3Dプリンター:容疑者ネットで「銃所持は基本的人権」

毎日新聞 2014年05月09日 10時02分(最終更新 05月09日 11時47分)

 「銃を持つことは基本的人権」。3D(三次元)プリンターで作製した拳銃を所持し、県警に銃刀法違反(所持)容疑で逮捕された川崎市高津区、湘南工科大職員、居村佳知容疑者(27)は、インターネットのブログなどで銃器所持に関する持論を展開していた。

 県警薬物銃器対策課によると、逮捕につながったのは居村容疑者が動画投稿サイトで公開した映像。屋外にいる居村容疑者が3Dプリンターで作製したとみられる「白い拳銃」を両手で構え、前方に向かって発砲する場面が含まれ、県警が捜査に乗り出した。この動画が米国のメディアでも取り上げられ、居村容疑者はブログに「世界で初めて3Dプリントレボルバーを開発した人として紹介してくれた」(2月15日)などと記した。

 また、居村容疑者はツイッターなどで国内の銃規制に対する不満をあらわにしていた。「日本の社会的弱者こそ銃を手にするべき。そして今度は自分に危害を加えるものに撃つぞと脅してやればいい」(2月15日)、「有事の際には銃刀法など関係なく誰もが銃の作り方を知り作れるようにしておくべきだ」(2月16日)などと投稿。逮捕される直前の5月5日も「日本は銃が自衛用に所持できない国なので人権侵害国家です」とツイッターに書き込んでいた。

 拳銃を作る理由については「銃を規制する社会に対する挑戦と武装の自由化のため」(昨年11月2日)と説明。「銃を持つことは基本的人権なので銃刀法を廃止できなくても誰もがすぐ製造できるように3D印刷けん銃の図面を普及させる」(2月26日)と公言して、3Dプリンターによる拳銃製造を正当化していた。

 一方、居村容疑者は「銃刀法に適合する改造をしているとはいえ警察に捜査されるリスクがある」(昨年11月2日)と不安ものぞかせていた。ネット掲示板で「モデルガン用の発火キャップを銃身の突起につけてハンマーでたたき打つ銃は違法ですか?」「銃刀法に触れるかどうかの判断に困っています。触れるなら製作は止めます」(4月26日)などと質問し、回答を求めていた。

 県警の聴取に対しては、豊富な拳銃の知識や製造の技術を披露しているといい、ある捜査員は「誰にも負けない自負があるようだ」と語った。

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