安倍首相:外遊頻度、歴代1位…ねじれ解消で外交も安定
毎日新聞 2014年05月09日 11時27分(最終更新 05月09日 12時11分)
安倍晋三首相の1カ月当たりの海外訪問の回数(第2次政権)が、欧州6カ国歴訪から帰国した8日現在で1.16回となり、歴代トップになった。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げる首相が、積極的に外国を訪問していることに加え、衆参両院の「ねじれ」が解消し政権運営が安定していることが外遊の多さにつながっているようだ。
◇1カ月当たり1.16回
首相は第1次政権(2006年9月〜07年9月)時には8回、海外を訪問した。1、2次を合わせた回数は27回で、小泉純一郎氏の51回に次いで歴代2位。1次の1カ月あたりの外遊回数は0.67回にとどまっており、2次以降に増えたのが特徴だ。
30日〜6月1日には、シンガポールで開かれる「アジア安全保障会議」にも出席する予定で、第2次政権での外遊回数は歴代3位の20回の橋本龍太郎氏と並ぶ。
1回の外遊で周辺国も併せて訪問する長期出張も目立ち、複数国を回ったのは19回中11回。訪問国数は37カ国で、5年5カ月の長期政権を築いた小泉氏(48カ国)の8割近くの国を、政権発足からわずか1年4カ月で訪問するハイペースぶりだ。
歴代の外遊頻度では、2位は鳩山由紀夫氏、3位は麻生太郎氏だが、訪問国数はそれぞれ、8カ国と12カ国と多くない。1年未満の「短命政権」に終わったためで、外務省幹部は「短命政権が続き、外遊や歴訪には限りがあった。今回は久しぶりに息の長い外交戦略を立てやすい政権だ」と話す。
与党内では、首相の「外遊疲れ」を懸念する声もあるが、首相経験者は「与党議員や役人との面会などで忙殺される日本での日常に比べれば、外遊は精神的にも楽でリラックスもできる。安倍首相の健康の秘訣(ひけつ)かもしれない」と話す。外務省は14年度の外遊予算(外務省政務三役を含む)を前年度比で12%増額した。首相の「ハイペース外遊」は今後も続きそうだ。【福岡静哉】
◇歴代首相の海外訪問頻度◇
(1)安倍 晋三 1.16
(2)鳩山由紀夫 1.14
(3)麻生 太郎 1.10
(4)野田 佳彦 1.01
(5)森 喜朗 0.86
*敬称略。1カ月あたりの訪問回数。安倍氏は第2次政権発足以降、8日現在