました。百田さんはこの小説を最初から影となって主人公を支えていく内容としたかったのだと思います。二人が力を合わせて夢を実現する物語だったらここまで感動するストーリー展開にならなかったでしょう。また、最後に出てくる刺殺が殺されなかったことに疑問を持った方もいるようですが、そしたら誰が語り部となるのでしょう?22年前と現在においても影に守られたということが読者に明かされてこそ、この小説は深い余韻を残すのです。
★★★★☆ 冒頭から何故か引き込まれてしまいました。展開のスピードは決して速くないんですが、中弛みもなく、無駄なエピソードもなく、エンディングを待ち切れずに読み切っちゃいました。これほどまでに自己を犠牲にし他人を支えることができるのでしょうか?素敵な作品の一つですね。
武士社会の中で家柄を越えた友情の物語。どうしてそこまでと思わざるを得ないほど、友の夢を叶えるためにひたすら尽くす男の姿が、もう一人の回想という形で語られます。頁を繰る手が止まらず、一気に読了してしまいましたが、なぜ「ともに歩む」という選択肢がなかったのか哀しい。自分は何事も成し遂げることはできないという諦念があったのでしょうか……。
子供の時に「刎頸の友」と思える相手に出会え、生涯その友に尽くせた彦四郎は、勘一に劣らず、幸せな人生だったのではないかと思ってしまう。 生まれて時に既に決まっている人生。叶わない結婚や出世を自分に代わり叶えてくれる友を影から支え、その成功を共に喜べる強さに心打たれます。
勉学も剣術もでき、人を見抜く力もある彦四郎。なぜ自分ではなく勘一のためにそこまでできたのか。彦四郎が主人公の話も読んでみたいと思った。直接言葉にせずに伝わることなんて本当に少ないし、人は一人で生きて行くことなんで出来ない。今の恵まれた時代は当たり前じゃない。百田さんの作品二作目ですがいつも心に響くものがある。
己の影となって支えてくれた友の存在に気付いたのは、既に彼が亡くなってしまった後だった。ゆっくりと成長していく様を描いた後、ラストは急速に真実を展開して行きます。後半は一気に引き込まれました。
忠義の武士社会で死をもって貫いた友情は強く感動ものでした。彦四郎の義を超えた愛はすばらしいですね。しかもそれを月日がたってからわかった時の勘一の気持ちがラストシーンなんて切ない限りです。百田さんの文筆の魅力がいっぱいで、ますます百田さんのファンになりました。今の世の中への〝カツ〟と今の理不尽な政治に対する挑戦状のメッセージかもしれませんね。
彦四郎の竹馬の友への献身的な友情は、年数をかけて潟が田へと姿をかえる景色を眺めたときに報われたのではないだろうか。すべて計算の上で卑怯傷を負い、人妻に声をかけたあと町を出た彦四郎。勘一が語った壮大な夢は国の為になると確信し[邪魔をする者は命をかけて俺が止める]と覚悟したのだろう。勘一を守る事で間接的にみねも守る気持ちもあったのだろう。彦四郎の視点でもこの物語を読んでみたい。…好きになっちゃうかも(*^_^*)ね。
百田さん読むの3作目。海賊と永遠の0、からのーこの本です。かつての友人磯貝彦四郎の不遇な末路の報で、主人公である彰蔵こと勘一の回想が始まる。御徒組の身分から筆頭国家老まで上り詰めるまでの勘一の歩みには、常に対照的な彦四郎の存在があった。二人の立場は冒頭の事実へ向かってある時を境に反転する。幼い頃に二人の見た一揆の結末の会話がすべての始まり。厳しい身分制度や派閥を乗り越えて二人の抱いた夢を叶えるには、その方法しかなかったのかなとは思う。 コメントへ続く
やるせない想いでいっぱいになったけど、改めて思えば彦四郎は不幸せじゃなかったのかもしれない。信念に従って友を盛り立て、影から守り、結果友の夢である新田を眺めることが出来た。それでも二人とも幸せに生きる道がなかったのかと思わずにいられない。
舞台が江戸時代であり、その時代特有の身分制度の話があったりと、普段なじみの無い言葉も多くありましたが、序盤から読みやすく、するすると読み終わりました。百田さんの本、また読もうーっと。
百田さんの時代物…ということで読んでみたら面白かった。下級武士の家に生まれた勘一と優れた素質を持った彦四郎。ありがちな人物設定なのに、展開が予想外で最後は彦四郎の気持ちにグッときた。刀の薀蓄はうっとおしかったが、米と反、石の話はなるほど~と感心。
読了後にタイトルの意味が理解できた。貫一と彦四郎を結んでいるのは友情なのか、それとも幼くして父を死を目の当たりにしたことへの憐憫なのだろうか、武士の矜持なのだろうか。どちらかと言えば激情的な貫一に対して、理で諭し、情で嗜め、我が身に降り掛かる禍災も顧みず貫一に尽くす彦四郎が武士の魂なのか、いろいろなことを考えさせられた。ずいぶん昔によんだ藤沢周平氏野『蝉しぐれ』を思い出したが、それにしても百田死は正に時代の寵児。本当幅色いジャンルで読ませてくれます。
父を切られた勘一に「泣くなっ」と言った彦四郎。それから数十年、泣いた事はただの一度もなかった勘一が、男泣きにに泣くシーンで物語が終わるのです。この竹馬の友である二人の道はいつしか明暗が分かれ…。彦四郎の思いの強さは、武士の矜恃と言うより、もしかして、もしかして、男として一人の女性を守り抜こうとした話だったの?とふと思ってしまって、そしたらこの話は、ものすごい悲恋……そうだとしたら、やはり女性の気持ちが置き去りになってしまうところに、共感がしにくくて。時代小説って難しいなぁ。
泣いた赤おにを彷彿とさせるストーリー。共に幸せになる道はなかったのかなぁと思ってしまいます。彦四郎は友情のためだけではなくて、間接的にみねを幸せにしてあげたかったのでは… いいお話でした。
ミステリと聞いていたのに全然ミステリではなかったが、面白いことは面白かった。できすぎた立身出世も、親友の人生をかけた献身も、普通に考えればおかしいのだけどすんなり読めた。しかし、彦四郎がなぜそこまでするのかが分からずに読み返していて思ったのだが、もしかすると彦四郎は、みねとの「どんなことがあってもお前を護ってやる」との誓いを守るために、その夫たる勘一を陰ながら護っていたのではないだろうか。だとすれば、ただの美しい友情話などではなく、切なく残酷な恋の話だと思う。真相がそうではないことを切に願う。
「友の夢を聞いて、簡単に忘れられるものではない」 江戸時代に出会った運命の友、た勘一と彦四郎の物語。 彦四郎は幼少より文武に優れ、彼を超えることはできなかった勘一。 武士として出仕し、勘一は国と民のため干拓事業を天命と見据える。 一武士に過ぎない勘一の大それた夢、彦四郎は何を託そうとしたのか。 光輝く道が約束されていた彦四郎は、誰にも知られることなく影法師となった。 最後に友の想いを知り、友のために武士一生に一度の涙を流す勘一。 「武士の子は泣くな」初めて出会ったあの時そう言った友のために。
百田さんは、どうしてこんなに上手いんだろう。「永遠の0」は、今まで戦争物なんて読んだことなかったのに、読み始めるとハマってしまい…そしてこの「影法師」も時代物初読み。時代物なんて絶対に縁がないと思っていたのに、百田さんだからと手にしました。結果、読んで本当に良かったです。勘一、彦四郎、どちらにも武士としての魅力がにじみ出ていました。また、勘一が息子に万作と名づけたところも男の美学が感じられました。
江戸時代身分の違う二人の人生を描いた物語。幼い頃に描いた夢を身分にとらわれず実現していく下士出身の勘一、学問や剣が優れているにもかかわらずある事件をきっかけに人生がかわっていく竹馬の友彦四郎。なぜ彦四郎の人生は変わってしまったのか、そして誰のために、何のために生きたのかー彦四郎の死後明らかになっていく真実。真実が少しずつ明らかになっていく描写に心が締め付けられ、彦四郎の生きる目的を何通りも推測できる読んだあとも余韻が残る本。
互いに切磋琢磨し、惚れこめる友と出会えた二人の物語。巡りあわせが明暗を分け、年月を隔てて大きく分かれたかにみえた二人の道でしたが、最後に明かされる真実・・・。何かのために、誰かのためにそれぞれ自分の人生をかける姿、二人の絆の深さに胸を打たれました。この時代のまっすぐに生きようとする姿勢がかっこいい・・・!
【初出 『小説現代』2009年8月号〜2010年4月号(加筆あり)】 時代小説としてはイマイチ。筆致が淡々としすぎていて深みがないことと、所々に入る時代背景や武家のしきたり等の説明が多くて全体の流れを悪くしている印象を受けた。ストーリーもどこかで読んだことがあるような…。
影法師の
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